2019年9月7日土曜日

日本の政治の病根ここにあり:安倍総理の本質、政治家の「はぐらかし」、若者の存在、小泉の本当の評価


安倍総理の政治姿勢、若者の存在、横行する政治家の「はぐらかし、どっちつかず」そして小泉進次郎さんのやるべきこと、「日本政治の病根ここにあり」を思わせる納得のいく、示唆に富んだ記事が掲載された。

今の自民党安倍政権の「空虚さ」に苛立ちを感じえないが、6年の長期政権がさらに2年安倍政権の任期を残す。今回の内閣改造、党人事が最後(?)となるかどうか知らないが、11日の改造のキャッチフレーズは「安定と挑戦」だ。安定というのは一強独裁の安倍政権の継続なのか。そして何に挑戦するのか。今まで誰もやっていない憲法改正で自衛隊違憲論に終止符を打つのか。

そんな時、朝日新聞(2019.9.7)「ひもとく 選挙前後の空気感」でライターの武田砂鉄さんが3冊の書評を書いている。「はぐらかし、どっちつかずの政治」と現在の政治家の行動を批判しているが納得のいく、示唆にとんだ記事だ。

それによると、安倍総理は保守と思われているがアンチ左翼、人の意見を聞いて合意形成するのではなく、自分の正しさに基づき「論破」することに価値を見出しているという。自分で考えた言葉ではなく、用意された原稿を読み上げる。自分と距離の近い論客にゆだねているという(「自民党 価値とリスクのマトリックス」中島岳志著 スタンドブック)

今の安倍政治を良く見ている。お友達内閣、側近重用、○○諮問会議のように自分と意見のあった御用学者、経済人を囲い込む。官僚の用意した資料に基づき短時間で審議し、十分検討せずに国会に提案、その結果野党から肝心な点を追及されるが、後はごり押しの強行採決だ。国会審議の軽視だ。

参考
2019.8.10掲載
森友問題で安倍総理逃げ切りか、大阪地検特捜部嫌疑不十分で再度不起訴処分
yamotojapan.blogspot.com/2019/08/blog-post_10.html
2019.7.20掲載
安倍総理に問う(2):「憲法改正」議論してもいいが、安倍政権のやり方に警戒しているのでは
yamotojapan.blogspot.com/2019/07/blog-post_20.html
2019.7.18掲載
安倍総理に問う(1):「安定な政権」とはどの程度質の悪い政治家
yamotojapan.blogspot.com/2019/07/blog-post_84.html
2019.7.13掲載
朝日新聞「政界ファイル」より:野党批判に徹する安倍総理の品格、自制を求める声
yamotojapan.blogspot.com/2019/07/blog-post_13.html

そんな政治を自民党議員は良いと思っているのか。多様な民意を持って国会に出てきても議論する場がないではないか。

そんな中で、歯切れもいい自民党批判もやってのけるイケメンの小泉進次郎さんが人寄せパンダよろしく親父さんと同じくワンフレーズで人気を集める。重要閣僚で入閣か、世論調査のポスト安倍ではいつも30%の支持でトップだ。

しかし、自らの総合ビジョンを整理し、本を書いてみてはどうかと辛い評価だ。そもそも考えを有している人物なのかと問いかける(同上)。

同感だ。今の進次郎という政治家像はメデイアが作り上げた政治家像であって、本当はどうなのか。最近「文春砲」で有名、美人女子アナと合コンにふけっている情報がもたらされた。何だ、ミーハーではないかと思う。それでも政治家は常在戦場といわれているので常に緊張した生活らしい。「今までは鎧を着て寝ていたが、今後は鎧を脱いで寝れる」と囲まれ記者会見で言っていたが「今後は裸で寝れる」ということか。

参考
2019.8.30掲載
間違っていないか、メデイアが作り上げた小泉進次郎という政治家像、本当に総理候補か
yamotojapan.blogspot.com/2019/08/blog-post_30.html

若者世代の投票率が低下し、政治離れが起きている。政治は投票率の高い層を意識した政策を手厚くする傾向にある。その要因に「何も知らないくせに意見を言う資格などない」という考えが社会に充満している。「自分勝手な言い分を出すな。秩序に従え」という要求が繰り返されているという。若者たちの意思表明を諦めさせてはいけないのだ(「若者は社会を変えられるか」中西新太郎著 かもがわ出版)

