2019年9月4日水曜日

トランプ大統領の同盟国軽視:乱れに付け込む中国、ロシアの覇権拡大


トランプ大統領の国際政治経済の中で「保護主義」「自国第一」の考えがついには同盟国の軽視、亀裂の事態になってきた。いままで米国が築いてきた同盟国の基盤に立っての世界における立場も揺らぎ、その間隙をぬって中国、ロシアが覇権拡大を展開、自由主義社会に危機感が生じてきた。

先のフランスでのG7首脳会議でも議長のマクロン大統領は「まとめなど出来るはずはない」と早々と「首脳宣言なし」を宣言していたが土壇場でペーパー一枚の首脳宣言を自ら作成し体裁を保とうとした。

トランプ大統領の同盟国を軽視するやり方はアメリカの国益にかなっているのか、否、自からの不動産屋としてのやり方なのか。

最近起きた韓国の日本に対するGSOMIA破棄は日本の輸出規制{ホワイト国}から韓国を除外したことに対する報復措置と言うが、日韓の2国間関係から日米韓の3か国関係に発展し、米国が「失望」の意を表明したが米国は韓国を批判している。朝鮮半島をめぐる安全保障に大きく影響するのだ。

韓国はトランプ大統領に日本との仲介を依頼したというが、日本も動かなかった点にトランプ大統領も動けなかったのだろう。

それをいいことに日本の上空である竹島上空でロシアのA50偵察機が領空侵犯し韓国がF15で数百発の警告射撃をした事件が発生した。これにロシアの哨戒機もいたという。

米国の同盟国である韓国を中国、ロシアが挑発し、分断作戦に出たのではないかと関係者は分析している。おそらく日本上空侵犯ということで自衛隊もスクランブル発信したのだろうが、警告射撃した韓国の方が侵犯に強い怒りを表しているのではないか。日本は弱腰だ。米軍機の発進を期待しているのか。

米軍は危ういシーンには加担しない。

トランプ大統領は加盟国に駐留費の負担増を要求している。ドイツ、日本にさらに50%増を加えろというのだ・・コストプラス50という。韓国は8.2%増を飲んだと言うが、日本は思いやり予算2000億円を含め総額で6000億円をかけている。これにさらに上乗せするのか。

NATO軍に関しては加盟国に軍事費GDP比で2%負担を4%にしろという。さらに前倒しを要求しているらしい。

トランプ大統領は加盟国のためにアメリカが巨額な軍事費を使い、若い者が命をかけていることに不満があるらしいが、いずれの加盟国も集団的自衛権行使を条約で定めているのだ。防衛費負担増は信頼関係の低下につながる。

だからマクロン大統領はアメリカに頼らず欧州合同遠征軍の創設を提案したがトランプ大統領は大反対したそうだ。トランプ大統領は何を言っているのか理解できていないのではないか。同盟国の防衛に関して精通したスタッフがいないのではないか。それでも直感的にいっているのか。

ドイツに対しても批判する。NATOでアメリカはロシアに対して防衛するのにドイツはロシアに巨額の資金を支払い天然ガスを送る海底パイプラインの計画を推進していることを批判する。

アメリカは命をかけて同盟国を守っているのに同盟国は勝手に中国、ロシアと手を握った事業を進めていることに不満たらたらなのだ。

一方でトランプ大統領はロシアに宥和策を取っている。ヘルシンキでの米ロ首脳会談でプーチン大統領が選挙干渉したことを追及しないというのだ。

アメリカの経済を守るべく米中貿易摩擦戦争は出口の見えないままに第4弾の高関税をかけることで泥沼化してきた。

追加関税についてトランプ大統領は「中国が米国の富などを盗むのは許せない」とか「関税で巨額のお金を得て、中国に不当に標的にされた農家などに一部を支払っている」とこの経済戦争に理解を求めたという(朝日新聞2019.9.3)。

大統領選も控え成果を出したいところだが時間もない。中国の習主席はなかなかしぶとい。「時間稼ぎ」をやっている感がする。今の段階ではトランプ大統領が不利ということか。

そのこともあってか日米貿易交渉が注目を浴びる。トランプさんの大統領選に利用されているのだ。

農産物、工業製品については原則合意だったようだが、自動車については火の種を抱えたままだ。トランプ大統領は「やるときはやる」とけん制する。トウモロコシの大量購入も中国が輸入を控えて残り物を日本が購入を約束したのだ。

トランプ大統領はトウモロコシ農家にアピールしたことか。

しかし日米貿易交渉も実際に内容は分からない。国会審議で野党から経過追及を受けても「交渉ごとなので相手のこともあり交渉経過はノーコメント」の一点張りで説明を拒否するかもしれない。TPPの審議のときにそうだった。

そのうちにアメリカ側から真相がもれてくる。それに期待だ。

ホルムズ海峡安全保障では米国は同盟国に「有志連合」に参加するよう要請したが、英国やオーストラリアは参加するがドイツ、フランスなどは独自の行動か。日本も自衛隊の護衛艦を派遣するというが情報収集のためで万一のときは正当防衛、緊急避難の範囲内で武器の使用を容認するという。

同盟国もアメリカと距離を置く行動に出ているのか。

他にイラン核合意離脱、地球温暖化対策での「パリ協定」離脱、最近ではグリーンランド買収でデンマーク首相の顰蹙を買った。

トランプ大統領は安全保障と経済の国際秩序を揺るがしていることを認識しているのか。

そういうときに、マテイス前国防長官が近く出版する著書の中で「同盟国のある国は繁栄し、ないのは衰退する」と主張し、米国だけでは国民と経済は守れないと警鐘した(WSJ電子版 共同通信2019.8.29)。

そのとおりだ。こういうことを言うからトランプ政権から離れたのだろう。確か、アフガニスタンからの米軍撤退が契機ではなかったか。

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