2018年6月11日月曜日

マンション管理の重要項目「防滑」:重要と言うが実体はお粗末なのでは


5年前にマンションの管理項目に「防滑」が追加されたが、8年前に購入したマンションのエントランスが項目に該当することが分かった。しかし未だ対策が出来ていなかったので理事になってエントランスの防滑に取り組むことにしたが、今の滑りやすいエントランスの光景が気に入った区分所有者が多く対策が遅遅として進まない。

問題は区分所有者の無知に原因があるが、マンション販売会社も無責任だ。重要項目の追加が販売後であったとしても安全確保のためには改善の申し出があっても良さそうだが何も言ってこない。

25年に防滑が強化され売買されるときは積極的に説明しなければならないのだ。

私の住んでいるマンションのエントランスは普通のマンションのエントランスとは違った設計、施工だ。道路との段差は全体が急な勾配のスロープになっている。床材も壁材と同じ材質で滑りやすい。手すりなどもついていない。

どうしてこんな設計になったのか。通常は一部スロープにし段差は階段で調整する。手すりも設け点字ブロックで高齢者、障害者にも優しい作りになっているのだ。

ところが建設コストを削減すために今のような危険な設計になったようだ。高級感を持たせるために中庭を設け、紅葉を植樹している。だから私が見ると田舎の安っぽい葬儀場のように見えるが、他の区分所有者には斬新な設計、施工と映るらしい。内覧会でも営業が「どうですかこの光景は」と売りにしていた。

「危ない」と気がつきながら誰も声を上げず7年間が過ぎたのだ。理事の一人も最近「滑った」のではじめて危険と感じたらしい。

まず、防滑対策をする事で理事会内の問題意識の共有化を行うと同時に法的問題も検討した。

瑕疵担保責任、不安全なマンションを販売したとしてPL法、そして安全配慮義務違反などが上げられる。

また、滑った経験などをアンケート調査したら結構経験者がいた。どうして声を上げなかったのは不思議なぐらいだ。自分のマンションという意識が低いし、住民は皆若いからこのような変わったエントランスも好きなのだ。

こう言う状況だから根本的な対策を提案しても認められない可能性はあった。

取り敢えず、一般的に行われている防滑塗装と通常のマンションの設計、施工である根本的対策の2案を検討した。

そのうちに頼みもしないのに管理会社がどの案が良いかのアンケートを採ってしまった。50%近い回収で現状維持が圧倒的に多く改造は5人しか賛成していない。

当然に現状維持派が多く、「この光景を変えてくれるな」と言う事だ。理事会で「私は降りるので誰か検討してくれないか」と提案したが誰も手を上げない。文句は言うが自分ではやりたくないのだ。

結局は理事長の判断で「根本的対策」を進める事になった。

総会の議案書に提案説明がされていたが管理会社の文章では説得力がなく業者に依頼して改造後のイラストを作成してもらい各戸に配布した。

今のような変わった設計は当初は評価されても築10年を過ぎるとマイナス評価されるという専門家の意見もあったので根本的対策で行こうと考えた。

ところが総会では改造案は反対多数で拒否され計画を断念した。

検討した対策案のまとめ
対 策 案
滑り止め塗装
床材を滑りにくい材料に変更
根本的対策
特    長
初期投資は一番安いが維持管理を長期に考慮すると一番高い工事
勾配はそのまま維持
滑りにくくなるだろうが、勾配をそのままにしているので「ヒヤリハット」が絶えない。
失敗したときの責任は? その後の対策は?
勾配を止め階段で高低差を調整する。スロープ部は一部残す。床材は滑り止め材質を使用、今後のために手すりも設ける
工事費は高い
初 期 投 資
エントランス部のみ 40万円
正式に見積もっていないが150~200万円?
300~350万円

年間維持契約
5~6万円?
  ―
  ―
塗装の張り直し
3~5年ごと
約60万円? 
  ―
  ―
維持管理費 
   10年
  230万円
  -
  ―
   20年
  460万円
  ―
  ―
初期投資+維持管理費  10年
40万円+230万円
  ―
  ―
初期投資+維持管理費  20年
40万円+460万円
  ―
  ―




評   価
初期投資は安いが、長期に維持管理も考慮すると一番高くなる?

25年の防滑管理強化でも需要はそんなに増えていないらしい。
設計変更で対応しているようだ。

どのくらいの防滑効果があるかは分からない。
勾配を付けたままでの対策では「ヒヤリハット」事例の撲滅は無理?

ダメだった場合の責任は?
管理会社は「責任を取らない」と言うが無責任な会社が提案することを採用するのか

この方式を採用する場合は欠点もはっきり組合員に示し失敗したときの対策も同時に提案すべきだ。
高齢者、体の不自由な人にも優しいマンション作り。

今は皆若いが20年もすると必要になる。組合員の中にもそう指摘する人がいる。

今のような変わったエントランスの設計も10年以上過ぎるとマイナス査定になるので注意(マンション管理の専門家談)

【注意】
 (1)5年以内に〇〇によるエントランスの修復工事が始まると思うが、エントランスの床をどうするかはしっかり議論した方がいい。
    当初の設計思想を確認し、滑りやすいマンションを販売したことに対する製造物責任は議論に上るはず。組合員の総意を総会で決めるべきだ。特に10年の瑕疵担保責任をどうするか。

(2)滑り止め床材に変更する場合は、管理会社に丸投げではなく、他の業者にも直接交渉して比較検討すべきだ。
   管理会社への丸投げは出来るだけ控えた方がいい。今後の大規模修繕工事などもあり、工事費を安く抑えるのは相見積もりで競争させるべきだ。

                        
その後、安普請を証明するようなエントランスの造作不良、床の沈下の疑うが出て来た。販売会社。施工会社を相手に原因究明をやっている。理事は辞めたので区分所有者の一人としての権利を執行中だ。

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