2019年9月17日火曜日

台風15号での被災地対応を考える(1):わかってはいるが実践では思うようにいかなかったか


今回の台風15号はコンパクトで強い台風と言われた通り千葉県の広い範囲で停電、南部では甚大な家屋被害を発生、いまだ全容が把握できない状況だ。長期停電による東電の復旧作業とブルーシートで覆われた家屋、電柱の倒壊と倒木による送電障害の映像ばかりがメデイアで流される事態だ。

普段から防災意識はもってはいたが、発生する被害は被災地特有の事情にもよるが、実践では思うように対応ができないことに自治体や被害者、復旧作業従事者ともども忸怩たる思いだろう。

いつもそうだが一番の問題はライフライン、電気、水道通信設備の復旧だが今回は東電が予想を大きく外した。

東電の予想では当初2日ぐらいで復旧と考えていたのだろう。テレビの情報番組に出た防災専門家は2週間かかるだろうとコメントしていた。その大きな要因は電柱がどの程度に風速、風圧に耐えるかだ。東電の電柱は40mに耐える設計になっていたという。15号の台風の風速も40mだ。これなら問題はないとみていたのだろうが、被害状況がはっきりしてくると各所で電柱が倒れている。全体では2000本ともいわれている。おそらく千葉県の地形からして局所的には40m以上を記録していたのだ。

千葉県は中央に山、海岸と山の間の狭い平坦地に住宅が密集している。九十九里のいずみ市から東京アクアラインに抜けようとすると山越えになる。山間部はこんなところに集落があるという状況だ。

海岸の地形も入り組んでいて住居のある平坦地でも両側に山が迫る地形で、海岸から吹き込む風は谷間に差し掛かる風速を上げる。そういう地形のところでの被害が大きい。

防災意識はあり、日ごろ検討しているがイザ実践となると思うように動かない。それが台風15号が去った後の教訓ではないか。

特に広域で発生した停電は混乱に拍車をかけている。でもこういうことは首都直下地震、南海トラフ巨大地震、心配されている3.11東北地方太平洋沖地震のアウターライズ地震でもいえることではないのか。関東はこういう事態を経験していなかったので混乱しているのだろうが、これらの地震の発生ではこれどころではない。

私も地域の防災訓練に参加するが、参加していた消防関係の人に「「地震が発生したら鍵をかけたまま車を左側に止めて逃げろ」と言うが車はどうするのか」と聞くと「わからない」という。

東京都大田区の我々の避難場所は多摩川河川敷が指定されている。そこで自治会、町内会ごとに集合することになっているが、この広い多摩川の河川敷のどこが自分たちの集合場所なのかわからないのだ。他に自治会の役員に聞いても「わからないのだ」という。

すべて実践では細かいことは決まっていない。おそらく大混乱するだろう。

   ライフラインの障害、電気、水道、ガスが止まったらどうするか。停電の時は家を離れるときはブレーカーをおとす。ガスは震度○で自動で遮断する。でも復帰するときは気を付けること。漏電の確認をしなければ火災の原因になるのだ。今回も1軒家が焼けている。阪神大震災で経験済みだ。

   情報の収集、伝達は停電になると携帯電話、固定電話、インターネットが使えなくなり復興に重大な障害となる。今回はこれが大問題だ。

それに役所の担当の人員不足、地域と密着した出張所、支所の不足で地域の情報が入らないし、情報の伝達にも支障をきたした。その原因は平成の大合併にあるのではないか。

今後巨大地震、強大化した自然災害に襲われる頻度は増えてくる。少子高齢化も含めてあらゆる分野での人員不足は致命傷になる。今から対策を検討すべきではないか。

被害の調査ではグーグルマップを使った調査は出来ないか。今テレビでは「ポツンと一軒家」が人気だ。山奥の人里離れた一軒家をグーグルマップで見ついてどんな人が生活して居るのかを報じている。衛星写真では細かいところまで見える。映像検索で異常な映像をピックアップできないか。

   地域住民を含めた防災体制はどうなっているのか。地震津波被害の時のように高齢者、介護など助け合いの情報はあまり報じられていないが、どうなんだろう。避難所への送り迎え、避難所情報はどう伝わったのか。今、NHKラジオを聞くと携帯電話充電、水の供給所などの情報が得られる。

   ボランテイアの受け入れも始まったようだが、自分で食事、寝どまりできる人に限られているようだ。一方で被災者はボランテイアを要望している。行政もボランテイアの面倒までは見られないのだ。

   支援物質の終結、配分はどうか。一番効率のいいのは1か所に集めて必要な物資を必要としているところに配達することだ。宅配業者を決め、業務委託した方が一番効率がいいのではないか。行政、ボランテイアはノーハウを持っていない。

   大事なのは司令塔にもなる国、県の対応だ。災害対策本部の設置を急ぎ、情報収集を急ぎ必要な指示を出す。広域被害では欠かせないが、今回は長期に広域の停電で連絡手段がなかったことだ。慌てて新しい内閣の担当大臣が各人で被災地を視察し被災者の要求にこたえているようだが、どうして一緒に視察しないのか。バラバラに視察しても自分で見た実情だけで対策を立てても片手落ちにならないか。

関係者は初動に問題があったというが、今回の事態で初動として何をすべきだったか、何が出来なかったかをしっかり検証すべきだ。必ず役に立つはずだ。

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