2019年9月29日日曜日

今日の新聞を読んで(294):憲法審査会議員団欧州視察、自民の思惑はずれも当然だ

なかなか進まない衆院憲法審査会の審議だが、ここにきて与野党の議員団が憲法改正の経験が多い欧州4国を視察したというが、自民党のこれを機会に改正機運を高めようと目論んだようだが、それぞれ国により事情が違うことが分かり参考にならず、不発に終わったという。

今時、各国の事情が違うことを認識するとはお粗末すぎないか。

私は大学で所属していた団体の勉強会に出席し、東北の憲法学者が「他国では細かいことまで憲法に書いてあり改正が必要になるが、日本の憲法はよくできており無駄がない。改正の必要がない」という内容の発言を聞いた。

憲法改正は国の政治体制が大きく変わる時、例えば日本では終戦、東欧では旧ソ連からの独立、ドイツでは東西ベルリンの統合などではないか。日本も終戦を迎え明治憲法から新憲法に変わった。GHQに強要されたと安倍総理は言おうが決してそうではない。その前にGHQから日本政府に草案の作成を指示され、各組織が草案を提示した。しかしその草案では民主政治にほど遠いと判断され、GHQ自ら作成に乗り出した。そのGHQ草案に日本も修正を加え新しい国会で承認された。

押しつけ憲法ではなく、独自の憲法作成というが安倍自民党草案こそ押しつけではないか。

新聞報道によると、各国の憲法改正の事情が違っているようだ。

一番改正数の多いドイツは63回、日本では法律で規定するような内容も盛り込まれ、小さな制度変更でも改憲が必要で、当然改憲手続きは緩いか。重要でない要素まで盛り込まれているという。

国民投票、国会発議も不要な国もある。

リトアニアは14回国民投票をやっているが通ったのは4回で、旧ソ連からEUへの加盟だという。一度否決されるとそれで終わりということになる。

ウクライナは憲法裁判所を設置しているが武力紛争時に政府に建言を集中させる「緊急事態条項」の必要を指摘されたという。

憲法裁判所は安倍総理のやった恣意的な憲法改正をけん制するためにも必要かもしれない。日本でも最高裁判所に違憲審査権があるがなぜか、憲法判断は避けている。

日本の現憲法は専門家の間でも硬性憲法と言われ、2/3の国会発議、多数決の国民投票を改正にはハードルが高いが、それ以外の憲法改正条項はない。憲法改正は想定されていないのか。

与野党それぞれ思惑が違い世論調査でも憲法改正賛成が増えてきているが民意が低い。

野党も安倍政権の下での憲法改正には反対しているが、審議自体への参加は認めている野党もある。安倍政権ではなくリベラル政権での審議促進を願う。

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