2019年7月31日水曜日

安倍総理の本音?:萩生田氏の憲法改正推進に衆院議長交代発言

これが安倍総理の本音か、安倍総理側近の一人という萩生田幹事長代行が26日夜のインターネット番組で「憲法改正で動きがないとすれば有力な方を議長に置いて憲法改正シフトを国会で行うことは極めて大事」と発言し与野党で波紋が広がっている。

新聞報道によると政権内では「本当にそんなことを言ったのか」と官邸の意向でないと否定、また「議長人事に口を出すとは処分物だ」と怒りをあらわにする。安定は火消しに回っているというのだ。

早速二階幹事長が萩生田さんを呼んで注意したとき、萩生田さんは「言葉足らずで誤解を招いた」と失言の常套句を言う。

いつの失言もその前後の文脈がどうなっているのかが大事だ。が、朝日新聞(2019.7.30)にそこのところが記事になっている。

背後に9月の人事があり、二階さんが衆院議長のうわさもあって憲法改正審議会も弱い議長なら動きも悪いが実力者を配置すると総理の並々ならぬ熱意が明らかになるのではないかと萩生田さんに話が振られた結果、以下のような発言が飛び出したのだ。

憲法改正するのは総理ではなく、最終的責任は国会で憲法審査会を動かしていく議長なのだ。大島さんは調整型の議長だが審査会を動かすのも議長の大事な仕事、今のメンバーで動かないとすると有力な方を議長に置き憲法改正シフト、国会が行うのは極めて大事なことと大島氏の名前を挙げて三権の長である衆議院議長を交代させる誤解を与えてしまった。

安倍側近として安倍総理の憲法改正への前のめり姿勢をアシストする意味合いがあったのだろう。

萩生田氏は安倍総理に代わって(?)、消費御税増税、ホルムズ海峡での「有志連合」でも発言をしメデイアが報じているが、安倍総理の本音かどうか迷う。萩生田さんのコメントをたれ流すメデイアは何を思っているのか。



日銀・緩和継続の判断基準:2%へ「勢いを失くす」から「その恐れがある」へ


日銀の金融緩和の判断基準が2%への「勢いが失われた場合」から「その恐れがある場合」へ予防的意味合いが強くなった。各国の中央銀行が米中経済摩擦、英のEU離脱と欧米の経済情勢から世界経済は景気下降への予防的処置として利下げや再び緩和への舵取りを考え出したことから日銀も一歩前へ踏み出したのだ。

出口戦略で緩和策に出遅れ感が強かったが、各国の中央銀行が緩和へシフトを強めたために面目を保った感じではないか。

30日の金融政策決定会合後の会見で物価は下振れのリスクへ注意が必要だが、先行きは「緩やかな回復」と見ている。2%への物価目標への勢いはあるという。

だから緩和を粘り強く続けるらしい。

従来、日銀は必ず「勢いが失われたときは躊躇なく追加緩和をとる」と日銀の強い姿勢を示し、市場に期待感をあおったが、マイナス金利幅など銀行経営の悪化を招いておりその手立ては残されていない。

考えられる緩和策としては、マイナス金利の引き下げ、0%長期金利の引き下げ、資産買い入れ拡大、資金供給量の拡大などがあるが、副作用も大きい。それでも市場は要求するのか。

FRBが利下げ、ECBが金融緩和の動きで各国中央銀行が追加緩和すると円高、ドル安に警戒だ。アメリカはいいだろうが、日本経済は好ましくない。欧米と日銀の駆け引きが続く。

日銀にとっては早く消費者や市場が日銀の期待に応えほしいところだろうが、経済は値下げトレンド、「市場の見えざる手」でコストを削ったコストダウンだ。

その一方で、FRBなどは「金融政策の枠組み見直し」を検討している。2%物価目標の是非が検証されるのか。

日銀も2020年春までは現在の低い金融政策を維持するというが、19年度は1%、20年度は1.3%の物価でも2%を目標を目指せるのか。


福島第一原発旧オフサイトセンター解体へ:どうして原子力事故の教訓が生かされないのか


どうして原子力事故の教訓が生かされないのか。福島第一原発事故の際に緊急事態応急対策拠点となった旧オフサイトセンターが解体されるという。このセンターは「原子力事故想定が甘かった」結果を示す重要な施設だったが、立地している場所は「特殊復興再生拠点」となっており22年春には「避難指示解除」が予定され、この後、住宅地が開発されるという。

「原子力事故の記録を後世に残すため保存する」か、「事故後の新しい地域開発を優先する」かだ。この旧オフサイトセンターは行政的にも、安全対策面でも大きな問題を抱えた施設なのだ。

オフサイトセンター構想は、1999年東海村JCO工場の臨界爆発事故放射能を拡散した経験から事故時の前線基地として全国23か所に設置されたという。福島第一原発も5~30キロ圏へ移設されたが、趣旨が生かされていなかったようだ。

20113月の事故後、福島第一原発から5km離れたオフサイトセンターで150人が集結し事故対策に当たっていた。

ところが、この旧オフサイトセンターは停電や通信機能不通で役に立たず、おまけに気密性も不十分で避難指示基準の50倍の濃度だったために全員、より安全な場所に撤収したというが、近くの病院の入院患者などは置いてけぼりにしたらしい。

この旧オフサイトセンターには東電や政府の対応のまずさがあったらしい。

2年前の2009年に、総務省がオフサイトセンターを行政監査した時、換気設備に高性能フィルターがなかったこと、出入り口の気密性がなかったことで経産省に対策を支持したが、対応していなかったという。

東電、行政ともに「原子力事故の想定があまかった」結果、このような甚大な被害になったともいえる。

さらには、この時期、東電は機器の検査漏れ、2002年には原発トラブル隠しが多発し違反を繰り返す体質が東電にはあったし、保安院も改める気はなかったようだ。

政府の事故調査委員長だった「失敗学」の畑村先生は「予算はあったが保安院が無視した」と言う。

政府の研究機関から巨大地震、津波の発生(15m)が予測され、そのニュースを知っておきながら東電は経営陣の「信憑性に欠ける」と言う理由で若手研究者らの試算結果を無視した。その是非は旧経営陣3人に対する安全注意義務違反で公判中である。

東電は、原子力事故の想定に対してあらゆる面で完全に考えが甘かった。安全第一より、経営第一を優先させていた。東電は原子力事業では保安院などを凌ぐ強大な権限、知識を持っていたようだ。だから他の事業者は「右に倣え」だったのだ。

旧オフサイトセンターは解体されるが、重要な資料などは展示施設で保管するらしい。でも事故直後の対応でホワイトボードに書きなぐった情報は消えてゆくだろう。吉田所長(当時)が「本部 本部 今爆発が起きたようです」という緊迫した会話も消えていくのだ。

福島第一原発は今後40~50年にかけて廃炉作業、さらに福島第二原発も廃炉になるらしい。廃炉作業中は、こういった事故記録も顧みられるだろうが、廃炉も終わった後では、展示施設も資料も消えていくのではないか。だれも東電の悪い事例など参考にしようとは思わないだろう。

原発事故ではなんといってもお亡くなりになった理論物理学者の武谷三男先生の大予言が思い出される。「科学大予言 武谷三男著 光文社 昭和58年」だ。

それによると、高度経済成長時代が終わり「科学・技術の堕落」が心配だという。コンピューター設計で巨大化し、スケールアップで経済成長を支えたが、巨大技術には欠陥がある。安全を無視し、事故の可能性が増大するのだ。その典型が原子力発電だという。

「安全第一」ではなく、「経済第一」なのだ。

今、安倍政権は原発再稼働に進んでいるが、これも日本経済、事業者である電力会社の経済、経営第一なのだ。ところが最近経済団体が「原発再稼働の見直し」を提言した。何か新しい動きになるか。

先生は大事なことを指摘している。日本の原発はアメリカのモルモットだという。我が国に最初に導入された福島第一原発はアメリカ式の設計で、地震の多い、日本には適していない。アメリカのものをそのまま持ってくるのではなく、日本にあった設計にし直すべきだったが政府が「早くしろ」と札束でほっぺを叩いた。「カネが降りるんなら」と学者、事業者は飛びついた。1954年のビキニ水爆を受け、中曽根さんが2.4億円の予算を付けてことから始まったのだ。

もっと時間をかけて日本にあった設計にすべきだったという。

さらに大事なことは「原子力平和利用三原則」だ。「公開」「民主」「自由」が欠けているという。すべてにわたって政府、事業者の手のうちだ。特に情報公開は巨大技術にはかかせない。


