2020年3月31日火曜日

新型コロナウィルスでパニック:佐伯京大名誉教授曰く「常識、良識を失い、異常が蔓延」と


得体の知れない新型コロナウィルスの襲来、その感染拡大に世界がパニックになっている。何時収束するかもわからない緊急事態に直面し一体どうすればいいのか。

その背景を検証し佐伯京大名誉教授は「常識、良識を失い異常が蔓延している」と言うのだ。政府やメデイアの報道に振り回されず、自ら考え、どう行動するか判断するために頼りになるのは常識や良識なのだ(朝日新聞2020.3.31「異論のススメ 現代文明かくも脆弱」)。

先生は言う。新型コロナウィルス感染拡大は、我々が長年築いてきた現代社会、現代文明がいかに脆弱であるかを露呈した。「リスク」ではない、新型ウィルスは予測もできない「不確実性」なのであり、どう行動するか判断する頼りになるのは、今まで築かってきた「常識」「良識」なのだ。

それが欠けているから「異常性」があぶりだされ、パニックになったり政府批判を繰り返すのだという。何やら読んでいてスカッとぶっ切れる内容だ。

現代文明は3つの柱「グローバル資本主義」「デモクラシーの政治制度」「情報技術の展開」からなり、人々の幸せ増進と未来を約束するとみられていたが、今回の新型コロナウィルスの出現で将来像に冷や水をかけたという。

グローバル資本主義は人、物、カネが国境を超えて移動、企業の海外進出、移民の受け入れ、人口の移動、世界的観光ブームだが、これにウィルスが加わりグローバル化が始まった。

このグローバル化には中国に大きく依存している。「世界の工場」「巨大な市場」、中国人の観光ブームだ。中国頼みの経済成長だが、ここに来て中国を震源とする新型ウィルスが逆襲してきた。

佐伯名誉教授は今回の新型コロナウィルスをどう見ているか。

統計的数値は死亡率でインフルエンザより多少高いが深刻なレベルではない。ただ感染力がやや高いが8割は軽症だ。感染ルートの特定ができれば感染速度を落とすことができるが、パンデミックと言う深刻な事態になる前に対策を取る必要がある。今やっている対策は「常識的」なものなのだという。

日本中がパニックになっている。トイレットペーパーの不足、マスクの不足、手洗い用アルコール液の不足、株式市場はちょっとしたニュースで大きく上下動する。

パニックを助長しているのがテレビの情報番組で内容はドタバタ劇だという。感染者数の増加で事態の深刻さを訴えている。感染者数より死亡率を重視したり、最近では感感染経路不明者を重視する。

小さなクラスターから多くの感染者を出す危険があるのだ。感染者の追跡調査から38人がバー、キャバレー、カラオケ、夜の飲食で感染していることがわかり、小池東京都知事は、こういった場所への夜の外出自粛を緊急要請した。

ここ2週間が山場、目途と言うが目途が立たなければ政府批判に走る報道も場当たり的だと先生は批判する。

政府批判しながら、一方で政府依存、解決を政府任せ、できなければ政府批判、これが情報化時代のデモクラシーの姿だという。

今回の新型コロナウィルスは「リスク」ではなく、「不確実性」で、ある程度予測できる「リスク」ではないのだ。確率的予測も不可能になる。こういう時こそ政治に依存し、報道に振り回される前に役立つのが「常識」「良識」だという。

中国を震源とする新型コロナウィルスの発生は、政治経済両面で中国依存を戒め、見直しを迫っているのではないか。生産の国内回帰、中国人観光客に依存しない観光地、国内旅行、ショッピング施設の経営の見直しなど課題は多い。

今はそう思っていてもある程度収束の姿が見えたら、また以前の経済の繰り返しになる可能性も大きいのだ。

そのためには「常識」「良識」を取り戻しておく必要はないか。

政府、都知事、各自治体の首長が要請する「外出自粛」、クラスター感染を防止するための3つの「蜜」の厳守、「自分は安全だ」という災害時につきものの「安全バイアス」を捨て去ろう。

買占め、買いだめをして何の役に立つのか。都知事が緊急要請するとすぐにスーパーのレジに長蛇の列ができる。トイレットペーパーの不足は解消に向かっているようだが、マスク、消毒用アルコール液は薬店の棚にない。「消毒用アルコール液の入荷の可能性はありません」と棚に表示されているが、入荷がなければ棚をやめたらどうか。

マスクの品薄には困る。「うつさない」ためにマスク着用はわかるが」「うつされない」ための着用は考え物だが、若者で症状がないのに感染している事例が増えてきたことを考えると必要なのか。

感染者数に振り回されていいのか。東京では感染者数が68人と最多を記録した後、翌日は急に13人に落ちた。専門家に言わせれば月曜日で検体数が少なかったためと言う。問題は感染経路の不明は事例数だろう。昨日小池都知事が緊急に自粛要請した夜のキャバエー、バー、カラオケなどへの自粛がどう影響するか注目だ。

私も高齢なので、新型コロナウィルス感染が高齢者に多いと聞くたびに「周りから何と思われているのだろうか」と一段の注意をしていたが、年齢に関係なく平等に感染するのだが、免疫力のある若者は無症状の場合があるから注意だ。0歳児でも感染者が出たと聞く。

医療体制の崩壊が心配されている。東京ではすでにベッドは満杯なのだ。爆発的感染だけは避けなければならない。

3つの「蜜」、手洗い励行は必須だ。アルコール消毒液がないが、石鹸でしっかり洗えば十分なのだ。この間新聞の通販に2本セットのアルコール消毒液が出ていて購入を考えたが価格が4500円だ。べらぼうな値段に驚く。石鹸でいいのだ。

FRBや日銀が量的緩和策を取るという。FRBは無制限の量的緩和を言い出した。日銀もゼロ金利、マイナス金利の深堀など市場にカネを流す政策に出ているが、そんなに市場にカネを流していいのか。

景気後退下でのインフレでスタグフレーションにならないか。

株式の乱高下には困ったものだ。トランプ大統領が「つぶやく」とすぐ反応する。投資家はちょっとした変化にも反応し売り買いに動くアルゴリズムのコンピューター売買をやっているので値動きは大きい。また、下がったと思ったら異常にあがる。ちょっとした変化でも利益を最大限にしようとしているのだ。

そして注意しなければならないのは憲法改正に執念を燃やす安倍総理が「緊急事態」での憲法改正を狙っていることだ。今回、緊急事態宣言を出する国民はどう動きか、そういうことも念頭に動いているのではないか。政権側は「ぎりぎり持っている」と言うが専門家会議のメンバーや医師会は「今すぐ緊急事態宣言をと言う。爆発的感染が広がった後では遅いのだ。

これからの対応を「常識」をもって対応すべきなのだ。



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