2019年9月25日水曜日

地球温暖化対策での抑制温度:気象学では2℃とはどんな温度か


地球温暖化対策と言うと2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えたいというが気象学でいう気候感度では2℃とはどんな温度なのか。エネルギー資源学会が2009年に「地球温暖化 その科学的真実を問う」という新春Email 討論をやった報告書の中で参加者の一人である横浜国大の伊藤先生が、気象学の専門家が気候感度から「3℃を中心に半分から2倍の範囲に実測値が入っていれば理論家としては満足」と言ったことが披露されていた。

そうすると1.5℃から6℃の範囲内に実測値が入っていればいいということか。真実はこれだけではわからないが2℃とか1.5℃という数値が独り歩きしているが気候感度と言う点から論じることは有意義で地球温暖化対策にも気象学者や対策面では気象工学の関与も必要ではないか。

世界の若者たち、スウェーデンの活動家が「あなたたちは私たちの期待に応えていない」と訴えた。国連のグテレス事務総長も「何もしないことによる損失が最も大きい」と「パリ協定」への対応を訴えるが現実は厳しい。

できれば1.5℃未満と言うが産業革命以前と比べてすでに1℃上昇、2030年には1.5℃に達し「パリ協定」に基づいて現在の削減目標を各国が達成しても今世紀末の気温上昇は3℃を超すという。

国連は2050年までに排出ゼロ、20年以降石炭火力の新設中止、排出への課税を要請しているが77か国が「2050年排出ゼロ」を約束した。

日本は今世紀後半の早い時期に「実質ゼロ」だが、石炭火力発電の新設が計画中だ。そのため「やる気なし」と判断されたのか「美しい演説」はできなかった。安倍総理自身も出席していない。トランプ大統領も離脱を言っているが10分ほど出席したらしい。

地球温暖化の原因、対策を各分野の研究者が集まって検証する前に政治テーマとなり、要因をCO2人為説で悦明しやすくしたか。政治課題化したために先進国vs新興国の構図が出来上がり不満とした排出量第2位のアメリカは離脱、第1位の中国はいつものように「発展途上の大国」と主張し過大な負担を強いられることを回避する。

小泉さんは初の外交デビューとあって海外メデイアも注目していたのだろうが、「セクシー」発言などが話題になったし、「石炭火力発電をどうするんだ」との質問に「減らす」と答えたが、「どういう風にして」と畳みかけられると「・・・・」で天井を仰いだシーンがテレビで放映された。抽象論ではしゃべれるが具体論ではまるっきりダメだった。

また「セクシーとは」と聞かれ「そういう質問こそセクシーでない」と禅問答を繰り返す。専門家に言わせると「セクシーの裏には魅力的な具体策を持っていること」だというが、小泉さんには無理な話だ。だんだん「化けの皮」が剥がれてくる。

グテレス事務総長の最も嫌うパターンに日本はもっていったのだ。

そこで本題だが、IPCCの報告書などに気象学はどう関与しているのか。気象学会などが報告書で主張している点を拾ってみた。

気象学も地球温暖化問題に当初から深くかかわり気候の将来を予測する最も重大な課題を背負っているが気候の将来予測を可能にする知の集積と技術の開発を前進させる必要がある。天気予報の延長線上ではなく広範な知見の体系的進歩を基礎にして初めて成り立つのだという。

地球温暖化は気候の将来予測の科学的基盤を掘り下げ、予測の可能性を高める目標が重要で、地球温暖化に関する気象学分野における研究体制の充実、強化が急務と言う。

雲やエアロゾルの微物理過程や放射過程など気候モデルの諸物理過程の精緻化に対して観測データが不十分、将来予測の進歩には欠かせないのだ。

気象学が今までどんな関与をしていたかわからないが将来予測に対して、自然変動、気候モデル、シナリオに不確実性が見られる。特に気候モデルでの不確実性は重要だと指摘する。

一方で大事な指摘もある。

放射強制力に対する全球平均気温の上昇の「しやすさ」の指標である「気候感度」の推定に大きな不確実性があるのだ。だから1.5℃、2℃と言っても不確実性が残るのだ。先にも言った「3℃を中心に半分から2倍の範囲に実測値があれば理論家としては満足」なのだ。

CO2人為説を主張する研究者たちは2℃をどう考えているのか。地球温暖化原因説の議論では測定誤差を指摘する研究者もいる。CO2人為説ではCO2排出量で平均気温の動向を関連づける手法がとられているが気象学上はいろんな要因がある。

CO2人為説が一番説明しやすい面もあるのではないか。



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