2019年7月28日日曜日

7月28日、三重県南東沖地震、M 6.5、深発地震で宮城で最大震度4

気象庁 地震情報 7月28日 午前3時33分ごろ
三重県南東沖地震発生 震源が420kmと深かったために
関東、東北の広い範囲で揺れた 深発地震だ
28日、私の住んでいる東京大田区でガタガタ20秒ほど揺れた。時計を見ると3時33分ごろだ。また千葉県北部か東京湾沿いだろうと思って寝着いた。起きてニュースを聞くと三重県南東沖が震源だという。M6.5、震度は水戸、宇都宮、木更津、東京千代田区で震度3だったが、宮城県丸森町で最大震度4を記録したという。

何で関東、東北で震度が大きいのかと思ったら、震源深さが420kmと深い場所での発生だ。気象庁の地震情報でも中部地方は何ともないのに関東、東北で揺れていた。

南海トラフ上で起きたように思えるが、危惧されている南海トラフ
巨大地震の震源深さは10~40km、今回は420kmと深い

気象庁の地震情報で見ると発生場所が三重県沖でも南海トラフのごく近くか真上だ。だから南海トラフ巨大地震の前触れかと思ったが南海トラフ地震の震源深さは10~40kmと見られている。420kmは非常に深い場所で、陸プレートに潜り込んでいる太平洋プレート内部で発生したと考えられている。

日本気象協会の地震情報の資料によると、浅い震源と深い震源での発生が記録されている。

2008年は30kmと410kmの2回、2010年380kmが1回だけ。2011年は10~20kmで2回。2012年は30kmが1回、2013年は370kmが1回、2014年(1回)、2015年(4回)、2016年(1回)は10~30km、2017年に320kmが1回、2018年は10kmが1回、370kmが2回、そして今回の420kmだ。

320~420kmの深発地震が有名な震源域かもしれない。

フィッリッピン海プレートでなく、太平洋プレートでの発生だったから関東、東北で大きく揺れたのだ。

危惧されている南海トラフ巨大地震との関連はなさそうか。

人種、人権問題で大荒れ、トランプとバイデン:選挙権はないが米大統領選が気になる


アメリカ大統領選は私たちの生活に大きな影響がある。選挙権はないがポスト安倍や自民党総裁選より注目だ。

虚言癖がありメデイアを軽視、批判にはッイッターで即反論し支持者を囲い込むポピュリズムだ。米国が損をしていると感じると多国間交渉を嫌い、デイール主体の二国間交渉を好む。オバマ政権時まとめた国際協調路線もトランプ大統領の「保護主義」、「アメリカ第一」で離脱、先進国間でも亀裂が生じるが、その間隙を中国が覇権を拡大、米中貿易摩擦での高関税の掛け合いは世界経済、経済成長の下降リスクを招き各国の中央銀行は金融緩和政策へ景気後退の予防策へ走る。

トランプ大統領の保護主義はアメリカ式の行過ぎたグローバリゼーションを見直す良い機会だと思っていた。衰退する産業、疲弊する町、失業者の増加対策はどの国でも大事な政策だ。政策から疎外された人たちがアメリカ大統領選で泡沫候補だったトランプさんを大統領に押し上げた。

政策の恩恵を受けない貧しい人たちの味方と思っていたが本人は超富裕層で実業家なのだ。政治を変えようと無党派層の支持も大きかったのだろう。

ところが最近のアメリカの世論調査で、トランプ大統領が民主党の指名候補者のバイデンさん、サンダースさんに支持率で差をつけられているという。現職有利と思っていたが、ひょっとすると政権交代の可能性もあるのだ。

でもそのバイデンさんも以前の人種問題発言で同じ民主党指名候補のハリスさんから人種差別攻撃を受け勢いがなくなってきているらしいのだ。バイデンさんも事実を認めたが「憎悪と分断」の泥仕合になっているらしい。

トランプ大統領も先日、民主党の非白人4人に「米国を出て行け」と攻撃したことが報じられたが、それでも聴衆は「国へ送り返せ」と呼応した。トランプ大統領はポピュリズム手法で支持者の取り囲みをしているのだ。

いろんな政策が争われていると思うが、人種問題が支持率に大きく影響するのはアメリカの特異性だろう。

そんな中で朝日寸分(2019.7.27)の読書欄「真実の終わり トランプ時代の深刻な病理問う」というミチコ・カクタニさんの著作を東大教授の西崎先生が評した記事だ。

それによると、トランプ政権が流す嘘は数限りない。なぜ真実と理性とが衰退したのか、なぜ人は政治的操作を受け入れるのかと問う。理性と倫理観、憲法への敬意が攻撃され人種的、宗教的な不寛容や政治への憎悪、陰謀論が勢いづきソーシャルメデイアが擬似事実の拡散に拍車をかける。

自己中心的な「わたし」主義が客観的事実を否定し、主観的原理を称揚につながったが、トランプ大統領はこれをのっとったのだという。つまりいかなる事実も書き換え可能で、反論されると「もう一つの事実」だといえばよいのだ。陰謀論を信じさせるのは簡単なことなのだ。

著者は「真実」こそ民主主義の基盤で一般的に共有できる事実なしに理性的議論はできないという。ではどうすればいいのか。「諦めずにまず抵抗の一歩を踏み出せ」というのだ。

まったく同感だ、トランプ政権ばかりでなく日本の安倍政権にも言えることだ。

安倍政権も結構事実を曲げて嘘をつく。反論すると「もう一つの事実」を主張する。何が事実か分からなくなり、疑って考えることを諦め「他の政権よりマシ」という消去法で安倍政権を支持する。

世論調査でも安倍総理を「政策には不満」だが、「任期一杯やってほしい」という。投票率が低い原因に「どうせ政治は変わらないだろう」と諦め感が根深い。

選挙戦で「前へ進む」か、「後ろに戻る」かの選択と安倍総理は訴えていたが、ここはいったん立ち止まって熟慮すべきときではないのか。



2019年7月27日土曜日

中央銀行再び金融緩和への動き:「世界経済減速への予防」か、「2%物価目標」達成か

折角、金融正常化に向かっていた各国中央銀行は世界経済減速への予防で再び金融緩和へ舵切りしている。トランプ大統領は「保護主義」で中国に対して貿易赤字解消のため高関税をかけ、中国の習主席も高関税で応酬する米中貿易摩擦、英国のEU離脱問題は離脱強硬派のジョンソン新首相の登場は世界経済に大きな影響を与え、各国中央銀行は景気減速に対する早めに手を打つために利下げ、緩和策への動きが激しくなりそうだ。

FRBは、海外経済の減速、米中貿易摩擦、英のEU離脱で追加緩和の必要性が出てくるという。さらに物価も伸び悩みで利下げは避けられないか。

ECBも米中貿易摩擦、英のEU離脱で景気減速を予測、ユーロ圏の景気後退の可能性は低いというが世界経済がユーロ圏経済を圧迫することは確かで、早めにに手を打ち景気減速を最小限にするとメデイアは報じている。

日銀はどうか。景気は2019年後半には回復とみていたが中国、欧州の経済減速で回復は先延ばしになりそうだとみる。2%物価目標が未達で大規模金融緩和を継続だ。

新聞では韓国も利下げするらしい。各国中央銀行も同じ動きだろう。

トランプ大統領、習主席、イギリスのジョンソン新首相の考え方ひとつで世界経済が混とんとする現状を本人たちはどう考えているのか。

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2019.7.11掲載
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2019年7月26日金曜日

トランプ大統領は何故、金委員長の挑発行為に冷静なのか


トランプ大統領は何故、北の金委員長の挑発行為に驚くほど冷静を装えるのか。新聞報道では、先の板門店での緊急会談で進んでいなかった実務者協議を進めることで合意したというが進まず、けん制するために金委員長は短距離弾道弾を発射するがトランプ大統領は周辺の思いとは裏腹に冷静だ。

朝鮮半島の平和を考え、板門店で南北境界線を越え、北に一歩入るなど世界に向けて政治ショーは十分だが、北の「非核化」は遅々として進まない。当初北は寧辺核施設を廃棄すればいいと思っていたようだが、アメリカはそれだけでは期待の「非核化」は不十分と見た。

25日に二度にわたり短距離弾道ミサイルの発射をしたが、トランプ大統領は冷静に受け止めているとメデイアは伝える。5月にも弾道ミサイルを発射したがこの時も「周りの者は不安がっているが私は違う」と冷静だったようだ。

米国の関係閣僚や日韓の指導者との受け止め方がトランプ大統領は違うようだ。一体何を考えているのか。トランプ大統領は金委員長との友好関係(?)だけを保てば、アメリカにICBMは跳んでこない。「夜もぐっすり眠れる」(金委員長談)ことが一番の成果だと思っているのか。

