2019年9月14日土曜日

中央銀行再び「マイナス金利」「利下げ」へ:何故?、カネは余っている、悪い循環を断ち切れ!


欧州経済不振、米中貿易摩擦で世界経済、景気の下降リスクの懸念があり、その予防のためにECB,FRBが金融緩和で「利下げ」「マイナス金利」を再導入する事態になった。何故だ、市場にカネはだぶついているのではないのか、このままでは銀行倒産の結末に終わらないか。悪い循環を断ち切れ!

今、必要なのは金融緩和策ではなく、米中首脳会談ではないのか。

ECBも3年ぶりに量的緩和に戻るという。金利もマイナス0.4%から更に下げる。ユーロ圏の物価上昇も年1%、目標の「2%未満でその付近」は達成できず。一方で欧州経済の不振、ドイツの中国向け輸出の低迷、英のEU離脱、イタリア、フランスの不振と欧州経済不振を回復するためにドラギ総裁が反対を押し切って量的緩和に踏み切った。しかし国債が不足しているという問題もあるらしい。

今はドラギ総裁だが、IMF専務理事だったラガルトさんが新しく就任する。どういう舵取りをするか。

トランプ大統領も米国経済は好調だが米中貿易摩擦もありFRBパウエル議長に「利下げ」を要求、「長期に1%にしろ」というのだ。自分の責任をパウエル議長の責任にしている。

米国財務省は、50100年の超長期国債の発行を本気で検討始めるという。低金利で利払い負担を抑えるのだ。

日銀はどうか。短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロだが、追加緩和ではマイナス金利を更に下げるというが、銀行経営など副作用に警戒の声が出ている。

でも今、本当に「マイナス金利」「利下げ」が必要なのか。金融政策で求める成果が期待できているのか。

「マイナス金利」は金融機関が中央銀行に預ける「手数料」を支払うことで、マイナス金利を下げることにより手数料を多く払わばければならなくなる。そこで金融機関は中央銀行に預けるのではなく、個人や企業に貸し出そうとする。つまり金融機関が持っているカネを市場に流すのだ。これにより消費が伸びたり、企業は設備投資し、経済を活性化するのだ。「利下げ」も個人や企業がカネを借りやすくするのだ。

何時まで。「物価上昇2%まで」らしい。グローバルスタンダードだ。

しかし、未達成なのだ。

金融機関は個人や企業に貸し出したいのだが、借りてほしい企業はカネを持っており借金せずに自己資金で投資できるのだ。企業の内部留保は460兆円にもなっている(日本のGDPが550兆円だから如何に大きいか分かる)。反対にカネを貸してほしいという分野はIT企業、介護事業などで不良債権になりそうな分野しかないようだ。

何で物価が上がらない。人口減、高齢化で市場が縮小、ほしいものがないのだ。家計を潤す人件費も上がらない。非正規労働者、高齢者雇用、女性雇用、外国人労働者政策では賃金は上がらない。逆に正規労働者の賃金を下げる可能性もある。

更には中国など海外から安い商品が輸入される。

では、何故金融緩和を続けるのか。

景気後退局面に接すると市場は中央銀行が金融政策の量的緩和で対応してくれるという期待がある。実際に答えてくれれば市場は安心し現状維持の動きをするが、期待に反した場合、市場は混乱する。株は下がり、国債も下がるだろう。為替も例外ではない。

でも市場には資金がだぶついているのだ。緩和した資金はどこに行っているのか。

日本銀行は5年で400兆円を市場に流したが、デフレマインドが強く、物価上昇は1%前後、日銀は「物価はいずれ上昇」というが目に見える上昇は起きない。お金は必要な分しか世の中に出回らないし、使われることもない。借り手が見つからないのだ。

景気が悪くなると市場は中央銀行をたよる。金融緩和だ。中央銀行は市場の期待にこたえて必要もないのに緩和資金を流す。市場は安心感から落ち着く。でもこんなことをやっても仕方ない。

まずは、解決の糸口を見つけるために米中首脳会談をやるべきだ。

そして中央銀行は市場の期待にこたえて使われない、必要のないカネを市場に流してはいけない。この辺で思い切って悪い流れを変えるべきだ。物価上昇2%目標からの離脱だ。経済指標をしっかり検証すべきだ。今言われている「予防的処置」なんて政府や市場の脅しに乗っているだけだ。

とにかく、景気後退リスク→市場の要求→量的緩和→正常な金融政策からの逆行のパターンから脱出すべきだ。それが本来の中央銀行の金融政策の正常化ではないか。

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