懐かしい数字が目に飛び込んできた。朝日新聞2021.5.11の「数字は語る」で最終処分場満杯まで21.4年(2019年時点)と言うのだ。発生抑制が資源循環型社会の根幹だという。私が現役のころ、確か1990年台だったと思うが、一般廃棄物、産業廃棄物の最終処分場の残余年数が後数年(?)と言うことで社会問題化し、分別収集、有効利用の促進などが掲げられた。
最終処分場の問題と言えばまず、青森岩手県境大規模処分場違反事件が思い出される。
当初は山間部を利用して真面な事業をやっていたが、経営にとん挫し経営者が変わると遠く首都圏から安い費用で廃棄物を集め埋め立て、ついには地形が変わるほどの埋め立てになった。災害発生の危険もあり自治体が事業者に改善を指導するが、資金不足でうまくいかず自治体が改善策に打って出た。
まず、排出者の責任を追及しようとしたが、マニフェストでは記載が不備で数%しか追及できなかったという。今では自治体が税金で埋め立て物を処理し原状回復に近づけたとニュースで見たことがある。
廃棄物の最終処分場は山間部に設置される例が多い。しかし、シートが破れたりして汚染水が地下水に混じれば下流での井戸水、田んぼの水を汚染することで反対運動が多い。しかも廃棄物を搬入する道路も長く、住民の生活、児童の登下校に影響する。そのために登下校の時間には搬入を控える約束もされていると聞いたことがある。
しかし、悪い事例ばかりではない。住宅地近くでもしっかりした遮水構造、維持管理で地域と共存できている処分場もあるのだ。
一般家庭から出る一般廃棄物の最終処分場でも「自分の庭先に作るな」というエゴも最終処分場の建設が増えない理由でもある。
一方で、最終処分場に頼らない廃棄の方法も進んでいる。
今までは何でもかんでも埋め立てしていたが、嵩を減らすために破砕したり、焼却できるものは焼却する。出てくるものは焼却灰だ。このまま埋め立てると風で飛んで行ったり、重金属が含まれている場合もある。
そこで開発されたのが溶融炉だ。焼却した後、灰を溶かし溶融し、ガラス状の廃棄物にする。それを破砕してレンガや道路の基盤材にしたり再利用するのだ。30~40年前の話だから今どうなっているかはわからない。
さらに、分別収集、再利用だ。
古紙やプラスチックの再利用がされている。プラスチックの再利用は日本でも分別収集から処理システムが構築されたが、中国が高い価格で輸入するということで収集した自治体が中国に輸出した。再処理に費用を払う代わりに輸出すればカネが入ってくるのだから自治体は右に倣えだ。
しかし中国も日本から汚染したプラスチックを輸入し、中国の環境汚染の要因になっていることから最近輸入を禁止し、日本の業者が困っているというニュースを聞いたことがある、その後どうなったか。
今は、マニフェストも整備され、廃棄物の排出者、処理業者、そして最終処分業者が明確になり排出元に経緯がわかるようになっているのではないか。排出者責任の追及もしやすくなっていないか。
最終処分場も埋め立て終了後は覆土し、植樹するなどして維持管理していかなければならない。多くは山間部に立地するためにそういう光景を見る機会は少ない。
また、大事なことがある。震災など災害復旧には最終処分場の存在は大きいのだ。
豪雨、洪水災害、巨大地震、津波災害で災害廃棄物が搬出されるが、分別収集が基本だ。焼却処理、埋め立て処理と分別し処理していくが、最終処分場の確保は重要なのだ。
阪神淡路大震災の時は、大阪湾フェニックス計画で最終処分場があったために復興も早く終わった。東京も夢の島に処分場を建設しているが、見学した時担当者が広大な面積と言うが新たに確保はできない。首都直下地震など災害時にも対応しているのだという。
後、21年と言うがどう考えるか。
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