また、逆なことも考えられる。板門店での緊急会談ではトランプ大統領は「寧辺核施設廃棄にプラスα」を要求したようだ。経済制裁を解除するには寧辺核施設の廃棄だけでは不十分と見た。

一方の金委員長は経済制裁排除のほかに「金体制の維持」を要求したという。前から言われていることだが、南北統一するにも政治体制が違っていてどうするのか。文大統領は北寄りの姿勢を取っているが、文大統領は北出身らしい。同胞の統一は願いなのだ。

また、新しい潜水艦建設の現場を見学したという。潜水艦からICBMを発射することだってできるようになる。アメリカもトランプ大統領以外は不安だろう。

結局はトランプ大統領は米朝会談での成果などあまり期待していないのだ。金委員長との友好関係を維持していれば当面の目標は達成と見ているのだろう。

アメリカが北にどれだけの期待をしているか。

トランプ大統領は経済制裁解除後の経済支援も日中韓でやればいいといっていた。豊富な地下資源に興味がないのか。

要は、金委員長の挑発に右往左往しないことだ。トランプ大統領にも大きな期待は持てない。日朝首脳会談は「前提なし」の会談と安倍総理は言うが、拉致問題は棚上げにしてまで首脳会談を持ちたいのか。

25日、北が短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射したとき、安倍総理は静養先でゴルフを楽しんでいたという。急いで中止し官邸に戻ってくるのかと思っていたが、「安全は確認している」と悠々とゴルフを続けたという。

トランプ大統領にも冷静な対応され、安倍総理には脅しにもならず金委員長はどう思っているだろうか。「馬鹿なことはできないと」と感じればいいのだが・・。

安倍総理が辞めるとき:憲法改正の国会審議、発議が不透明で任期中に見通しがつかなくなったときか

安倍総理が総理の座を降りるときは憲法審議会の審議、国会発議を強行採決するも国民投票のめどが立たず、任期も迫り熱意が冷めたときではないか。憲法改正という最重要課題は国を二分する結果になり、強い政権でないと推進が難しい。

安倍総理は強力で「安定した政権」と自負しているようだが、その要因は、民主政治の根幹を揺るがす政治手法にあり、決して強い政権ではない。

一番の問題は憲法改正に対して「アクセルとブレーキのフ見間違い」をしていることだ。それは選挙のやり方にもある。

今回の参院選は「憲法改正を審議する政党か、審議しない政党かを問う選挙」と訴えていたが、安倍総理の街頭演説、自民党候補の政策主張に「憲法改正推進」のアピールがあったか。各党党首が簡単に憲法改正反対を言うが、あまりにも温度差がありすぎないか。

憲法草案、改憲4項目では安倍総理が民主党政権批判の中で「コンクリートから人へ」を批判し、自民党は公共投資で国土強靭化で災害などに強い国づくりをするといった程度ではなかったか。安倍総理の第一声がいつも福島ということは何か意味があるのだろう。

有権者の要望は年金、雇用、経済が最上位で、憲法改正は最下位に位置する。そこで憲法改正を最上段で主張することを不利と見たのではないか。

ところが選挙が終わって勝利(?)すると豹変し「憲法改正への審議推進が認められた」とアクセルとブレーキの踏み間違いをする。

安倍総理の真意も測りかねる。本当に憲法改正をしたいなら、自分の任期を考えると今回W選にもっていって国民に信を問うべきではなかったのか。それが出来なかったということはすでに憲法改正の熱意は失い、少しでも国会審議を進めることに重点を置いたのではないか。

これから国会で審議を進めるとしても憲法草案はどうなるのか。安倍総理は「自民党案に拘らない」と言っている。まだそんな段階だ。

国会発議の2/3議席も自公では4議席不足、維新は当初から賛成だったようだが、安倍総理は国民民主に触手を伸ばしてきた。国民民主の玉木さんも憲法改正で党首会談を申し出た。今の状況では反対だろうが条件によっては推進派に回るのだろう。

発議までは何とか強行採決で突破できたとしても、国民投票での多数決審判は大丈夫なのか。50%近辺での賛成ではイギリスのEU離脱での国を挙げての大混乱の二の舞にならないか。

安倍総理の憲法改正の熱意の消失は意外に早くやってくるかもしれない。国内、外交どの政策をとってみても問題山積だ。体調を崩し政権放り出しもないとは言えない。

自民党はポスト安倍の顔を早く出すべきではないか。





2019年7月25日木曜日

トランプの「ロシア疑惑」、安倍の「森友問題」:日米両トップの不祥事を裁ききれないもどかしさ

トランプ大統領の「ロシア疑惑」、安倍総理の「森友問題」、状況は「黒」でも本人は「白」と言い張る不祥事を裁き切れないもどかしさがないか。

新聞報道によると、トランプ大統領の「ロシア疑惑」についてマラー元特別検察官が米下院の公聴会でロシアとトランプ陣営の犯罪としての共謀性はないが「大統領は任期中は訴追できない」という内規があることから訴追を見送ったという。

「大統領は完全潔白ではなく大統領辞任後は訴追される可能性あり」と。一方、トランプ大統領は「すでに終わった話、全くの事実」とツイートで反論したという。

ところが訴追するかどうかが民主党内でも足並みがそろわないというが、民主党は大統領選に向けてこの問題を持ち出したいらしい。

トランプ大統領は無実を訴えるが、客観的状況は「黒」だ。

一方、日本の安倍総理の森友問題もトランプ大統領のロシア疑惑に比べれば程度の差はあれ同じだ。

安倍総理夫妻がかかわったことは確かなようだが、安倍総理は国会予算委員会で「私や妻が関係していたことが分かれば総理を辞任、国会議員もやめる」と啖呵を切り、一か八かの勝負に出た。

総理を止めるどころか、国会議員もやめると発言したことで関係者は驚き「安倍総理は関係していない」という線でまとめようと関係者が忖度し始めた。

安倍総理は「知らぬ存ぜず」の一点張りで逃げ切ろうとしているが、国民は「説明不足」で安倍総理に分が悪い。

日米両首脳の不祥事を裁き切れないもどかしさを感じないか。

2019年7月24日水曜日

「合意なきEU離脱」で混迷する英議会、これが議会制民主主義、二大政党制のモデルか


EU離脱で混迷深める英国議会、これが世界がモデルとする議会制民主主義、二大政党制のイギリス政治なのか。日本からも休みになると大勢の国会議員がイギリスを訪問する。何を学ぼうとしているのかわからないが、日本でも国を二分する憲法改正のための国民投票も待っている。そのやり方、評価は参考になるのではないか。

新聞報道では、「合意なき離脱派」のジョンソン前外相と「合意なき離脱の延期」を主張するハント外相が保守党党首選の決選投票でジョンソン氏が勝利した。メイ首相の辞意を受け新しい首相に任命されるらしい。

思えば3年まえの2016年、EU残留の是非を問う国民投票で残留48.1%、離脱51.9%と言う僅差で離脱が決まった。この時のことは新聞で見てよく覚えている。離脱派が「やってしまった」と反省していた。政府からの情報も不十分、どうせ反対が多いだろうと思って「離脱」に投票してしまったのだ。

何故か、ポピュリズムの機運がイギリスでも高まってくる感じだった。

そもそもイギリスはEU嫌いだった。ドイツ、フランスが中心になりイギリスは消極的だった。EECよりEFTA、ユーロよりポンドだ。

法規制、分担金、移民/難民問題に辟易していたから離脱を選んだのも当然だった。経済面では単一市場を抜けてFTAを結べば利益は従来通りと考えていた。

特に問題は北アイルランドとアイルランドとの国境の管理だった。離脱後もEUに合わせる「非常措置」は党内でも批判があり、離脱の遅れを生みイライラが募っていた。

そんな時、メイ政権の外相を辞任したジョンソンが何かできるのではないかという期待感から新首相に選ばれたが、ジョンソン氏の置かれている立場も厳しい。

保守党が与党とはいえ過半数を割っているので少数政党に頼るしかない。英議会は「合意なき離脱」に反対している。

ジョンソン氏は10月末に議会を停止しようとしているが、議会は議会停止を防ぐ法整備を考えている。それでも「合意なき離脱」を強行するか、早期の総選挙になるか。

保守党内にも反対があり財務相や司法相が辞任の動きだ。

EUもメイ首相との離脱協定案、「非常措置」を協議する可能性があるのか。

米中経済摩擦とともに欧州発の経済危機として世界経済を引っ掻き回すことになるのか。テレビニュースでは日本企業も英国から脱出しているらしい。EU内にも離脱派がいるし、ポピュリズム政党台頭に悩まされている。