以前は安保闘争、大学管理制度反対など学生が意見を表現し行動する機会が多かった。でも今は何を考えているのか。東大のキャンバスに行って気づく。時計台前の広場にはアジ看板が林立し騒々しい雰囲気の環境だったが、今はクリーン作戦とか言って整備され、意見表明もなくなった。

京大が最近、吉田神社に通じる道路の両側にアジ看板が立っているのは美観を害するとして決められた場所での許可になったらしい。

学生はノンポリになったのかと思っていたら最近、私立の学生を中心に国会前で集会を開く政治活動が続いた。何に反対しているのか忘れたが、憲法改正反対など立ち上がるチャンスが出てきた。憲法9条改正反対の国会前集会を取材したことがあるが、若い母親、北海道から来たという保育士さん、戦争で息子さんがなくなった年老いた女性などが「戦争はNO」「若者を戦場に出すな」と叫ぶ。まだ日本は捨てたものではないと感じたほどだ。

政治には無関心だがスポーツには熱狂する国民をどう思うか。

参考
2019.7.17掲載
参院選に問う(10):低投票率で安倍政権の不祥事、政治手法、支持団体寄りの政策を許すのか
yamotojapan.blogspot.com/2019/07/blog-post_87.html

最後に、政治家はなぜ、質問に真摯に答えないのか。政治家に問いかけてもとにかく答えが返ってこない。矛盾、はぐらかし、あいまいさ、ほのめかしなど「どっちつかず」が多い。「はぐらかし理論」というそうだ。「はぐらかされる」ことに政治的問題が含まれている。政治家は必死で消す作業するが国民は繰り返し表面化する作業が必要という(「政治家はなぜ、質問に答えないか」木下健ら著 ミネルバ書房)。

そこで武田さんは参院選前後の争点を振り返っている。

統計不正、老後2000万年問題、日米貿易、北朝鮮関係など「どっちつかず」のまま選挙をまたぎ、国民の「力強い支持」を得たと宣言し忘れ去らせる政治家の消す作業に対して繰り返し表面化する作業が必要だという。

森友、加計問題、安倍総理夫婦による憲政史上まれに見る疑惑事件で財務省の公文書改ざんなど民主政治の根幹を揺るがす事件にまでで発展した。

老後2000万円問題は選挙を控えて、考えに相違点があるとして麻生大臣は金融審議会の報告書の受け取りを拒否した。

厚生労働省の統計の不正使用は、政策の根幹を成すデータに疑惑が出てきたことになるが、結果には影響しないとごり押しだ。

日米貿易交渉は原則合意というが、農産物や工業製品では合意されても自動車では先送りらしい。トランプ大統領は「やるといったらやるぞ」とけん制する。火種を抱えたままの原則合意だ。

当然に国会で野党から質問攻めだろう。それを見越してか、まとめた茂木さんは外務大臣になり、経済財政担当相は新しい人になりそうだ。国会答弁で困るだろうと思うが、いきさつを知らない大臣を当てることは「経過については相手方のあることだしコメントできない」といえばいいのだろう。TPPのときに何も知らない石原さんを担当相に当ててこの戦術で乗り切った経験がある。

安倍総理が得意とする外交も成果が見られない。日露首脳会談では4島返還の話も進展しない。日米安保条約、在日米軍、軍事費の負担増の問題と友好国アメリカに対しても課題は多い。

安倍政権にたいして重要課題を消されるのではなく、野党を中心に国民の支援で繰り返し表面化する作業が重要であることは確かだ。

参考
2019.8.18掲載
今日の新聞を読んで(283):政治にこそシュンペーターの「創造的破壊」が必要ではないか
yamotojapan.blogspot.com/2019/08/blog-post_18.html
2019.7.24掲載
今日の新聞を読んで(279):「政策に不安」だが「あと2年やって欲しい」では「政治は変わらないのでは
yamotojapan.blogspot.com/2019/07/blog-post_24.html
2019.7.23掲載
2019参院選を終わって(3):たった20%の自民党支持で「憲法改正議論」を進めよか
yamotojapan.blogspot.com/2019/07/blog-post_57.html
2019.7.22掲載
2019参院選を終わって(2):有権者は安倍総理とともに「前に進む」選択をしたのか
yamotojapan.blogspot.com/2019/07/blog-post_96.html



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