2018年6月3日日曜日

今日の新聞を読んで(159):経団連はどんな日本社会を築こうとしているのか

おねだり経団連から脱皮を

経団連はいったいどんな日本社会を築こうとしているのか。財政問題をはじめ人生100年時代を迎え厳しい社会問題を抱えている。政府は政策を掲げ提言しているが経済界はいったいどう考えているのか。私には経団連は「おねだり経済団体」としか思えない。

以前、経済団体のトップが「おねだりばかりでなく、自ら努力が必要」と正論を吐いていたが傘下の企業の動きは鈍い。財政赤字が言われているが大企業は優遇税制で儲けに匹敵する納税をしていない。代わりに中小企業が少ない儲けから納税し日本の財政を支えているのだ。

大企業の法人税下げ、優遇税制の見直し、富裕層への優遇税制の見直しで税収増を図り社会保障、再分配に充てるべきだ。

若い世代の男性が正規の労働につけず、結婚、子育てもままならない社会は良質な労働力の再生産ができず、それがそのまま企業の雇用強いては存続にも影響してくる。

良質な労働力の確保は企業存続の基盤ではないか。海外から労働力の導入も考えられるがすべてうまくいくとは限らない。

「人生100年時代」に向け政府は政策を提言しているが生かすかどうかは企業の考え方次第だ。高齢者だからダメというわけではなかろう。高齢者にはため込んだ技術、ノーハウを持っている。決して若者には負けていない。

働き方改革は経済界の要望に沿った裁量労働制などを取っているが、非正規には「労働の多様性」、正規には「いじめ」に当たる内容である。過重労働が自殺者を出す現代社会で働き方改革は役に立たない。

残業ゼロは労働者の収入を減らす。暗黙の過重労働を認めている。

根本的には従業員を増やすことだ。リーマンショック後、海外と競争するためには人件費を削るしかない。社員、従業員を減らしたが、景気が戻り仕事が増えても増員しないので当然に仕事量は増える。これでは過重労働は解決しない。
そしてグローバリゼーションで海外の安価な人件費と比較した国内人件費はやめるべきだ。なぜ低開発国の賃金と比較しなければならないのか。

内需拡大も喫緊の課題であるが需要がなければとうしにも意欲がわかないことは確かだ。昔から日本は海外から「外需でなく内需を」と批判されてきた。そのため時の政権は前川レポート、21世紀版前川レポートの提言を受けたがいずれも失敗した。

要因は企業の儲けを家計に再分配することに企業が反対したためと言われている。

グローバリゼーションは良き日本社会の慣習を破壊した。

AIの導入が叫ばれている。介護では力のいる作業をロボットが助ける。事務所の受付をロボットが代行する。銀行の窓口業務はロボットが。いずれも簡単作業の代行であるが雇用を害する結果になりかねない。

今日の朝日新聞(2018.6.3)で「平成30年間の働く世帯の家計」では税、社会保険では月3.4万円の負担増、消費は4000円減という見出しだ。年金や保険料の負担で働く世代の暮らしは先細ったのだ。

家計へ負担増を強いた国も借金が膨らむ一方、膨れ上がったのは企業部門の現金だという。16年度末は211兆円、88年度に比べ4割以上増えた。法人税率は43%から23.3%に引き下げられた。

平成に生まれた富は企業に流れ込む構図になっているというのだ。

政治は大企業、富裕層のためにあるという専門家もいる。その通りだ。だから優遇税制の見直しで相応の負担を強いるべきだ。

「国破れて大企業、富裕層あり」の日本を想像できるか。



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