2019年9月12日木曜日

今日の新聞を読んで(290):今回の内閣改造を識者はどう見ているか


今回の内閣改造に対するメデイアや識者の見方はほとんど同じだ。安倍総理が「挑戦」と言ってもやりたいのは憲法改正で与野党「ゼロサムゲーム」のようなとらえ方をされ与党が勝った、野党が負けたというとらえ方だ(首都大学東京堺家)。

確かに安倍総理と野党との対立はひどい。政策はゼロサムゲームではない。その福利は国民が享受するのだ。安倍総理自身のためではないのだ。

今は官高党低で、政権主導だが本来は党が議論し練り上げた政策を政府に提案し反映させてほしい。出来れば幅広く人材を登用、国民の将来不安を取り除くべく経済政策、社会保障改革など憲法改正の他に国の骨格を支える課題を忘れないでほしい(福田元首相)。

安倍総理の言う挑戦とは、今まで誰も手を付けていなかった改憲にのめり込む姿勢ではないか。ところがメデイアの世論調査でも雇用、経済への期待に比べて憲法改正への期待は低い。民意をしっかりつかんでいないのか。

新聞報道では、菅原経済産業相、西村経済再生相など4人の閣僚を配し経済政策に取り組むというが、人を変えただけで経済が好転するものではない。今まで所属官庁の官僚がやっていた政策の延長だ。それとも何か秘策でもあるというのか。

思い出すことがある。民主党の鳩山政権の時政策が固まらずモタモタしているときに、民主党幹事長の小沢さんが官邸に乗り込んで「これが民意だ」と政策をたたきつけたことがある。小沢さん率いる民主党がしっかり検討した結果かどうかわ忘れたが、安倍政権のようにYESMANを集めた○○審議会にかけて了解された政策を「お墨付きを得た」とばかりに国会の提出し強引に通すやり方は考え物だ。

また、先の国会でも野党が合同ミーチング会を開催し、担当官僚を呼んで質疑していたが国会の予算委員会よりも面白かった。結構疑問点を摘出していた。民主党政権時の「事業仕分け」を彷彿していた。

他に識者がどう見ているか新聞をめくってみた。

憲法改正以外に何にどう挑戦したいのかわからない。首相側近でのたらいまわしで安定のためにガス抜き内閣か。すべて能力主義の人選でなければならないが、権力の基盤固めになっている(学習院大 野中)。大方の見方だろう。

いろんな情報が出て最後は小泉入閣か。ドラマ感の演出だ。メデイアも世論も小泉入閣にしか関心がない。「挑戦」の印象はなく、バランスと配慮の超安定内閣と皮肉る(東工大 西田)。

また、心理学者がおもしろい分析をしている。安倍総理は「自己愛」が強く、こういう人材は大きな課題に取り組むがそれが憲法改正だ。初入閣の閣僚に実績を上げてほしいという実感がないがない。仕事人よりドリーマーという(心理学者 八幡)。

38歳で初入閣した小泉進次郎さんが囲い込み記者会見でしきりに「仕事をする」「働く」と言っていたのが印象に残ったが、安倍総理は期待していないのか。サプライで人気を上げるための人選だ。そういえば入閣の経緯について専門家はいろんな情報を提供していた。

社説も見てみた。

朝日新聞は、側近重用の内向き内閣で、麻生続投を批判、萩生田さんは加計学園問題で不祥事があったが文科相では「過去のもの」になったのか。高市総務相は放送局で電波停止発言をした問題閣僚、石破グループは入閣ゼロを指摘している。改憲に対する期待は薄く、残り2年、何を成し遂げるのか、挑戦する課題を見誤ってはいけないという。

読売新聞は、社会保障制度、憲法改正で日本の針路に関する課題に向き合い、解決への道筋を。総理の存在感が際立ち、後継者の影が薄い。中長期的な視点で優先順位をつけ閃絡的に取り組むべきでまず重視するのは経済政策、社会保障制度だという。

安倍総理が御執心の憲法改正、自分の存在だけが際立った内閣改造ではなかったか。

今後は自民党も後継者問題でぎくしゃくするだろう。安倍、岸田:菅、二階の主導権争いがどうなるか。

東京オリンピック、パラリンピックは終わったが、経済は停滞、憲法改正は進まず、後継者問題だけが目立った安倍内閣で終わる可能性もある。


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