2021年5月28日金曜日

東電・株主訴訟:それでも武藤さんは当時の判断を「合理的」というのか

 

東京電力福島第一原発の事故をめぐり株主が旧経営陣5人に対して22兆円の支払いを求めた訴訟で、副社長だった武藤さんへの尋問が27日東京地裁であった。 

武藤さんらは当時、政府機関が「長期予測」で15.7m津波の来襲を予測し、若手技術者もそれにのっとりシミュレーションし報告したが信用せず放置し、3.11東北地方太平洋沖地震、津波で非常用電源が使用できず甚大な被害を起こし、今もその対応に追われている。 

新聞報道によると、その当時の心境を問われた武藤さんは「あれ以外のやり方は取り難かった。合理的判断だったと今も思っている」と陳述したと言う。無罪を主張しているのだからこうしか言えなかったのか。 

恐ろしく無責任、反省のかけらもないことに驚く。そういう人間が原子力・立地本部の副本部長だったのだ。確かに当時は清水さんが社長で絶対的権限を握っていたとしても責任回避を反省していないのだ。 

当時、15.7mの津波が襲うといわれても直ぐに信用できるとは限らない。でも技術者がシミュレーションした結果、大変な事態になることは予測できたはずだ。 

武藤さんは対応をせず、逆に土木学会に検証依頼したと言う。当時の土木学会は東電の息のかかった組織だ。東電寄りの対応をしたのだろう。 

その結果を見て若手研究者も「やる気を失った」と述懐していた。 

東電は原子力産業ではトップリーダーだ。他の業者にも東電の対応を説明したそうだが、東北電力・女川原発は「長期予測」を信用し対応した。その結果、3.11東北地方太平洋沖地震、津波では被害も軽く、地域住民の避難所になったと言う。東電とはまるっきり違う立場になったのだ。 

そんな東電を見て、福島第一原発を東北電力に任せようと言う動きもあったと、当時の新聞が報じていたのを思い出す。

危機管理とは「起こりもしないことを想定すること」と歴史学者の磯田さんが言っていた。

株主訴訟はこの後、清水さんら他の4人が尋問を受けることになっているという。どう心境を語るか、注目だ。

 

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