2020年7月15日水曜日

今日の新聞を読んで(378):朝日、原・編集委員の「民主党政権にもレガシーはある」に同感だ


以前から不思議に思っていたのは安倍総理が「あの悪夢のような民主党政権」と度ごとに批判してきたが、旧民主党議員は誰一人反論せず、安倍総理を図に乗せた。野田政権をはじめ民主党政権にレガシーはあるのだ。

朝日新聞(2020.7.15)の「安倍首相の悪夢 民主党政権にもレガシーはある」の原・編集委員の記事には全く同感だ。

民主党政権にも権力闘争、政策の右往左往はあったが、政治的功績は大きいのだ。逆に、アベノミクスで国民を酔わせ、自分の数々の不祥事で民主政治の根幹を揺るがす事態に導いた安倍政権を「あの悪夢のような安倍政権」と歴史は言わしめるだろう。

そのトップの質が問われる安倍総理は今、新型コロナウィルス対応で国民の批判にさらされている。

民主党政権時代を思い出してみよう。

鳩山政権は「辺野古移転に反対、最低でも県外」を掲げ沖縄県民の期待を浴びたが、考えれば考えるほど「辺野古」と撤回した。この公約違反は大きかった。

これまで自民党政権は米国大統領と友好関係を保つことが支持の前提条件だったが、鳩山さんはまず最初に訪中し対中国政策を優先した(?)。小沢さんは習さんの訪日時に「将来トップになる人」だからと慣習を破って天皇会見をごり押しした。その習政権が今、尖閣諸島をはじめ領海侵犯を繰り返し日本漁民を危険にさらしている。

「コンクリートから人へ」は巨額な公共事業をやめ、人に投資することの大切さを国民に示し、工事中だった八ッ場ダムを計画中止にもっていったが後に工事再開へ逆戻りさせた。

今日本中が集中豪雨にさらされているが果たして八ッ場ダムが利根川洪水に効果があったのか検証が必要だ。一方で、事業の是非が争われたスーパー堤防計画がある。私の住んでいる近くにも多摩川のスーパー堤防があるが、河川の背面ののり面を緩やかにして堤防決壊を防止し、住宅開発(都市計画)を推進しているが、部分的に構築しているので全体が出来上がるのはどのくらいの年数、資金がかかるかはわからないのだ。税金の無駄使いといえばいえる。

菅政権の時に3.11東方地方太平洋沖地震、巨大津波に襲われ福島第一原発が津波被害でメルトダウンを起こした。菅総理は直接現場を見たいと周囲の反対を押し切り自衛隊ヘリで現地入りし、現場事務所で関係者と話しあった。

当時、総理が行くと現場での復旧作業に支障をきたすとか、トップは東京でデンと座って情報を集め指示を出せばいいのだなど批判を浴びた。しかし、トップとなると現場がどうなっているかの現状を確かめたいのだ。官邸に座っていても情報はなかなか上がってこない。途中で情報の内容が変わることもあるのだ。

安倍総理が新型コロナウィルス対応で打ち出す政策が批判される機会が多くなった時、安倍総理は「官邸に民意が上がってこない」とぼやいたことがある。

菅総理は国上げての対応が必要と思い、自民党谷垣総裁に副総理格、復興担当での入閣を要請したが、自民党は民主党に力を貸す必要はないと断った方だ。あまりにもひどい自民党だが、今安倍総理は福島の被災地を頻繁に訪問している。「福島の復興なくして日本経済の再興なし」?

緊急事態にあった時にトップはどう判断するか。国民にとっても重大なことなのだ。

危機管理に長け、長期政権維持に成功したかに見えた安倍政権だが、新型コロナウィルス対応では右往左往の状態だ。

感染拡大に危機感を募らせ周囲の意見も聞かず、独断(?)で「全国一斉休校」を要請し学校、保護者、学童など関連施設を大混乱に陥れた。1週間ほどで延長せず、次に緊急事態宣言に結びつけるのだが、官邸は主導権争い状態になった。

経済政策ではアベノミクスに異次元の金融緩和で2年で2%の物価上昇、円高、株安から円安、株高と一時成功したかに見えたが、6年たっても2%は達成できていない。アドバイザーの浜田さんも「雇用が改善したのだからいいだろう」と言い出した。今アベノミクスを言う人はいない。

一方、実質経済成長率で比較すると民主党政権時は1.8%だったが安倍政権では1%前後だ。野党が何度か国会で質問すると安倍総理は聞いたこともないような経済指標を持ち出し成果を主張する。都合のいい経済指標を使っているから議論にならない。

民主党政権の「事業仕分け」は国民に税の在り方、使われ方を示す絶好の機会となった。テーマは財務省があらかじめ選び出したものだったから本質には迫っていなかったようだが、官僚や関係者のくどくどした説明がなければわからないような事業内容には驚いた。判定が廃止、再検討になってもあとで復活するし、焼け太り状態には唖然とした。

しかし、「行政事業レビュー」として受け継がれ衣替えして今も残っている。新型コロナウィルス対策での巨額な補正予算の追及を受けることになったという。

有名なのはスーパーコンピューター開発競争で「世界第2位ではだめなのですか」という蓮舫さんの質問だ。この発言が科学技術をないがしろにしていると学識経験者はこぞって批判した。しかし本音はスピードの競争ではなく、その利用法なのだ。今は利用者視点に切り替わっているというのだ。

民主党政権の最後の野田政権も功績は大きい。安倍政権では先送りが多かったが野田総理は「政治を前に進めた」唯一の政権だ。復興税は薄く広く長期にわたって徴収する特別税にしたし、消費税を10%に上げる筋道をつけたが、安倍総理は何度も先送りし今、やっと10%にした。

そのほか行政改革も提案し、「約束してくれれば明後日解散する」と党首討論で言明した。安倍さんは約束したために解散総選挙になったが、野田総理は「政治を前に進めるか、後退させるか」と選挙民に問うたが国民は「後退」を選んだ。民主党議員は大幅な議席減に野田総理を憎んだが、お門違いではなかったか。

そして原さんは言う。安倍総理は赤字財政を進めているが日本の財政が市場の信用を決定的にうしなわずにすんでいるのは民主党政権の遺産だという。

国民民主、立憲民主の旧民主党の議員さんよ、安倍総理に勝る(比較にもならない)レガシーを残しているのだ。勇気をもって統合に進んだらどうか。そして再び自民党政権と対峙する政党にすべきではないか。

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