2019年9月16日月曜日

今日の新聞を読んで(292):民主党政権の「遺産」、台風15号初動遅れ、設楽さん逃げ切り失敗に思う


朝日新聞(2019.9.16)は重要な指摘をしていると思う。民主党政権の理念は間違っていないという社説「民主党政権10年 「遺産」活かし対立軸を」、台風15号で千葉県は想定外の被害を被っていることに関して「千葉県、国初動遅れ」、そして東京五輪出場権を競ったマラソン・グランド・チャンピオンでの「設楽独走、逃げ失敗」は従来の考え方を変えてみる機会ではないか。

(1)「民主党政権10年、「遺産」を生かせ」は最大の注目記事ではないか。

安倍総理にはことあるごとに「悪夢のようなあの民主党政権」と批判され、メデイアは立憲民主、国民民主のゴタゴタを面白おかしく報じる。これでは「やっぱり民主党政権はダメだったのか」と思うようになる。

私も選挙戦で「何故、民主党政権でのことを主張しないのか」と指摘するのだが、国民民主も立憲民主も何の発言もしない。みな失敗したと思わせられているのだ。

そこでこの社説は論じる。3年3ヶ月で政権の座を去ったが、有権者に選択肢を示し(政権交代しませんか)、政治に緊張感をもたらし(投票率69%)、政権交代(獲得議席数308議席)した意義は大きいが、権力闘争、政治資金問題、財源を伴わない公約、政策の乱れが失望へと変わった。

しかし、「民主党政権が目指し成し遂げたものを冷静、公平に評価すべきではないか」という。

子供手当て、高校教育無償化、行政事業レビューの元になった「事業仕分け」、今安倍政権が主張しだした「前世代型社会保障」などは民主党政権時の遺産だ。自民党政権がぱくっている。

また政権が変わることにより可能だった日米密約の検証、原発ゼロ論争など民主党政権の功績は大きい。

今、安倍総理夫妻による森友疑惑は、財務省をはじめ民主政治も根幹を揺るがす事態になっているが、民主党政権では「参加型民主主義」をうたっていた。

社説では、「政権の挫折はこういった理念が間違っていたことではない。この遺産を活かし巨大与党に対抗せよ」と珍しく野党にエールを送った意見である。

(2)先のコンパクトで強い台風15号の被害は長期化する停電を伴い甚大な被害を千葉県にもたらした。

国、自治体の被害状況把握が遅れ対策に遅れを取っている懸念もあるが、役所の担当者不足、平成の大合併による支所などの削減で被災地の被害状況を迅速に早く把握することができなかったのではないか。

これから巨大化する自然災害が襲ってくるが、人口減、高齢化で公務員の数も減り災害に対応できなくなる事態が考えられる。

テレビの映像で復旧工事を見ると電力会社を批判しても始まらない。数多くの電柱倒壊、倒木による電線の断線の復旧は困難を極めている。10人一組での復旧で、1本の電柱を建て替え、電線を張り替える作業は1日では終わらない。今16000人の作業員が10人一組というと160組、早くても1日に160本復旧になるが全体では2000本が倒壊しているらしい。

東電は最初被害を甘く見ていたので「2日で」と甘い観測を流していたが、実態は2週間、27日以降にずれ込む地域も出てきたようだ。

情報収集で初動作業に問題があったようだ。

国が関係省庁災害対策会議を起こしたのが10日、政府は非常災害対策本部を設置しなかった。中央は内閣改造、党役員人事で浮かれていた。

千葉県の対応は、県の職員を被災地に派遣したのは、いずみ市に12日に1人、南房総市には13日に1人。千葉県が災害対策本部を設置したのが10日、森田知事が被災地を視察したのが14日、知事は「土台をしっかりしてから来た」と言い訳していたが、県民の批判は大きい。

停電により固定電話、携帯電話、インタ0ネットがダメで被害状況の把握、県民の情報を伝達ができなかったことも一つの特徴だ。

これから首都直下地震、南海トラフ地震、関東大震災の来襲と巨大災害が予想される。電気、水道のインフラ問題にもこれ以上の災害、被害が想定される。自治体は何をなすべきか、国民は何をしなければならないか、優先順位をつけた自助努力が必要だ。

自家発電、ハイブリット車での電力の供給など見直す機会にしたい。

(3)最後はマラソン・グランド・チャンピオンでの設楽選手の独走逃げ切り作戦の是非だ。恐らく第2グループについていれば最後に逃げ切り勝利したかもしれない。

でも、それでは普通のタイム(?)に終わるのだ。今回もトップは2時間11分28秒で自己最高記録からも程遠い結果だった。東京オリンピック出場権をかけた大事なレースで上位2人が内定する。皆慎重になったのではないか。それが上位に何人もいたことからも分かる。

そんなときに、設楽さんがスタートから飛び出し37km地点まではトップを独走したが37km以降は失速しトップから4分41秒の差をつけられて14位に終わった。設楽さんは当初から「逃げ切り」宣言をしていたので予定通りの走りだったのだろうが、残念ながら失速した。この調子で走っていれば期待されるタイムになっていたかもしれない。

しかし、批判してはいけない。

ケニアなど海外勢に押されている日本のマラソン界にあって、「この程度の走りをしなければ世界に通用しないのだ」ということをファンに思い知らしめたのではないか。その勇気の拍手だ。

今日の朝日新聞の記事はいろんなことを考えさせられる内容だった。

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