そのAI技術、ビッグデータを駆使することにより一部エリートが一般の国民を支配する時代が来るのだという。人間がコンピューター利用するのか、コンピューターに利用されるのか。
そうなるとどんな人間が必要で、どんな人間が無用になるのか。社会は人間のコミュニケーションで成り立っており、無用な人間などいないはずだが。
今の私たちの生活を見たってコンピューターで支配され、監視されている。そのアルゴリズムは人間が作っているのだ。
すでに銀行、ホテルのフロント、役所などの簡単な窓口業務はAI技術で対応し合理化されようとしている。しかし、失敗例も出ている。フロント業務でも決められた手続きのようなものには対応できるが、人間のように想定できないような要求には対応できない。
銀行や会社のフロントにはコンピューターが設置され用件別に業務や仕事の仕分けがされ担当部門へ誘導される。それでも何かあったときの対応に銀行のフロントには銀行の職員が配置されている。
新幹線など交通機関、電力などエネルギーの供給などのネットワークはコンピューター制御に頼っており、コンピューターがダウンすると一大事で国民の生活の支障をきたす。
経済に大きく影響する株式市場、為替市場でもコンピューター取引が主流で経済状況の変化をいち早く察知し瞬時に売買をする。すべての機関、投資家が同じアルゴリズムのプログラムを使用しているので結果は大量の取引になり株価の変動で市場は荒れる。
昔は会社を育てようとする投資家が最後は人間の判断で売り買いしていたが、今はそんな状況にはない。
住民をトータルで管理しようとマイナンバー制度があり、少しずつ利用が広がっているようだが、企業や役所では電話番号が利用されている。本人確認に電話番号を聞かれる。念のためにフルネームを確認されるが、すでに分かっているのだ。ただ、住所変更し電話番号が変わったときに電話番号を告げると本人確認ができないときがある。
一方、個人情報保護などと言っているが、私たちは知らないうちに情報を盗まれているのだ。それがシステム構築に使われている。
ネットで通販とかカタログ請求すると個人情報を記入することになる。「何でこんなことまで」と思うが記載漏れでは受け付けてくれない。
家から一歩外に出ると監視カメラが映像として録画する。「監視カメラ作動中」とい表示がないと盗撮になる。一番利用されているのが犯罪捜査だろう。道路にはNシステムなどが設置され車の通行が記録される。
誰でも携帯している携帯電話の微弱電波で居所近辺を知ることができる。警察が犯人捜査で携帯電話を捨てたか、電源をOFFにしていたために居場所の特定ができずに困っていたことがある。
さらに技術が進歩し、多くの通行人の中から特定の人物を探し出す認証技術もあるし、通行人同士の中に異常行動する場合もチェックできるのだ。麻薬捜査など実用化されれば効果は大きい。
考えてみると国家権力に監視されているようなものだ。
AI技術などで一部のエリート層が支配する社会も可能性があるのだ。独裁政治とテクノロジーが一体となれば恐ろしい社会になる。中国、ロシアを見ればその脅威が分かる。
多くの情報を取り込みビッグデータを構築しその情報を活用する時、そのアルゴリズムがどうなっているか。それに頼らなければならない状況も出てくる。何故、そうなったかの理由が分からないままに無批判にシステムを使用していることになる。
恐ろしいことだ。
歴史学者のユバル・ノア・ハラリさんは朝日新聞(2019.9.8)「AI支配 大半が「無用者階級」に」で「真の支配者はアルゴリズムで改良が進むとコンピューターが人類を支配する将来がきかねない」と警告する。
そして直面する3つの課題を挙げている。「核戦争で大規模戦争」「地球温暖化」「AIなど破壊的技術革新」を挙げている。特に技術革新では30年後の雇用市場、どんなスキルが必要かわからないというのだ。
ただ、どんな仕事にも就けない階層が広がることには警戒が必要だ。これと少子高齢化をどう考えるか。日本の国土を誰が守るのか。これから増えると思われる自然災害で対応すべき自治体の機能をどう確保するか。地方自治をどう確保していくか。
課題は多い。コンピューターでは対応できないのだ。最後は人間の力だ。
「80:20」の法則がある。パレートの法則といい、20%の納税者が80%の税金を納めているという。組織を動かすには20%の人間が80%の仕事を一生懸命するが、ダメな80%だけ集めると不思議にその中の20%が一生懸命に働くようになるのだ。
人間って捨てたものではない。
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