2020年5月15日金曜日

39県で緊急事態宣言解除:「再感染増」「新しい生活」の不安を抱えたままの見切り発車か


吉と出るか凶と出るか、解除条件をクリアーしているとはいえ、経済再開を急ぐ余りの見切り発車の感が強くないか。「再び感染増」、「5月末まで時間があるのに」「新たな生活?」との不安を抱えたまま、8都道府県を残して39県を解除した。

背後には日本経済の疲弊がある。海外からは経済再開のニュースばかり。倒産も相次いでいる。インバウンド消費が伸びない。入国制限の問題も残る。緊急事態宣言を延長することは、感染者数の少ない自治体からは不満が出ているし、居酒屋、飲食店などの事業者からは厳しい経営状況は吐露されている。

後手後手の批判を受けてきた安倍政権にとって、ここに来て検察庁法改正は更なる批判を受け内閣支持率は下がる一方だろう。

安倍政権の新型コロナウィルス対応は本当に大丈夫か。今は経産省出身者の官僚が安倍政権を牛耳っている。「マスク配布で国民の不満は吹っ飛ぶ」と耳打ちしたのも経産省出身の官邸官僚だ。案の定、逆に不満爆発、466億円の税金の無駄遣いになった。当初は加藤厚生労働相が先頭にたっていたように見えるが、緊急事態宣言からは経産省出身の西村担当相だ。

これからも経済再開を目指すのだから経産省主導の舵取りになるのだろう。

外出自粛要請、休業要請の効果は14日に評価を実施し39県を解除したが、更に1週間後の21日にも再評価し残りの8都道府県をどうするか決めるらしい。「5月末を待たずに」何故、急ぐ。

今回の解除条件は、「人口10万人当たり0.5人以下の新規感染者」、「医療整備体制」「PCR検査体制」などを考慮されたらしいが総合的に判断されたという。

人口10万人当たり0.5人以下の新規感染者数は、一応の「目安」だという。決定的条件ではないのだ。クリアーしていない県も解除されているし、愛媛県のようにクラスターが発生した県が条件付解除だ。

東京は一週間の感染者が70人以下になるが、現状は173人で遠く及ばない。
この条件により3つに区分される。「特別警戒区域」は従来どおり接触8割減を、感染拡大注意県は「新しい生活」の徹底、感染観察県では「新しい生活の継続」が要求された。

疫病の流行は繰り返される。油断大敵だ。重要なことは「元の生活に戻る」のは無理で新たな日常を考えるときなのだが、此れが難しい。生活習慣が変わるのだ。テレビの情報番組で事例が出ているが「気の緩み」から元の生活の戻る危険が大きい。

安倍総理は「往来の自粛」を要請するが、解除された県と解除されない都道府県との行き来の自粛は難しい。東京への通勤は帰省が難しい。休日は「来るな」というのはやさしいが平日の生活維持は困難だ。群馬県は自粛継続を希望している。

大阪は「大阪モデル」を公表し皆クリアーしたことで2日後に解除するという。「ウィルスとの共存が必要」と言い出した。

21日にはどういう判断になるか。総合的に判断するというと、「基準よりも解除を重視」になるかもしれない。

解除後、再感染が認められたときに再び緊急事態宣言ということになるのだろうが「どういう基準」なのか公開されていない。専門家会議に諮問して決めるというが、諮問案は政府が決めることだ。今回も政府案が一人歩きし、専門家会議は後付けに終わった。

国民は安倍総理に命を預けた格好になるが、本当に頼れる総理なのか。新聞の首相動静欄を見ると、大勢の閣僚、官僚などが首相を囲んで打ち合わせをやっているようだが、政治判断を狂わすような情報も入っているのだろう。

国民には「一隅を照らす」運動が必要だ。国民一人ひとりが今置かれている立場で何をすれば最善を尽くすことになるかしっかり考えることだ。それができる国民が「国の宝」なのだと最澄は教える。


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