トランプ政権で対中戦略は経済中心だったがポンペオ国務長官だったと思うが、「中国は陸海空で米国の優位を侵害している」とあらゆる分野で対立を激化させている。
バイデン政権になり中国はしばらく様子見だったが、バイデン大統領の就任後初の記者会見から人権問題を主に政治体制、民主主義国家と専制主義国家の有用性をめぐる国家理念の対立になってきたことが分かった。
バイデン大統領は、「習主席は専制主義が将来主流となり民主主義は機能せず」と考えているようだが、「自分が監視している限りそれは起きることはない」と強調する。
「米国が成長し拡大を続けるからだ」とバイデン大統領は言う。中国の覇権主義におされ気味の様相を示していたが、これを跳ね除ける発言だった。
中国がもっとも裕福で強力な国になる目標を持っていたのだ。確かに中国はアメリカについで第2位の1200兆円のGDPだ。新興国を中心に港湾建設などインフラ整備の経済支援している。国内裕福層も習政権に反対する国民は少なくなったのだろうが、中国の経済の本当の姿はどうなんだ。
リーマンショック後の世界経済を中国は高い成長率で引っ張ってきたが、コロナ禍でも6%と言う成長率を掲げている。
バイデン大統領は「対決は望んでいないが、非常に厳しい競争になる」と言い、中国との競争で科学技術分野への投資拡大、日米豪印、欧州、EC,NATOなど同盟国、友好国との関係強化、人権弾圧への注意喚起で対抗するつもりらしい。
確かに香港、台湾、新疆ウィグル族、中国国内の人権問題は同盟国、友好国の賛同を得やすい。
後は、安保と経済、「経済安保問題」だが、ここに来ると同盟国、友好国間でも思惑の違いが出てくる。
特に日本は、中国の尖閣諸島への不法領海侵入対策をアメリカに頼ろうとしている。来月米国での菅―バイデン首脳会談では「尖閣に安保適用」を確認し、共同声明に明記することを日本側は求めている。
バイデン大統領も電話会談では「尖閣は安保提要範囲」と言う意味の言及している。
でも、大事なことはアメリカは南シナ海、東シナ海での中国の覇権に対して日米豪印が共同歩調を取ること、特に日本の役割強化の要望が背後にあるのだ。南シナ海での共同行動、参加する同盟国艦船の日本寄港、集団的自衛権行使の問題も出てくるだろう。
一方で、日本は経済問題では中国に頼らざるを得ない関係にあり、切って捨てるわけには行かない。日本の経済界も苦しいところだ。
それが分かっているのか、先の外交防衛2プラス2会談の前に、アメリカは日本の経済界と会談したらしい。
人権問題でも日本政府の発言は物足りないだろう。「内政干渉」と脅かされれば日本は躊躇せざるを得ないのだ。
バイデン政権は同盟国、友好国との絆の再構築に進めている。トランプ政権では多国間交渉より二国間交渉を重用し、各国とギクシャクな関係にあった。
新聞報道でその関係を拾ってみた。
「開かれたインド太平洋地域」では、日米豪印、これに欧州の同盟国、英、独、仏も加わり米国は対中けん制網を構築しているが、特に懸念はインドだ。
インドは中国と国境を抱えた紛争もあるが、経済なども考え利益の最大化を狙っている国だ。ロシア製の地対空ミサイルも導入した。米国はインドと情報共有、後方支援で連携を強化、パートナーとしての志を同じくする国との強力が不可欠としている。
しかし、最初に日本で防衛外交の2プラス2トップ会談を実施した意味は大きい。
NATOでは外相理事会でブリンケン国務大臣は同盟国再構築を訴えた。トランプ政権時は軍事費の増額、出来なければ撤退を臭わせ、フランスのマクロン大統領は「独自の軍隊を作れば言い」と発言していた。
2030年までに新戦略策定する予定と言う。EU,英国、NATO外相理事会で対中制裁を決めた。
EU連合とは、英国、カナダを含め、人権問題で中国に制裁を課すことを決め、バイデン外交の成果と評されている。
中国の強圧的行動が集団的安全保障と繁栄を脅かす。国際ルールや同盟国が共有する価値観を弱体化していると批判している。
一方、中国も黙ってはいない。ロシアと欧米の人権批判に反発、内政干渉と反論する。中国、王外相とセルゲイ・ラブロフ外相会談を実施した。
イラン、サウジとも人権問題で反米、中国は新興国への経済対策で関係強化を企てる。
中国は一帯一路構想を拡大し、新興国への浸透を図ろうとしている。
一方、米国もそれに対抗し、新たに新興国への対応を迫られている。中国の一帯一路による新興国の債務超過問題に対応しようとしているのだ。
今後、米中対立はどうなるのか。アジア、アフリカの発展途上国、新興国の取り合い合戦か。
もうしばらくすると、世界は米の同盟国、友好国vs中国の同盟国、友好国の色分けが出来るのか。一帯一路での新興国の債務超過でインフラ整備地区を中国が所有できれば世界中に中国の飛び地が出来る。
国連は世界が緊急事態でありながら機能せず。
中国の経済破綻はいつか。
中国が世界のリーダーになるには、今の政治体制を見なおす必要がある。中国はアメリカに民主主義があるように中国にも民主主義がある。民主主義は一つではないと主張したことがある。人権問題を抱えての民主主義があるのか。