ところがジョンソン氏登場にトランプ大統領がエールを送っている。ともに行動の読めない類の人間として共通点があるのだ。ジョンソン氏も議会とギクシャクし、トランプ大統領も議会とギクシャクしている。

イギリスは日本が模範とする議会制民主主義国ではない。反面教師として日本独自の政治体制を築く必要がある。二大政党制も拮抗すれば政権運営が難しくなるが、一方が強すぎると独裁政権になる。

特に憲法改正での国民投票はイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票を検証すべきである。

今日の新聞を読んで(279):「政策に不安」だが、「後2年やってほしい」では「政治は変わらない」か


今日の朝日新聞(2019.7.24)の世論調査によると安倍政権に対して「政策に不安が大きい(55%)」が、「任期一杯続けてほしい」(56%)という。これでは今回の参院選の48.8%という低成長率の原因である「政治が変わらない」(43%)ことにならないか。

安倍政権の不祥事、政治手法から考えると政権交代の条件はそろってるのに何故、立憲民主が議席を伸ばしただけで与党に過半数を与えてしまったのか。

民主党政権で重要な職についていた岡田さんが、早くから野党統一が必要だと訴えていたが、立憲民主の枝野さんは立憲民主主導の路線をとりたかったのだろうが、支持率が伸びず野党共闘路線に舵きりしたが、遅すぎたのではないか。

1人区での成果を参考に立憲民主の枝野さんは野党統一に向け自分がリーダーシップをとるといっていたが、立憲民主、国民民主では立党の経緯が違いすぎる。お互いに不信感があるのではないか。旧民主党での再結集は難しいか。

野党が不甲斐ないから政権交代の機運は出てこない。だから考えられるのは自民党内での政権交代だ。

ここ6年で「自民党は変質した」と朝日新聞与党キャップの佐藤さんは言う。自民党立党精神がないがしろにされ、安倍一強政権、多数決で物事を決めて、反対意見に耳を貸さなくなった。

政治評論家の伊藤淳夫さんは、「中選挙区制に比べ小選挙区制になって議員が小粒になった」という。

確かに今、自民党内で流れを変える動きが出にくい。安倍官邸が出る杭は打つ。青木、古賀、亀井さんのような人材がいなくなった。ポスト安倍が見えてこないから動きも悪いのか。今回の選挙戦で目立った応援は安倍総理と菅官房長官か。「令和おじさん」でポスト安倍に名乗りを上げたとメデイアは見るが、本人はその気がないらしい。

安倍政権は参院選前で重要な政策も選挙対策で変質させた。

トランプ大統領が目論むホルムズ海峡の「有志連合」への参加は憲法、法律から考えてその環境にない(萩生田)という。

日米貿易交渉も日本にとっては厳しいようだが、「選挙前不利な内容がわかるとまずい」と内容は8月に公表するらしい。そのうちにトランプ大統領からツイッターで暴露されるかと思っていたがそれはなかった。

ハンセン病患者家族への賠償問題も「法的問題がある」と言いながらも控訴せず、家族に謝罪した。本来なら控訴し徹底的に戦うのが国の姿勢だった。

対韓国でも強硬な姿勢に出た。国民は皆、政権支持だろう。

余りにも酷かったのは「民主党政権への嘲笑」作戦だ。意図的にやったことはわかっている。民主党政権が「悪夢のよう」なら安倍政権は「バラ色」なのか。

この争点隠しが今後大きな問題となって安倍政権は行き詰まる可能性がある。

日米貿易交渉は農産物、自動車にどう影響するか。トランプ大統領の期待に応えているとしたら、国益を害する約束をしていることになる。

アベノミクスの異次元の金融緩和はどうなるか。アベノミクスの成果を身近に感じる対策はあるのか。米中貿易摩擦の行く方が不透明であるために景気後退の局面で、欧米の中央銀行は緩和縮小、利上げから一転「緩和」に逆戻りしそうであるが、日銀の緩和継続策に自由度があるのか。財政ファイナンスが疑われる国債の大量買入れは900兆円の発行額に対して日銀が470兆円保有する異常事態で国債市場も不安定だ。国債下落は日銀の経営を悪化させるし、通貨への信認も下落する。日本経済にとっては最悪の事態が待っているかもしれない。

白川元日銀総裁がリーマンショック後の金融政策で困惑し、懸念していたことが実際に発生するかも知れないのだ。

消費税増税は10月施行だろう。公約にも掲げたし麻生財務大臣も「選挙で認められた」という。景気でどうなるかはわからないが、消費税増税は強い政権でないと無理だ。今までも増税で退陣した政権がある。安倍総理が消費税増税を回避するとしたら安倍政権は決して強い政権ではないのだ。

安倍政権は決して「バラ色」ではない。「各課題の重要点をどこまで隠し続けられるか」が安倍政権の存続にかかわってくる。



2019年7月23日火曜日

2019年参院選を終わって(4):各党は低投票率48.8%に何故、コメントしないのか

安倍一強政治と言われ、「安定した政治」を訴えていたが、投票率は48.8%と2番目の低さ、安倍総理は勝ったつもりで「憲法改正の審議をすすめよう」とするが、その自民党も比例区の得票率が3年前の2011万票から1771万票に減った。盛り上がりに欠けた参院選だった。

その要因に安倍一強政権に野党が対案を出さず、政策論争がかみ合わなかったと読売新聞が指摘した。国会審議でも安倍総理は野党に対案を示せという。しかし、野党が財源を確保して対案を示すのは大変な仕事だ。政権与党が財源を考慮した政策が出せるのは官僚を利用できるからだ。

思い出してみよ、自民党が野党だった時に何ができたか。ただ批判ばかりしていたのではないか。それにスキャンダルをさらけ出すのはうまかった。今でもそうだ。

更に消費税増税反対と言うが、では社会保障制度維持のための財源確保はどうするのかと問われているが、野党は大企業向けの法人税、富裕層向けの優遇税制の見直しを主張していたではないか。安倍政権も消費税を上げる前に税制見直しをし、財界にも身を切る思いをさせたらどうか。

安倍総理は憲法改正を争点にしたが、各候補者は憲法改正を訴えたのか。触れていないのではないか。だから盛り上がらない。国民民主の玉木さんは「国会でもたびたび取り上げたが問題がある」とそう簡単にはいかないのだ。

野党ももたついた。早くから野党共闘、統一候補を岡田さんなどは提案していたが、立憲民主の枝野さんが渋った。自分が主導権を握り単独で戦うつもりだったようだが、立憲民主への政党支持率が上がらないとみて、共闘へ路線変更したのだ。

今回の1人区での野党共闘の成果を見て、衆院選に向け野党統一のリーダーシップを取ると言い出した。大丈夫か.

その財界も投票率の低さに苦言を呈した。

「極めて憂慮している。恐ろしいことだ」と言い、若者向けにインターネット投票などを考えるべきだと経済同友会はコメントした。

選挙のやり方もえげつない。

安倍総理は街頭演説でやじられることを嫌ってステルス遊説に徹した。会場で「安倍やめろ」「増税反対」と叫ぶ聴衆を警察が排除した。「混乱とトラブルを避けるため」と警察は弁解していたが、「言論の自由」を侵す危険がるし、警察まで安倍総理に忖度するのか。

また、安倍総理の民主党政権への批判、立憲民主を民主党と何回も間違える不規則発言には身内から批判の声が上がるほどだった。「令和時代の政治だから足元を固める政治を」と。

そして、どうして安倍政権の政治姿勢、民主政治の根幹を揺るがす行為を批判しなかったのか。

有権者のレベルの低さが、低投票率の結果になったのではないか。東京選挙区でトップ当選者が120万票を得て応援者と感動して抱き合う写真を見ると呆気にとられた。東京には相当のミーハー票があると言われていたがそうなのだ。

2019年参院選が終わって(3):たった20%の自民支持で「憲法改正議論を進めよ」か」


低調で50%を欠ける投票率で終わった2019年参院選だった。自民党支持は約20%、5人に一人の支持に終わったが、安倍総理は「憲法改正を議論せよ」との国民の支持を得たと胸を張る。国民投票法だって過半数の賛成がないとダメだが、20%ではどうするのか。

今日の新聞の一面トップは「首相改憲論を呼びかけ」(読売新聞)、「改憲 「自民案にとらわれず」野党に協議申し入れ」だ。

勿論、自民党内のも異論はあるし公明党も慎重意見だ。野党も当然だが、安倍政権の下での議論を嫌っている。万一国会憲法審議会に参加するようになると強引な安倍政権の政治手法を警戒しているのだ。自民党は審議会が開かれていることに意義があり、審議内容がどうかは問題ないのだ。

