2019年9月6日金曜日

日ロ首脳会談(2):同床異夢の未来志向では日ロ交渉は進展せず


日ロ首脳会談もこれで27回目になるという。未来志向で双方に受け入れられる解決策を見つけるために作業を進めるというが、その未来志向も同床異夢では交渉も進展しない。メデイアは「進展せず」とのニュースを流すから私たちもそう思う。

ところが安倍総理はよく首脳会談で通訳だけを加えた1:1の会談にもっていく。この秘密裏の交渉で何か糸口でもつかめているのか。それともプーテイン大統領と安倍総理の2人の親交関係でないとこの交渉は進まないことをアピールしているのか。

でも記者会見での様子を見ると安倍総理はウラジミールと呼びかけるがプーチン大統領の様子からは親密さなどうかがえない。

最近のロシアの北方4島に対する動きは日本を無視しロシア化を進めている。

ロシア首相が4島を訪問したり、軍事化もすすむ。ミサイル基地を置くという。そして呆れたことに首脳会談を前に、色丹島の水産加工工場稼働式典に映像参加している。会談では共同経済活動を謳いながら勝手に北方4島開発をやっているのだ。会談で安倍総理は日本の考え方を説明したというが、席を立つぐらいのことができなかったのか。

首脳会談から見ると双方が何を目指しているのかがうかがえる。

ロシアは、終戦直後に4島に侵攻して占領した経緯を抹消するために日ロ平和条約締結を急ぐ。その解決に向けた作業を急ぐことで合意した。日本は歴史的事実を無視してでも北方4島返還がほしいのだ。

先のプーチン大統領の提案から4島返還ではなく、まず2島返還に舵切した。その理由の説明がされていないが安倍総理は「4島返還に変わりはない」という。

日本は自治権は日本にあるというが、ロシアは自分たちにあるという。「返還はしない」という発言がプーチン大統領や閣僚クラスから聞こえるが、住民も返還に反対だ。実際問題として土地の所有者より住んで生活している人間の方が有利だ。

更に日ロ双方で共同経済活動を実施する。医療や極東開発で8項目の経済協力が上がっているがすでにロシアの国家戦略に利用されているのではないか。

日本も自治権の問題もあり自分たちの国土での開発行為に協力しているのだろう。返還後のことも考慮しているのだが、日本は経済協力でロシアの極東開発に利用されているだけで、4島返還など考えられないのだ。プーチン大統領は事あるごとに難癖を付けてくる。

万一返還したとしてそのあとに米軍が基地を建設することも警戒している。安倍総理は「そんなことはさせない」というがロシアは信じない。相当前のことであるが「米軍が沖縄から撤退したら4島返還も考える」という発言をしたことを覚えている。

今回プーチン大統領が安全保障に関する問題があり二国間だけに関する問題ではなく、第三国の存在も考慮する必要があると発言したのは当然だ。

日本は経済開発に協力していれば4島を返してもらえると考えているが、ロシアは経済開発行為に協力させながらもロシア化を進め返還はありえないという考え方だ。

プーチン大統領との首脳会談を頻繁に実施しているが双方が描く未来に大きな隔たりがあるのだ。安倍総理は2人だけの友好関係で難しい問題に挑戦しようとしているが、2年後に安倍総理が総理の座から引いたとき、日ロ交渉はどうなるのか。それまでに解決することなど出来ないことは誰が見ても分かつことだ。



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