日本がアメリカ合衆国の51番目の州かと思わせる安倍総理とトランプ大統領の友好関係が政治、外交、軍事そして経済面でも大きく米国に頼る安倍外交を展開しているが、本当に国益に沿っているのか。あらゆる面でトランプ大統領に譲歩する結果になっていないか。今回の日米貿易交渉もその代表たる内容だ。
GDP世界第3位の日本の行き過ぎた米国頼りは、多国間より二国間交渉を優先するトランプ大統領の国際政治の場で仲介役として頼られているように見えるが、本当は笑いものになっていないか。程々と言うこともある。あまりにも親密すぎると多国間交渉で不利になる。
今回の日米貿易交渉を見ると、安倍総理はウィンウィンの成果と言うが、大統領選を控え、国内では大きなスキャンダルを抱えているトランプ大統領は大満足の様相で、最終合意を確認する署名の場にアメリカの支持団体代表もでていたほどだ。
最近では文書の文言に異論を唱え署名が先送りされそうだったが急きょ署名まで持ち込んだトランプ外交の強引さには驚くが、その背景には安倍政権が譲歩していたのだ。
農産物、牛肉は38.5%の関税を2033年度に9%に、豚肉は4.3%が27年度に撤廃、米は無関税枠を設けないことになったという。一足安心という意見もあるが、畜産農家は減っていくだろうと同業者は見ている。外食産業はメリットが大きいだろうが、日本の過程では安心が第一なのでそんなに大きな影響はないだろうとも言われている。確かに外食での輸入牛肉は硬くてまずい。重さは同じでも筋や脂肪が多い。
コメは協定の対象から除外されているようだが、その理由はコメ農家は民主党の票田で、トランプ大統領の共和党には関係ないらしい。
自動車については追加関税を回避したというが条件として協定が誠実に実行されていることが前提にあり、万一違反していると判断されれば追加関税の動きが出てくる。米中貿易摩擦でも公約を守っていないとトランプ大統領は追加関税を引き上げたことがある。日本だって例外ではなさそうだ。
トヨタ会長が一安心とコメントしていたが、関税は継続審議なのだ。常に農産物vs自動車の構図で交渉されるが今回も農産物を犠牲にしてのウィンウィンらしい。
交渉の真相は、国会審議などで検証されるが、TPPの審議の時は野党が交渉経過を追及していたが政府は「相手のあることでコメントを差し控える」との答弁を繰り返していた。当時、担当大臣を移動させ、何も知らない石原さんが担当大臣になり野党の質問の矢面になっていた。今回はどうなるか。
結局は与野党が拮抗するか、政権交代しなければ真相究明にはならない。
自民党政権が力のよりどころにするのは日米安保だ。日米安保で日本の領土は守られていると考えるのだろうが、実際にはそうではない。アメリカの海外戦略のためにあるのだ。日本は多額の軍事費、基地の提供し、訓練の場にもなっている。米国の海兵隊を維持するには在沖海兵隊であることが米国にとっては一番経費が安いのだそうだ。
日本を守るよりも中東やインド、南シナ海に紛争対応の派遣が主だ。日本は中国の頻繁な尖閣諸島への領海侵犯対応に安保条約の範囲を尖閣にも含めるという発言を要望していたが、オバマ政権ではなかなか認めず、最後に言及したほどだが、トランプ政権は早々とコメントした。中国との二国間のイザコザには介入したくなかったのだ。
安倍総理はアメリカ大統領を存分に利用する。大統領との親密さで政権の人気、支持を上げたいためだ。
伊勢湾サミットの際は、急きょ決まったオバマ大統領の広島訪問に同行し一緒に献花した。オバマ大統領が単独で訪問し、世界にメッセージを発した方がより効果的だったと思うシーンにも恥じらうことなく顔を出したのだ。
そしてトランプさんが大統領に選出されると、出張の途中と言いトランプさんを訪問、ゴルフ道具をプレゼント、その後はゴルフ外交、頻繁な首脳会談と親密な対米外交が続く。
トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦したり、大統領選に向けトランプ大統領の成果アピールに協力したりする行為はアメリカ合衆国の51番目の州に匹敵する行為ではあるが、ドイツ、フランスのように距離を取り日本の国益を害しない行動が必要ではないのか。
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