ところで今回の参院選は安倍総理の言うように憲法改正が争点になったのか。自民党の各候補者は「憲法改正」を訴えたのか。

野党は改憲の発議に必要な2/3議席(164議席)に達しなかったので改憲を阻止できたと評価する。ところが安倍総理は、国民民主にも憲法改正に賛成の議員もいるのだから国民民主を仲間に入れようとする。そうなると、国民民主は草刈り場だ。議員は生き残りをかけて自民党復党に動くかもしれない。

ところで憲法改正を議論する環境にあるのか。改正草案は自民党案に拘らないというが他に何があるのか。改憲4項目の必要性と憲法9条への自衛隊明記の必要性のバランスをどうとるのか。安倍自民が考えている9条1,2項を残し、3項に自衛隊をどう明記するのか。

何もわかっていないのにどうして2021年に安倍総理任期中に新憲法(?)が施行できるのか。


吉本興業、宮迫、田村さん処分撤回の記者会見の対応は日大アメフト部事件と重ならないか

吉本興業のお笑い芸人2人の反社会的勢力との闇営業問題が明るみに出、一度処分を出したがそれを撤回する異例の対応を取った事案の記者会見は何か日大のアメフト部の事案と重ならないか。

吉本興業が雨上がり決死隊の宮迫さん、ロンドンブーツ1号、2号の田村さんの単独釈明記者会見を受け、その反響の大きさに驚いた吉本興業が遅ればせながら社長弁解会見でコンプライアンス、芸人ファーストを打ち出した。

「いつの間にか戻ってもらえるなら全力でサポートする」と岡本社長は言いだした。涙をぬぐいながらの5時間にわたる記者会見だったが危機管理の専門家は酷評した。

宮迫さんの社長パワハラに「冗談だった」と言うが、宮迫さんの記者会見要望に反対し「処分するぞ」と脅したことは経営者として芸人より会社を守ることが重大だと考えたのだろう。

「あの二人にあんな格好で会見をさせたことは申し訳ない」という。本当なら会社側も出席した場であったと思うが、会社が反対していたのだからそうはいかなかったのだ。

あの日大のアメフト部での事件で、当事者である学生が単独で実情を説明する記者会見を開き、学生は評価されたが日大には批判が集中した。遅ればせながら理事長ではなく、順位としては4番目あたりの学長が会見したことも批判の的になった。

どうして吉本興業はこの日大の事例を参考にしなかったのか。弁護士などに相談していなかったのか。

宮迫さんらの涙を浮かべての釈明は見ていて本当のことを言っていると誰でも感じるが、吉本興業の社長の会見を評価する専門家はいないだろう。

今、テレビでお笑い芸人、タレントの存在しない番組は成り立たなくなっている。お笑い番組だけでなく情報番組にも出演し、その発言は若者に大きな影響を与えている時代だ。

写真週刊誌に写っている芸人さんがどんな仕事をしていたか知らないが、反社会的勢力と芸人の付き合いは、島田紳助さんの時に問題になり、売れっ子の紳助さんはすべての番組を降り引退したではないか。

何故、芸人たちのこういう事例を紹介し不祥事撲滅に努めなかったのか。

コンプライアンス、芸人ファーストと言っても6000人をどう束ねていくのか。先輩芸人さんたちの助けも借りて早急な対応が必要なのだろう。

2019年7月22日月曜日

2019年参院選が終わって(2):有権者は安倍とともに「前へ進む」選択をしたのか

2019年参院選が終わった。勝者は誰かと言いにくい結果に終わったが、言えることは好むと好まないとに関わらず安倍政権とともにあるのだ。「前へ進む」ことでどんな希望、期待が持てるのか。安倍総理はことあるごとに民主党政権を「あの悪夢のような」と形容しているが、では安倍政権は「バラ色の」政権なのか。

いろんな公約をしているが、すぐに表面化する政策課題はいくつかある。それがことごとく込み入った内容になっており簡単に方向転換できないのだ。たとえ安倍総理に代わって新しい総理が出てきたとしても「その尻拭い」は大変なのだ。

得意とする(?)外交を見てみよう。

対中では尖閣諸島の国有化以来、領海侵犯が絶えない。さらには東シナ海での勝手な海洋開発だ。日中首脳会談がされたといっても一向に改善されない。漁民は不安で操業もできないのだ。

対ロでの北方4島返還問題は、平和条約締結が前提となったが、ロシアのプーテイン大統領は「島は返せない」「経済開発でカネをだせ」が念頭にある。安倍総理の思いと現実には大きな隔たりがあるが、国民には詳細を隠している。

対米外交はトランプ大統領との類まれなる友好関係を保っているが、デイールでは関係ない。事あるごとに脅されて高額な兵器購入を要求され、応じるとツイッターでトランプ大統領がお礼を言う。

とりあえず、日米貿易交渉はどうなったか。今も続行中と言うが、すでに決まっているのではないか。参院選を控えて農産物、自動車で不利とわかると選挙に影響するので8月に発表することになったというが、トランプ大統領は「期待している成果」という。逆に言うと日本側が大きく譲歩していることか。

日米安保条約の片務規定、米軍事費の更なる肩代わりが要求されている。地位協定を含め見直しは望むところと野党は言うが、日米安保は日本の政治の安定条件なのだ。だから総理に就任すると即、アメリカ詣でだ。確かにこれから日本は少子高齢化で日本領土を守ることにも事欠く時が近づいている。

とりあえず出てくる問題がホルムズ海峡の安全確保だ。トランプ大統領は恩恵を受けている国が負担し合うことを提案し、「有志連合」で交渉が続いている。日本はこのニュースが出た瞬間に「憲法、法令を考えても対応できる環境にない」とコメントしたが、誰が見ても選挙向けのコメントだ。選挙が終わればアメリカ追随で加わるしかない。その時はどう釈明するかだ。

自衛隊を憲法9条に明記しても解決できる問題ではなかろう。イランとの友好関係も大事となるとウルトラCの策でも出てくるか。

兎に角外交で点数稼ぎは限界だ。

国内政治を見てみよう。

今回の選挙の結果、「安心安定な政治」を有権者は希望していると2階幹事長がコメントした。本当に安倍政権は「安定した政治」をやっていると思っているのか。おまけに「安倍4選」まで口にするから驚きだ。自民党内のポスト安倍はどう思ったか。

内閣人事局制度を悪用に長期政権を築こうとしている。民主政治の根幹を揺るがす忖度政治がはびこる。札幌での安倍総理の遊説で「安倍やめろ」ヤジで警察が男を会場の隅に連れ出した。警察までが忖度警備をし、言論の自由を妨害しているのか。

遅々と進まぬ国会の憲法審議会にしびれをきざし、テレビや新聞で憲法改正の推進、自衛隊の9条明記主張をする。今までの選挙では野党が「憲法改正反対」の訴えをしても自民党は争点から肩透かししていたが、今回は「憲法改正を審議する政党か、審議しない政党かを選択する選挙だ」と言いだした。

ご都合主義でなんでもできる安倍政権をうぬぼれている。有権者は発議条件の2/3の議席をかろうじて与えなかった。今後国会での審議がどうすすむか。

経済ではアベノミクスの成果だ。

景気基調も「悪化」になり、「やっと我々の実感に近づいた」と苦笑いする中小企業の経営者がテレビ画面に映った。街角インタビューでも「成果を実感できない」とう国民が多い。格差拡大も問題だ。ローカルアベノミクスはその一環なのか。

アベノミクスの根幹である「異次元の金融緩和」の縮小、出口戦略は金融政策の正常化に向け先進国の中央銀行に遅れを取っている。「2%物価上昇」に拘るあまり、出遅れているが、いつまでもこんな状況では許されない。

安倍総理の任期中にめどをつけるというがどうするのか。一方で金融政策は日銀に仕事、黒田総裁を信頼していると逃げる。

年金、2000万円生活費不足問題は今後も重要なテーマだろう。各党最低生活者への資金給付などを謳っているが財源確保はどうなっているのか。安倍総理は争点をはぐらかし年金制度の維持を節啓していたが、どうなるか。

喫緊の課題は消費税2%アップで10%へ。景気後退局面で増税は反対も多い。でも借金の返済、各種社会保障制度の維持にとっては確実に確保できる財源である。10月からの増税ではまだ時間もある。リーマンショッククラスの経済危機ともなれば収支もあるだろう。でも3度の先送りは決して強い政権のやることではない。

