2018年6月17日日曜日

米中貿易戦争、7月勃発か:グローバリゼーションでも保護主義でも経済摩擦要因か


トランプ大統領が対中貿易で態度を硬化、高関税で7月にも経済戦争勃発か。グローバリゼーションでも、逆に保護主義でも経済摩擦の要因になる。バランスの取れた貿易とはどんな貿易なのか。

GDP 1,2位の米中に始める経済摩擦は3位の日本にどう影響するか。漁夫の利はありそうにない。

米国は外国製品の輸入が増えれば米国産業は衰退する。主要産業が弱っては国防に悪影響を及ぼすという論法で輸入に高関税をかけ、外国製品の流入を押さえようとしている。1102品目に25%の関税をかけ5.5兆円分の規模の措置をするという。さらに米輸出企業、中国で営業する米企業に懲罰的対応を取ると更に追加するというのだ。

これに対して中国は同じ規模で報復措置をとるらしい。今までの米中通商協議で決まったことは全て破棄し、500億ドル分の大豆などに高関税をかけると言うのだ。これは米の農産業に打撃を与える。

更にメキシコ、カナダ、EUが参戦してきた。ロシアもWTOに訴えるらしい。

米国だって攻勢ばかりではない。輸入原材料のコストアップ、米企業にも影響はある。米の産業界、協議会は反対しているが、中間選挙を控えてトランプ大統領は必至だ。

知的財産権等も含めれば、このまま行けば「中国の負けだ」と中国の研究所の専門家が指摘していた。AIIBでの中所得国の経済援助,一帯一路構想での海外進出などで中国は巨額の負債を抱えている。その上に黒字を出している対米貿易がなくなるとすると中国経済への影響は計り知れないと私は見ているがどうだろう。

事実、今のところはけん制の仕合だが戦争に突入すると米中共に具合の悪さが分かってきて和解協議と言うことになるのか。

日本は688億ドルの米側の赤字で、輸入制限も適用外なのだ。トランプ、安倍の仲でもビジネスは別問題らしい。
昔からアメリカは日本に厳しい要求を突きつけてきた。外圧に弱い時の政権はアメリカの要求を呑む結果になったのだ。昔は「年次改革要望書」で政策を要求し毎年進捗状況を両政府に報告するようになっていた。小泉政権での郵政民営化はその代表例だ。

そして今は、日米経済調和対話という会議で調整を行うらしい。

日本に対しては高関税をかける一方で日米自由貿易協定FTATPPへの復帰もトランプ政権が睨んでいる。一旦は離脱し、不利とみると復帰する身勝手はトランプ大統領と付き合わなければならないのだ。

一度、米中貿易戦争に突入したらどうか。日本も巻き込まれるがそのうちにまともな政策が出てくるかも知れない。

グローバリゼーションでも経済摩擦、逆に保護主義でも経済摩擦。自由経済貿易圏構築でもEUを見るように政治が絡んでくると危機的状況だ。一体何をすれば良いのか。

貿易/経済は「比較優位の原則」に則ってバランスのある貿易を行うと習ったことがあるが優位に立つ国は富み、不利な国は貧困にあえぐ。富の移転などでバランスをとる必要があるが政治が理性を失っている。

内乱状態にある紛争国を見ると国民は苦しみ難民として危険を冒して海外に逃避しているのに国内ではリーダーが政権争いをやっている。何のための政治かと思うが、その間隙を縫って自由主義国と社会主義国が介入し益々ややこしくなっている。

更に世界に平和を守るべき国連がその機能を発揮できていない。常に米vs中露の構図だ。その中露が紛争の該当国になっているのだからどうしようもない。

国連が役立たず、自国産業保護のために「ブロック経済化」が進めば世界貿易は縮小、昔の大東亜共栄圏の構築を日本が目指したように世界大戦への道につながる恐れもある。

今回の貿易摩擦の裏にはAIIB、一帯一路、南シナ海、軍備拡張、GDPでは2030年代には世界一位、IMFの本部が北京に移るそんな中国のアメリカに変わろうとする海外政策にトランプ政権が危機を感じている事があるのではないか。これも米国の安全保障の問題だ。政治的に押さえ込むことは出来ないが経済面での押さえ込みは可能なのだ。

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