住民投票(国民投票)での過半数賛成で本当に民意が反映されているのか。直接選挙である住民投票(国民投票)が問題になっている。政策の是非を多数決で決めるのだが投票率の低さ、僅差での判定をどう判断するかだ。
その良い例が今問題になっている英国のEU離脱だ。
国民投票の結果、51:49という僅差でEU離脱が決まったが、その後の右往左往はこれが議会制民主政治の模範国かと疑うほどの右往左往である。有権者がうっぷん晴らしをしたかどうかは知らないが、本音はEU離脱反対だが賛成に投票した結果をみて「やってしまった」と反省するシーンを思い出す。
一度国民投票で決まったのだから、議会では反対の意思があっても国民投票の結果に従うべきではないのか。それが議会制民主主義ではないのか。
EU離脱に向けEUと合意を得るために努力するメイ首相率いる政権にあってEU離脱強硬派のジョンソン元外相が辞任し、その後新首相に就任した。
日本でも東京都のある自治体が産業廃棄物処理施設の建設の是非をめぐり住民投票を実施したが投票率が低いために開票をしなかった例がある。抵投票率での多数決では民意を反映しないと考えたのだが、その後議会で開票を促されたが最終的に開票しなかった。
ところで、朝日新聞(2019.9.3)の「住民投票 4年前の対応 橋本氏語る」で大阪都構想をめぐり住民投票を実施、投票結果は賛成69万5000票、反対70万6000票で僅差で反対が上回った。この結果橋本さんは引退したが、都構想自体はやめないことを確認したそうだ。2015年のことだ。
この時は都構想自体が府民によく理解されていなかったという。今では理解も進んでいるのではないか。先の大阪府知事、大阪市長W選挙で松井さん、吉村さんが勝利し反対派の候補者を退けた。
この住民投票での多数決が民意を反映しているかということで専門家は65%ていどの賛成がなければ判断出来ないという。僅差での多数決は後にしこりを残すのだ。
議会で審議する間接民主主義では、役所の提出する資料である程度議論されて議員が投票するが、直接民主主義では有権者がどれほどの情報を得ることが出来るかということになる。
さて、他人事ではない。わが国でも憲法改正で国民投票が実施されるのだ。そして多数決で賛否を判定しなければならない。問題は有権者に十分な情報提供があるのか。各政党の意見、主張は。意見広告をどの程度認めるか。メデイアの報道に自由、国民の知る権利にも関係する。
さらに、投票率は。国政選挙では50%そこそこ、低投票率で多数決となると4人に1人が賛成という事態も考えられる。憲法改正だから国民の関心事が上がればいいが・・・。
さらに今回の憲法改正では9条改正を含め4項目が自民党では考えられている。一括で○、×なのか、各項目ごとに○、×の判断になるのか。
場合によっては英国のEU離脱のように国を二分する結果になり「新しい日本の姿」どころではない結果になるかもしれないのだ。
「投票率は」、「賛否の比率は」、直接民主主義では多くの問題が含まれている。
0 件のコメント:
コメントを投稿