兎に角、しっかり国会で審議できる環境整備が大事だ。○○審議会、諮問委員会を多く設置しYESMANの民間議員も加え政策の提言をさせ、お墨付きを得て国会提出、ろくに審議も出ずの強行採決の手段に出る従来のやり方はいかがなものか。

これからの自民党が置かれている環境も安倍政権にとっては有利だ。

公明党は与党政権で自民党の補完政党、ブレーキをかける行動に出るが政教分離を問うと折れる。

国民民主は自民党に近い議員も多い。憲法改正では草刈り場になるだろう。社民党と同じ運命をたどるのではないか。

立憲民主も旧民進党の連中を集めて再建できるか。リーダーの力量が問われる。

ポスト安倍はどうか。保守系リベラルが出てくるか。

有権者は自民党支持で「前に進む政治」を望んだが、安倍政権を全面的に支持したわけではなかろう。「他よりマシ」しか選択理由がないのだ。







2019年参院選が終わって(1):勝ったのはどこだ!自公でもないし、立憲民主とも言えない

NHK選挙報道特集
2019.7.21 午後8時
今回の参院選は一体どの政党が勝ったのか。 当選者に花をかざす自民党安倍総理、公明党山口代表、立憲民主党・枝野代表の笑顔とは裏腹に、自公でもないし議席を伸ばした立憲とも思えない。



自民党、公明党
野    党

与野党議席数
141議席
104議席
過半数 123議席
改憲勢力
160
   84
2/3に4議席たらず

自民は-10議席、公明が+3議席で自公で-7議席、過半数を確保できたとしても改憲勢力である2/3議席には4議席足らない160議席で勝者とは言えず、一方野党は立憲民主は+8議席だが国民民主は-2議席で2016年の時の旧民進党の32議席を23議席に減らし、こちらも勝者とは言いずらい。

投票率も48%台で2番目に低いという。争点も与野党でちぐはぐさが目立ち、野党の不甲斐なさから当初から自民有利の観測が流れた。

今回の選挙戦を見ても、自民党は安倍総理、菅官房長官など有力閣僚、議員が総出での選挙を戦ったが、一方立憲民主、国民民主は目立つのは枝野さん、玉木さんは当然としても旧民主党の政権を担った議員は何をしていたのか。

鳩山さんは立憲民主、国民民主の足を引っ張る活動をしているし、野田さんは民主党潰した張本人と思われている。菅さん、前原さん、岡田さんも地元で応援応援していたのだろうがメデイアでは目立たなかった。小沢さんは率いる自由党を国民民主に合流させ、選挙顧問に当たっていたが小沢アレルギーは特に立憲民主に強そうだ。

とてもではないが、立憲民主、国民民主が総力戦をやったとは言えない。

安倍総理に機会あるごとに「あの民主党」「悪夢のような民主党政権」と嘲笑され続けたが反論すらできなかった。

だから有権者は「後戻りできない」、「他よりもマシ」と頭にこびりついているのだ。これを払しょくできなければ野党はだめだ。

そして枝野さんのように政策の一致なしに国民民主党の共闘、統一はできないと主張していたが、立憲民主の政党支持率が上がらないとみると共闘路線に急きょ舵切した。

今回の選挙の結果から野党をまとめるリーダーシップを取るというが、大丈夫か。国民民主が改憲に向け好意的姿勢であることを考え、安倍総理は改憲に向け国民民主の同調者を抱え込むという。

そうなると国民民主の新勢力21議席も危うくなる。憲法改正にしっかりした考えを持たなければ社民党の運命をたどる。

次期衆院選に向け、旧民進党勢力がどうまとまっていくか。主導権争いからリーダーシップの取り合いをやってはいけない。曰く付き、レッテルを張られた人材でなく、新しい人材を発掘すべきではないか。

今回の選挙戦の結果について、開票直後に誰が最初に当確を出すか注目していた。

NHKの報道特集番組にチャンネルを合わせてみていたら、丸川、山口当確と出た。東京選挙区での出口調査結果からだ。最終的に丸川さんは116万票も取ったという。東京はミーハー票が多いと言われているが組織票も固めて獲得した票だ。

野党は知名度、タレント候補を擁立したが本当に政治ができるのかと疑問に思う候補者も多かったのではないか。サプライズを求めて各分野から優秀な候補者を探し出しているのだろうがなかなか人材が掘り起こせない。

一層のこと、議員数の削減をやったらどうか。維新の会が「身を切る改革」を打立てていたがそう通りだ。大阪でできることが何故、永田町でできないのか。松井さんの訴えに同感だ。

与野党が拮抗する選挙区では無党派層の存在が大きかった。NHKは新潟、広島選挙区を分析していた。

驚いたことに二階幹事長は「安倍4選」を言い出した。順調な戦いで、期待に慎重に答え「安心安定した政治」を有権者は求めていると評価していたが本当に民意がわかっているのか。

野党がどう体制を作り直してくるか。衆院選でどんな人材を発掘してくるか。期待したい。










2019年7月21日日曜日

街頭演説で「安倍辞めろ」「増税反対」の声を警察が排除を考える

参院選の選挙運動が終わったが、北海道警が安倍総理の街頭演説で「安倍辞めろ」「増税反対」の声を上げる聴衆を排除したことが問題になっている。警察まで安倍総理に忖度するのかと疑う。

北海道警は「犯罪、トラブル防止」を排除理由に挙げているが、「公権力の乱用」「表現の自由への制限」と批判を受けている。

たった10~15分の間のヤジにどんなトラブル、犯罪が想定できたか知らないが、ちょっとやりすぎではないか。

国会の予算員会を見てみても野党議員が安倍総理めがけてヤジを飛ばしている。ひどいときは委員長が注意するほどだが、安倍総理も答弁中にヤジを受け、「答弁しているのだから静かに聞け」と反論している。

さらにひどいときは総理の席から野党議員を指さしてヤジを飛ばしているではないか。

これが我が国の政界のレベルなのだ。

参院選に問う(12):「前に進む」か、「後戻りする」か、ここは一旦立ち止まるか

「前に進んで何がある」か、「後戻りは悪い」のか、今回の参院選はいったん立ち止まって安倍政治を検証し、次の衆院選で決めたらどうか。今の安倍政権を見ていると「前に進んで何があるか」、何か希望が持てるのか、安倍総理が言うように本当に「安定した政治」と言えるのか。

圧倒的多数の議席を自民党に与えたために安倍官邸は我が物顔で政権運営をしている。このままでは民主政治の根幹を揺るがす結果になっている。民主政治を取り戻すためにも今回の参院選は与野党拮抗する国会勢力にもっていくべきではないか。

そして次の衆院選が大事になる。安倍総理が引き、次の自民党総裁は誰か。野党はどの程度組織を固め政権交代を訴えることが出来るか。

そのためにも今回の参院選は大事だ。低投票率で安倍政権を勢いづけてはいけない。

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2019年7月20日土曜日

安倍総理に問う(3):成果がないのに、いつまで続けるのか「異次元の金融緩和」


「2年で2%」と華々しく打ち上げたアベノミクスの第一の矢「異次元の金融緩和」、一時の成果はあった(?)と思われていたが、これと言った成果はなく、いつまで続けるつもりか。

今回の参院選での自民党公約要旨を見ても経済面では「GDP600兆円」、「成長と分配の好循環」、「ローカルアベノミクスの推進」と記されているだけ。他の党も金融政策に対してのコメントはない。格差拡大で評判の悪いアベノミクスで地方経済の活性化を目指すとでもいうのか。

今は、米中経済摩擦で世界経済は下降局面、欧米中央銀行は縮小、利上げで金融政策正常化を目指していたが、ここに来て再び緩和の動きが出てきた。日銀は「2%物価目標が安定するまで」緩和策を継続し遅れを取っていたが、これで一先ず「ホッと」したところか。

でも他の中央銀行が利下げなどの政策転換もあるが、日銀には金融政策での自由度は小さい。いずれにしても厳しい政策運営になる。

アベノミクスの評価も散々だ。

安倍政権は好転した経済指標を並べて成果を主張するが、実感は感じられない。景気基調を「悪化」と評価したことで初めて「我々の実感に近づいた」と苦笑いする中小企業の経営者だ。

格差は拡大、地方は疲弊している。

一方、リフレ派経済学である「異次元の金融緩和」を非伝統的金融政策と評し実証なき理論とこき下ろす経済学者もいる。アベノミクスで当初円高→円安、株安→株高に移ったように見えたが、京大名誉教授の伊藤先生は、その頃を検証した結果、日銀総裁を更迭し異次元の金融緩和策を打つかなり前から欧米の投資ファンドは日本市場に注目しすでに行動を起こしていたという(アベノミクス批判 伊藤光晴 岩波書店 2014)。信州大学の教授も同じ考えを述べていた。

