2020年10月1日木曜日

原発事故損害賠償集団訴訟で仙台高裁、国の責任を認める

 

東電・福島第一原発事故での損害賠償請求訴訟で2審の仙台高裁が一審に続き国と東電の責任を認める判決をした。全国で今まで13地域中、6地域で国の責任を認めない判決だったがこれを機に他の地域の裁判にも影響を与える判決となった。 

争点は2002年の政府の地震調査研究推進本部の「長期評価」の信頼性だった。貞観地震、津波地震の来襲の危険だった。 

記憶によると、当時政府の「長期評価」に基づく東電の若手技術者がシミュレーションした結果15mの津波が発生することがわかり経営者を含める会議で報告したが、当時の経営トップは長期評価の信頼性を疑い、土木学会へ検証を依頼、他の原発企業に東電は対応しないことを通知した。 

現在、刑事責任で旧経営陣の4人が強制起訴され裁判中であるが争点も「予見可能性があったかどうか」で争われている。 

当時の原子力行政は知識、技術、陣容においても東電が国より勝り、国もすべて東電頼みだったようだ。東電が「長期評価」に疑問といえば他の事業者も右に習えだったようだ。しかし、東北電力女川原発では長期評価を信頼し、防潮堤の増強を行い被害を軽微に抑えることができ、逆に地域住民の避難を受け入れることができた。 

仙台高裁は当時経産相が津波高さの試算を東電に命じていれば津波の到来を予見できたとし、「規制当局に期待される役割を果たしていない」と国の対応を批判し、「規制権限の不行使は国家賠償法の適用上違法」という見解を示し国も東電と同等の責任があると判断した。 

画期的は判断だ。原子力発電のように国の政策が大きく影響する事業での事故はどうしても国の責任を回避する判断が多いが、これでは国が何ら責任を果たしていないことになる。 

これではダメなので原子力規制委員会が設立され安全性をはじめ原子力行政全般に責任を持たせることになった。

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