2019年9月28日土曜日

安倍総理の傷心の帰国?:日米貿易交渉では譲歩、国連総会一般討論は空席だらけ

国連、日米貿易交渉を終え帰国した安倍総理
さえない顔だ
NHKニュースより

安倍総理の帰国の写真を見ると出発時の意気揚々とした顔に比べて精彩がない。今回の日米貿易交渉は自己評価「80点」というが、トランプ大統領に大幅に譲歩、ウィンウィンどころではない結果だったし、国連総会での一般討論はどの国が聞いているのか空席が目立つ。何も今回が初めてではなく、いつもアメリカ大統領の演説では満席だが、日本の首相になると空席が目立つ。

日米貿易交渉は、米国側が合意文書にクレームをつけているということで署名先送りの観測が流れていたが、どういうわけか急遽署名すると言い出した。

そこにはトランプ大統領側の事情があったようだ。米中貿易摩擦は出口が見えず停滞、国内では民主党とスキャンダル合戦、支持者に何かアピールする材料がほしかったのだ。そこでトランプ大統領の見立てはクレームをつけけん制し譲歩を引き出す日米貿易交渉の合意しかなかった。

新聞報道によると、いつもこの種の交渉になると農産物vs自動車の構図になる。 牛肉、豚肉、トウモロコシvs自動車など工業製品か。結果は畜産農家には不安が多い。トウモロコシは中国が輸入の約束を守らず売れ残った全量を日本が買うことになったらしい。自動車は追加関税を回避できたと政府は言うが協定が誠実に実行されないとアメリカが判断すれば交渉に持っていかれるのだ。

トランプ大統領がツイッターで「やっぱしやる」といえば日本に譲歩を迫ったことになる。自動車業界はいったん安堵感を持ったが先行きは不透明だ。

安倍総理はウィンウィンで「80点」と評価するが日本のメデイアの評価はアメリカ側の勝利という。

空席の目立つ総会場
官邸 Instagramより
一方、空席だらけの国連総会での一般討論はどうだったのか。官邸のHPに載っているInstagramを見ると空席だらけだ。

そんな総会場で安倍総理は何を訴えたのか。官邸のHPの一般討論演説を読んでみた。

まず、自分のことを言っている。向こう3年日本の舵取りを続けると言い、今回は6回目の本会議で思いを新たに臨むという。

そして自由貿易の旗手として立つという。日本自身が解放された経済体制の中で貿易の恩恵を受け目覚しい成長を遂げた。この恩恵を受けた日本の責任が重大だ。歴史に根ざした使命だという。

ところが、トランプ大統領の保護主義には触れていない。多国間自由貿易はトランプの二国間保護貿易に反するのだ。

実績としてはTPP11、日EUEPAも成立させ、更にはWTOへのコミットメント、東アジアでのRCEPに全力を尽くすという。

一方、アメリカにも触れている。米国との新貿易協議FFRを重視するという。米国における投資は英国についでおおい85万6000人の雇用を生んでいるし、日本から米国への自動車輸出は174万台だが、米国内での日本車の生産は377万台になっている。

これで何故、ウィンウィンの関係なのか。

対ロシアでは北方4島の領土問題を抱えている。解決のためには平和条約を締結し北東アジアの平和、繁栄により確かな礎を得たいという。

北朝鮮の変化について最大の関心を持っている。国交の正常化、全拉致被害者の帰国を実現するために金委員長と直接向かい合う用意があることを繰り返す。

中国とは互いに首脳が往来し決定的な安定の軸を加えたい。EFZ、海域上空が安全で、平和であることを望むという。

中東では新しいがささやかなプログラムがある。ガザの小中学校の先生を日本に招きガザと中東を広い視野に置き自分たちのことを見つめなおす、慰藉の力を及ぼすのではないかと期待する。

又、新しい風が吹くとも言う。天皇即位で各国から首脳が集まってくる。大阪でのG20サミットでは世界経済のあり方、環境問題を主導、ワールドカップ、2020東京オリンピックパラリンピック、アフリカ開発会議を挙げている。

そして国連安保理改革にも言及している。安倍総理がアフリカ訪問を繰り返しているのが国連改革、特に常任理事国入りを目指し、アフリカ勢の協力が必要だからだ。日本は拠出金額が第3位(?)だが国連の地位は低い。今、国連の意義が厳しく問われているのも事実だ。

どんな国の誰が聞いてくれたのか分からないが、トランプ大統領がイラン問題に時間を割いたことと比較し世界に影響を与える演説ではなかったか。

外交を得意と自称する安倍外交だが対米外交では譲歩、遅々として進まない外交に日本の舵取りを任せていいのか。

野党は次の国会で日米貿易交渉など外交の詳細について予算委員会での質疑を期待するが、真相究明は政権交代しかないか。


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