何のことはない「市場の見えざる手」がすでに働いていたのだ。

そして今、リフレ派の旗振りをした人はどう考えているのか。

日銀のリフレ派政策決定委員はさらなる緩和を主張する。ところがエール大名誉教授で内閣府参与の浜田先生は最近「雇用が改善したのだからいいだろう」と言いだした。2%物価目標未達でも問題にしないらしい。

当初考えられたストーリーは「市場の通貨量を増やす→物価が上がる→賃金上昇→消費拡大→投資増→景気の好循環」のようなものだったが、物価は上がらない。長期金利は低く保っているが投資が増えない。M&A,バブル経済、大企業は儲けを内部留保し、その額は460兆円にもなる。

成長と分配の歯車があっていない。企業の儲けを家計へ再分配するシステムがなかったことで海外から強く望まれた「内需拡大」もことごとく失敗した(前川レポート、21世紀版前川レポート)。

ところで異次元の金融緩和政策をいつまで続けるのか。

国会審議では「2%物価目標が安定的に維持できるまで」と安倍総理は答えていたが、「いつまで続けるわけにもいかない。私の任期中にやり遂げたい」と言ったそうだが、何をやり遂げるのか。景気も好転し緩和縮小、出口戦略で正常化を目指すのか、欧米に遅れを取っているため2%未達でも出口戦略に向かうのか。

国会審議で前原さんに「2%の根拠を聞かれ」、「2,3,4%と専門家は数字を並べるが一番達成の可能性がある2%に決めた」と言う。前原さんは「それだけの根拠か」とあきれていたが、その程度なのだ。

それでも「日銀の黒田総裁に任せている」「信頼している」と他人まかせである。目標設定は安倍総理だったが、未達の原因は黒田総裁で逃げるのか。達成時期も日銀は言及しなくなったが、2021年頃という。それでも2021年の物価上昇率は1.6%と予測し今から未達を宣言しているようなものだ。

非伝統的金融政策である「異次元の金融緩和策」は、実証されていない理論であり、その成果は海外の主流派経済学者のみならず我が国の経済学者も否定している。

また、実際にその通りになっているのだが、日銀の政策決定会合委員の中には「更なる緩和」を主張する者もいるし、アメリカからは新しい経済理論であるMMTが飛び込んできた。なんと日本をモデルにした理論だという。

「国の借金は気にするな。悪いインフレになれば緊縮財政で調整しなければならないが、それまでは財政出動せよ」と言うのだ。

財政出動し、市場の通貨量をさらに増やせば日本の経済はどうなるのか。2010年頃前の白川日銀総裁が危惧していたことが起こる可能性が高くなってきた。



安倍総理に問う(2):「憲法改正」議論はしても良いが、安倍政権のやり方に警戒しているのでは

安倍総理は「憲法について議論する政党を選ぶか、しない政党を選ぶのか、それを決める選挙だ」と、一人で強調するが、野党だって憲法を議論することに反対ではない。問題は集団的自衛権の行使のように国会審議ではなく、閣議で解釈改憲をやってしまう安倍政権に警戒しているのではないか。

安倍総理の憲法改正の主眼は「9条に自衛隊明記」で従来の自衛隊違憲論に終止符を打ちたいのだろう。改憲4項目が上がっているが、現行の法律でも対応できる内容で注意点をそらす作戦なのだろう。

現状の国会議席数から考えると、国会の憲法審議会の委員は圧倒的に自民有利だろう。審議が進まないとみると最後は強硬手段に出て自民党草案を通してしまう。安倍総理の言う「丁寧な説明」など期待できないのだ。

ところで、自民党はいつから憲法を審議できる政党になったのか。今までの選挙を通じて各野党は「憲法改正反対」を訴えてきたが、選挙に不利とみると自民党は一言も触れず「肩透かし」を食らわせ議席数を確保してきたのではないか。

そんな安倍自民党に「議論する政党か、議論しない政党か」など言わせたくない。

今の国会の憲法審議会の状況を見ると、国民投票法改正でメデイアによるCM規制が審議され与野党が対立していると見た。確かに言論の自由もあるが支持団体から十分な資金を集めることが出来る自民党がテレビなどメデイアに多くのCMを流せば国民を懐柔することなど簡単だ。

ここは自民党が折れて、本来の憲法審議に入る道を選ぶこともできるが、それは自民党の責にある。

兎に角、安倍総理は「自分の推奨する憲法改正案を審議してくれる政党かどうか」を問うているのだろう。

しかし、今はそれどころではない。年金、雇用、経済が重要なのだ。世論調査の民意からすると最下位の憲法改正をトップ政策に据える安倍自民に多くの支持を与えていいのか。


2019年7月19日金曜日

参院選に問う(11):「前へ進むか」vs「後戻りするか」で選択すると消費税増税はどうなるか


安倍総理は今回の参院選で「前に進むか 後戻りするか」と暗に「悪夢のような民主党政権」があるように思えるが、その旧民主党政権時の野田元総理も「前へ進むか 後戻りするか」と有権者に訴えていた。いずれの政権も自らの政権は「前へ進める政治」と思っているのだろう。

今、争点になっている消費税増税について考えてみよう。

安倍自民は「消費税10%への増税」を訴え、年金問題では「財源を確保する。低年金者には給付金制度を設けることをアピールしている。全世代型社会保障制度の構築の財源として消費税増税を訴えている。

更に増税分の半分を国の借金の返済に充てるという。若者たちは1100兆円にも上る先進国一悪い国の財政で将来不安を抱えていることを払しょくするためだ。これに対しては債務ばかりでなく、資産も持っているのだから大した問題ではないという専門家もいる。

一方、旧民主党系の立憲民主と国民民主は「消費税増税凍結」「大企業への法人税、富裕層への優遇税制の見直し」を訴え、国民民主は「家計が第一」と訴える。企業の儲けが家計へ再分配されていないのだ。

確かに安倍政権は法人税実効税率を約35%から30%以下、25%ぐらいまでさげたし、さらには海外から企業を誘致し世界で一番活動しやすい国として法人税を下げると約束している。富裕層への金融所得課税は20%に抑えられている。

でも海外から企業を日本に誘致できているのか。異次元の金融緩和で潤った大企業はM&A、バブル、社内留保で450兆円もため込んでいる。これを吐き出させるために麻生財務相が経済財政諮問会議で課税したらどうかと提案したが、二重課税になると反対されたことがある。

自民党が言う社会保障制度維持、国の借金返済のために消費税増税するのを「前に進める政治」と言うのであれば、消費税増税凍結、法人税など税制見直しを主張するのは「前に進めるのか」「後戻りするのか」どちらだ。

法人税制など見直しするのであれば安倍政権前に「後戻りする」ことになる。でも民主党野田政権も当時消費税増税に賛成していたのだ。立憲民主の枝野さんはそこのところを聞かれて「あの時は判断が間違っていた」と言ったそうだ。

自民党だって消費税増税を2度先送りし、10月からの増税も経済状況によっては変わるかもしれない。

ここは「後戻り」した方がよさそうな気がするが・・。増税すれば消費は落ちることは確かだ。それでつぶれた自民党内閣がある。アベノミクスで経済の好循環が得られれば税収も増え国家予算の運用も楽になるだろうが増える社会保障費や国土強靭化での公共投資を賄うことは難しい。

大企業も「国は破産し企業だけ生き残る」ような社会を望んでいるのか。それ相当の税負担を負うべきだ。




今日の新聞を読んで(278):人口減・高齢化が投票所減で民主政治の根幹を揺るがす

人口減、高齢化という社会現象が、選挙の投票所減という国の民主政治の根幹を揺るがすことになってきた。地方議会での議員になり手不足、役所の職員減など問題になっていたが、選挙にかかわることまで問題が波及しているのだ。

読売新聞(2019.7.18)によると参院選で投票所が858か所減少したという。3年前に比べて1.8%減、その原因に合併で職員数が減少したほか、高齢化などで投票立会人の確保が難しくなったのだ。

35%の投票所が終了時刻を繰り上げたり、投票所を集約してタクシー券を配布したりして投票率の低下を防ごうとしているらしい。

物理的要因で投票所に行けない有権者に各自治体はいろんな工夫をしているが、若者の低投票率も問題だ。少々遠くの投票所でも行ける若者がどうして権利を放棄するのか。

ネットでの投票なども検討されているようだが、郵送方式はどうなのか。有権者の世帯主に投票用紙が郵送されてくる。それに投票封筒をいれればいいだけのことではないか。もちろん法的検討も必要だ。

