2020年3月10日火曜日

トップの緊急事態対応を比較:福島第一原発事故の菅直人さん、新型コロナウィルスの習主席、安倍総理


緊急事態に接した時、時の政権トップの行動、判断は国民の身体、生命に大きな影響がある。ここで3.11東北地方太平洋沖地震、津波による東電・福島第一原発事故を対応した民主党政権での菅総理、そして今回の中国武漢を震源とする新型コロナウィルス感染対応での安倍総理、習主席の緊急事態対応を比較してみた。

869年に発生した貞観地震が1100年を経て2011年東北地方太平洋地震が発生(M9)、巨大地震とともに巨大津波による被害は眼を覆うほどだった。専門機関から発生した場合は津波の高さは15mという予測が出ていたが、それを無視した東電・福島第一原発事故は電源設備の水浸しで原子炉冷却水が供給できず、あってはならないメルトダウン、放射能汚染事故を起こした。

当時は政権交代し2年目の菅直人氏が総理だった。事故現場はどうすれば原子炉内を冷却できるかが検討され、非常用電源車や高所放水車が検討されたがうまくいかず、自衛隊ヘリコプターによる空からの放水が実施されテレビで全国にその様子が放映された。国民みんな固唾を呑んで見守っていた。

その時、菅総理は官邸にいても現場の様子は分からず、また現場の責任者らとも意思疎通を図りたいと、周りの反対を押し切って自衛隊ヘリコプターで現場に飛んだ。上空から現場を見て、対策本部で関係者に発破を掛けた。

ところが、菅総理の現場視察が、事故現場で対応に当たっている人たちの作業の邪魔になったのではないかと批判が続出した。トップは官邸にいて指揮をすればいいのだというのだが、どんなときでもそうだが現場の様子が分からないのは不安なのだ。

菅総理が批判されていたことを残念に思った。このことで「あの悪夢のような民主党政権」と安倍総理は事あるごとに菅政権を批判した。

でも自民党だって批判されるべきなのだ。菅総理は国を挙げての対応の必要性から自民党に「副総理格、事故担当相」として入閣を打診していたのだ。ところが自民党は「民主党政権に協力することはない」と申し出を拒否したのだ。そして安倍総理はことあるごとに被災地の視察を欠かさない。

一方、今回の習主席と安倍総理の新型コロナウィルスの対応についてみてみよう。

新型コロナウィルスの震源は中国・武漢だ。習主席の行動に疑問が出てくる。WHOとの話し合いの前にフランスなどと電話会談している。恐らくWHOがパンデミック宣言をしないように根回ししていたのだろう。WHOの事務局長とはエチオピアの経済援助などで友好関係を保っていた。事務局長が習主席の中国に不利な発言はできなかった。

このことが新型コロナウィルスの感染拡大を水際で止めることができなかった原因だ。責任は大きい。更に「国難」「公共衛生の重大事件」といいながら現場を訪ねて陣頭指揮する様子はみえない。代わって首相が武漢を訪問し激励した。

ネットなどでの批判で北京を訪問したが、「武漢へ行け」と批判が高まり、やっと9日、感染者数の増加も減少傾向になって武漢を訪れた映像が流された。ガラス越しに医療関係者を激励していた。

これで独裁政権を築き長期政権の可能性もあったが、求心力も低下し辞任も考えられる。武漢の眼科医が「不可思議な肺炎が発生している」という警告を握りつぶしたのも初動ミスの原因だ。

一方、安倍総理の対応はどうだったか。

震源地が中国・武漢ということで「習主席の国賓待遇での訪日」もあって、対中国での入国制限など初期対応にミスがあったのではないか。

特にダイヤモンドプリンスでの感染者対応は安倍政権の危機管理能力がが問われることになったが、2月の5日に感染者と非感染者の隔離が重要になる。厚生労働相はやってるというがテレビの映像を見る限り首をかしげる状況だ。

神戸大の専門家が隔離の不備を指摘する動画を流したが、すぐに削除された。政権側から圧力がかかったのだろう。今になって「内容は正しかった」と評価されている。

政権も海外から狭い船の中に何時まで閉じ込めるのかという批判で、2月5日から隔離監視し、14日後の2月19日から「陰性」だった乗員を下船させる政治判断を下した。大丈夫かと思っていたら「陽性」者が出た。一方、チャーター機で本国に帰国できた乗員も一度隔離されたが「陽性」者が出ている。

2月27日には北海道が一斉休校、外出自粛宣言を出し、全国の押さえ込みモデルにしたいと鈴木知事が発言していたのに対抗してかどうか知らないが28日やっと安倍総理が記者会見し「3月2日から春休みまで小中高の一斉休校」を打ち出した。あくまでも要請だという。

その記者会見もいい加減だ。約30分訴え、幹事会社の記者の質問を受けて、「まだ質問があります」と手を上げる記者を振り切って帰宅したのだ。専門家のフォローも無く、根拠も無く根回し載せず」の要請で質問を受けてもこたえられないのだ。国会審議でも担当大臣に答えさせていた。

ところが、3月5日に習主席の訪日が中止になったとたんに「積極果敢に対応」していくと中韓からの入国制限に打って出た。案の定韓国から報復措置がされた。

習主席の訪日が新型コロナウィルスの感染防止対策に大きな影響を与えていたのだ。外交が重要か、国民の安全を守ることが重要か。安倍総理は間違っている。

この3人の緊急事態対応を比較すると、批判はあるが菅直人さんの方が優れていると思う。

これからアメリカの感染も増加し、トランプ政権幹部にまで濃厚接触者の疑いが出てきている。原油価格の下落もあって株価は大きく下落している。トランプ大統領にとっては大統領選で不利になる。

日本からの入国や渡航制限にでもなれば安倍政権は持たないだろう。




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