高齢者のワクチン接種がなかなか進まない。新聞、テレビで毎日報道され、ついには菅内閣の支持率が33%まで落ち込んだ。これじゃ選挙など打って出れない。高齢者のワクチン接種問題は大きな記事で報道されるが、その中に小さな記事が目に止まる。
何故、新型コロナ対策のワクチン接種は優先順位を付けた全国民対象の事業だが、政府にとっては初めてのケースで経験がなく混乱が続くのか。
今の組織ではうまくいかないと見たのか、菅総理は総務省にも推進に協力するよう声をかけた。
更にワクチン接種の実績を上げるために自衛隊の医療関係者を動員しての大規模接種に踏み切った。官邸筋の発案だったそうだが、新聞報道で杉田首相補佐官が提案したらしい。杉田さんと言えば学術会議の新メンバー6人の入会を認めなかった張本人だ。未だにこんな人を頼っているのか。
接種件数を上げることだけなら何とかなるだろうが、高齢者の予約、自治体の接種との区別、高齢者の状況が共有されているかどうかなど課題が多いようだ。
テレビ情報で気になったのは、高齢者の接種が完了する予定を「8月末」と言っていた自治体が「7月末」に変更を強要されていることだ。
各自治体にはそれぞれ事情があり、ワクチンの入荷、有効期限、医師や看護師の確保、接種会場の確保、準備期間を入れて当初、「8月末」と考えていた自治体に総務省から見直して「7月末にしろ」との要望があったそうだ。
「7月末とは」菅総理が記者会見でも言っていた期限だ。しかし、まとめてみると「7月末」は難しいことがわかったのだ。そうすると菅総理は国民に嘘を言ったことになる。
困った官邸は総務省を通じて圧力をかけたらしい。
ある自治体の首長は、ワクチンが計画通り入荷し、医師や看護師が確保できれば何とかなるが、それが難しいのだと頭を抱える。でも見直して「7月末」にしたそうだ。何を見直せば出来るようになったのか。
私の住んでいる大田区も見直して「7月中」になった。接種券は21日までに届くようにすると区の広報で伝えている。
総務省を通じて自治体に圧力をかけて総理の言う「7月末」を目指すやり方は本当にいいのか。
また計画の見直しで混乱するのではないか。そうでなくても高齢者が電話やネットで予約することは大変だ。「ただいま電話が混んでいます。しばらくしてからおかけ直しください」のメッセージが繰り返されるだろう。
ネット予約のできない人はどうするのか。予約代行業が出てきたらしい。国民センターは「詐欺に気を付けろ」と言う。
明日あたりから予約に惑わされるだろう。この時期にはさらに一般健康診断、がん検診も始まる。運転免許の更新を控えている高齢者にとっては高齢者講習での認知検査もある。毎日電話機と取っ組み合っていることになるのだ。
オリンピック開催を控えてワクチン接種が新興国並みの数%では「新型コロナに打ち勝った証」と言えるのか。これじゃ、平和の祭典が「コロナの祭典」になりかねない。
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