投票用紙も候補者名を印刷しそれにチェックを入れるように簡便化したらどうか。候補者の名前を書くのも大変だ。特に高齢者には負担になる。

人口減、高齢化、少子化の社会問題が民主政治を揺るがす事態になってきた。

2019年7月18日木曜日

安倍総理に問う(1):「安定した政治」とはどの程度質の悪い政治か

安倍総理はことあるごとに自らの政権、政治姿勢を「安定した政治」と主張し支持を訴えているが国民はどの程度理解して支持しているのか。安倍総理が「安定した政治」と言う背後には「あの悪夢のような民主党政権」があることは明らかだ。

年金問題が出、政権がゴタゴタすることを嫌った小泉さんは、国会を延長せず内閣は総辞職した後、第一次安倍政権、福田政権、麻生政権そして政権交代した民主党政権は「いつ解散総選挙か」という政局に追われ何をやるにも政権が政策を提案しても野党は「いつ解散総選挙か」と追及一転張りに加えて政権を手放したくない政権与党は「政権のたらいまわし」だ。

民主党の菅政権は解散総選挙を追及されると、次から次に政策を提言し「達成のめどがついたら辞任する」といいだした。

続く野田政権では松下政経塾出身らしく「前に進める政治」に取り組むが野党の自民党は「いつ解散総選挙か」の一点張りだったが、党首討論で「約束してくれれば明後日解散します」と言質を取られた。

政権交代も絡んだ総選挙では「前に進むか。後退するか」と野田さんは訴えたが、惨敗した。安倍さんも今「前に進むか、後退するか」と訴えている。自分の政治は「前に進む政治」と自覚(?)しているのだろう。

確かに民主政権では小沢さんと言う辣腕政治家が表に出ず、権力の二重構造を来し政権は対小沢で苦労した。菅総理の時「小沢さんはしばらく静かにしていてほしい」と発言するや内閣支持率が急騰したのだ。

不安定な政権が6年間続いた後、第二次安倍政権が発足した。

内閣を重要な人材で固め、内閣人事局を設置、第一次お友達内閣の失敗から慎重は人材選びになった。閣僚の不祥事には即辞任させ、批判の芽を摘んだが、続く不祥事では内閣の存続にも影響すると見て、「止めるかどうかは本人の決めること」と「任命責任は認めた」ものの総理としての責任を取ったためしがない。

財務省の不祥事も麻生さんが責任をとって辞めないことで無責任が常態化した。

自民党内も高齢の重鎮連中が引退し、政権に苦情をいう人材がいなくなった。

政治手法も強権だ。国会審議を軽視し、○○審議会などYESMANの民間議員を加えて政策の提言をさせ、お墨付きで国会へ提出。審議も中途半端に強行採決の連続だ。

安倍総理の国会審議での答弁もひどすぎる。質問の本質を反らし自分に有利な方向へ議論を進めるので審議になっていない。野党は同じ質問を繰り返すが、今度は「総理の国会出席が多すぎる」と自民党が言いだした。

国会審議中と言うのに、得意(?)な外交をやりたいために海外へ飛びまくるが成果のほどはわからない。

各国首脳と首脳会談するも通訳だけ加えた二人っきりの交渉時間を設けているという。一体どういう内容なのかブラックボックスだ。国会で野党が確認すると「交渉事なのでコメントできない」とにげる。

自分の立場を考えてか、ポスト安倍候補を干し上げる。石破さんは無役職でパッとしなくなった。岸田さんは禅譲を期待しているのか、安倍さんに反抗しない。でも最近街頭演説で安倍さんの演説に苦言を呈していた。

ポスト安倍に小泉進次郎さん名前が上がるほどだから世代交代を国民は要求しているのか。

こんな安倍政治が「安定した政治」と言うのであれば大きな誤解があるのではないか。強権政治で反対意見も出ず、圧倒的多数の議席でどんなことも思いのまま、緊張感のない政治が「安定した政治」なのか。




今日の新聞を読んで(277):リーマンショック後、日銀金融政策に白川元総裁の苦悩が


2009年1~6月の金融政策決定会合での議事録が公開された。2008年9月のリーマンショック後、国内経済の急激な悪化に白川元日銀総裁が悩む姿が浮き彫りになった。当時日銀は「小出し」の緩和策で政府、市場から批判が集中していたが、白川元総裁は金融政策は経済政策、日銀のバランスシート、通貨の信認などで長期の国債購入に反対していた。

日本経済を立て直すと胸を張って主張した安倍総理のアベノミクスで円安、株高基調になったが、「2年で2%」の物価目標は達成できず異次元の金融緩和を継続中だが、米中経済摩擦勃興で世界経済は下降リスク局面になり、利上げ中止、利下げ、さらには緩和策へ逆行する動きになってきた。

1929年の世界大恐慌の再来かと思われたが、連続倒産は起こらずV字回復した要因は「大幅な金融緩和」、ゼロ金利政策が功を奏したと思われているが、主流派経済学者は非伝統的な金融緩和は裏付けのない理論であり、成果は期待できないと反論していた(「アベノミクス批判 伊藤光晴 岩波書店 2014」。

今から思えばリフレ派経済学者に頼らず「市場の見えざる手」に任せておいた方が世界経済にとっては良かったのではないか。市場の期待感をあおるのではなく、市場にすべての判断を委ねればよかったのだ。

新聞報道などから当時の状況を時系列でみてみた。

  年  月
経済状況など
白川元総裁の考え
2008年9月
リーマンショック
円高 株安


2008年10~12月期
GDP 年率換算で12.7%の大幅減
追加緩和の期待強まる
言葉を失うような悪い数字
2009年1月
社債、CP買い入れ3兆円政策金利0.1%
従来の緩和的金融政策では効果が発揮できず
次の一手に思案
中央銀行の独立性がそがれていく
2009年3月
国債買い入れ増額
財政ファイナンス?
通貨に対する信認が崩れ非常に悪影響が出る
2009年末
社債、CP買い入れ一時ストップ

2009年
再び円高、ドル安

2009年12月
追加の金融緩和

2010年10月
包括的金融緩和策復活

2012年11月
民主党野田総理解散総選挙へ
民主党政権で為替介入?

欧米の投資ファンドが行動起こす

2012年12月
自民党政権交代、安倍政権

2013年3月
日銀総裁に黒田さん

2013年8月
アベノミクス「第一の矢」異次元の金融緩和で期待感煽る
「2年で2%」物価目標


時系列でみると、白川日銀総裁は学者らしく、金融政策は経済政策、岩田副総裁が言っていた期待感をあおる「おまじない」ではないのだ。日銀のバランスシート、通貨に信認にも思いを巡らせ慎重な金融政策を遂行していたはずだ。

白川総裁の危惧した状況は今後日本経済を襲ってくるだろう。

ところでリフレ派の異次元の金融緩和に真っ向から批判している主流派経済学者がいる。伊藤光晴京大名誉教授だ。

伊藤先生は日本経済が円高→円安、株安→株高に基調転換した経緯を詳細に調査した結果、アベノミクスの「異次元の金融緩和」の成果ではないことを突き止めている。

円安では2012年11月ユーロ資金は円買いで円高、1ユーロ100円、円為替79円台だったが2013年4月には1ユーロ130円、円為替も99円台、それに為替介入も加わった。株価では2012年11月8661円台が2013年5月には14180円台で金融政策決定会合の前からすでに上昇していたのだ。

更に、異次元の金融緩和はエビデンスのない理論で成果は初めから期待できないものだという。大量の通貨を供給→物価が上がる(予想インフレ率の上昇)→予想実質金利下がる→景気浮揚のストーリーを描いているのだろうが、オックスフォード大の調査では長期金利が低下しても投資には影響がないという。経済企画庁の企業動向調査でも同じ結果が得られている。

テレビのインタビューで企業の経営者が、儲かるものがあれば借金してでも投資すると言っていた。今は投資する魅力のあるものが見つからないのだと言った。

リフレ派経済の旗振りだったエール大名誉教授の浜田先生も最近「雇用が改善しているのだからいいだろう」と言いだした。2%物価目標をあきらめたのか。

今は、いろんなセーフテイ―ネットが張られ世界的な景気下降局面でも大きな影響がでないように政策で工夫されている。1929年のような大恐慌はないだろう。

市場のことは市場に任せたらどうか。「市場の見えざる手」が働き正常化へ向かう道もある。政治が介入するといろんな障害が出て正常化への道が遠くならないか。

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2019.7.12掲載
インフレ目標の是非:「神の見えざる手」か、「金融政策の枠組み見直し」か