2019年9月1日日曜日

今日の新聞を読んで(287):増え続ける世界の借金1京9000兆円、日本の緩和資金はどこへ


1ヶ月ほど前にテレビで世界の借金が1京9000兆円という途方もない額に膨らんだというニュースを聞いたが、読売新聞(2019.8.30)「国際経済 世界の借金過去最高」を見てその内容が分かった。

景気対策で日本や米国など各国中央銀行は金融緩和で市場に低金利の資金を流し国内投資→経済成長を目論んだが2%という物価上昇も程遠く、資金は海外投資や米国ではリスクの高い融資に回っているようだ。

それによると世界の債務は180兆ドル(1京9000兆円)で国別内訳はアメリカ28%、中国18%、日本10%などだ。

その日本の銀行による融資残高は4.4兆ドル(約460兆円)、国地方合わせての借金は約1100兆円で世界一悪い。日本の債務が18兆ドル(役1980兆円)だから残り約500兆円はどこに行ったのか。

あれだけの緩和を長期にやっていながら日本の銀行には貸し出し先がない。そうだろう。以前にも中小企業の経営者が「儲かる話があれば借金してでも投資する」と言っていたのを思い出す。おまけに過去10年間で日本の企業や家計の借金は減っているという。新聞では投資のために新たな借金をしないのは日本経済の成長性の乏しさの裏返しという。

借金ではないが、日本の企業は460兆円の内部留保をしている。

投資に使わないのならなぜ、異次元の金融緩和策を続けるのか。投資先はなくても緩和策を続けるということが市場の期待に答え、大きな経済の混乱を回避しているのか。

一方、アメリカはどうか。ムニューシン米財務長官が「50年から100年かけて返済する超長期国債の発行を考えている」と表明した。トランプ政権が当面の政策を行うために金利の低い資金を今借り入れ、長期にわたり返済し負担を軽くすることを考えているのだという。

ところが、多くはないがIT、健康、医療、エネルギーなど経営内容の良好でない企業に高リスクで投資するレパレッジドローンの残高が約130兆円になっているという。リスクはあるが高い利回りで融資しているのだ。米国でも市場にだぶつく資金の貸出先に苦労しているのだ。

中国の財政状況も心配だ。実態がつかみぬくい。発表している経済指標の信頼性も乏しい。

リーマンショックのときは中国だけ4兆元を投資し、生産設備に投資、生産を拡大し世界経済を一人で牽引したほどだ。その実態が分かってくると、むやみやたらに鉄鋼製品を造ったために製品が滞留し錆びたままで野積みされ、困った果てにダンピング輸出し日本やアメリカの鉄鋼会社に影響が出ている。

トランプ大統領がラストベルトの鉄鋼産業の復活を狙っているのも当然だ。

中国は政府、企業、家計に過剰な債務が抱えられているのだ。以前は低賃金で製造し「世界の工場」といわれていたが今は賃金も上がり、米中貿易摩擦もあって中国から他の国に生産設備を移しているという。中国では今まで「地方から都会へ」を促していたが今は「都会から中都市へ」を推進しているらしい。

大きな債務を抱えながらなぜ、一帯一路構想でアフリカなど新興国の経済、開発支援を行っている財源は何なんだ。海洋進出、過剰投資は「債務のわな」と問題化している。石油産油国で輸出で借金を支払えると計画していたが石油の価格が下落したために支払いができなくなり港湾施設周辺の土地を中国に取り上げられる結果になった国もある。

そういう反省から、日本で開催されたTICAD(アフリカ開発会議)は中国の過剰貸付をけん制、「自由で開かれたインド太平洋」構想を打ち出した。

中国の一帯一路構想に対抗し日本が質の高いインフラ整備に協力する考えだが、アフリカ諸国に注目するのは別のところにもある。

国連安保常任理事国入りを目指すにはアフリカの54カ国の協力が必要なのだ。安倍総理や河野外相が頻繁にアフリカ諸国を歴訪しているが、必ず経済支援がついて回る。相手方もメリットがなければあってはくれない。

世の中はすべて「かね次第」なのだ。そういった世界にまたがる巨額の借金も何かの経済変動で返済が滞る危険もあるのだ。

これからの金融緩和のあり方を考えるべきだ。ただ市場の期待にこたえるだけで市場にカネを流し続けることは見直すべきではないか。


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