2020年5月17日日曜日

思惑がらみの緊急事態宣言解除:自分の解除区分、解除条件を知っている国民がどれほどか


緊急事態宣言の発出も大変だったが、より難しいのが宣言を解除するときだ。一律に解除すればよいのだが、それぞれ政府、自治体に思惑がありそうは行かない。専門家会議で了承された解除条件、解除区分も3つに分類された。

我々国民一人ひとりが自分はどの解除区分で、国や自治体のどの解除条件に該当するのか。理解し解除後の生活をコントロールできているのか。

14日以降のテレビの報道を見ると「まず新型コロナウィルスのニュースから」で始まり驚くような光景が眼に入ってくる。

久しぶりだといいながら居酒屋で数人と一杯やっているシーン、14日までは休業していたデパートの開店、温泉場の浴場の光景、美術館などの再開、公園、広場で遊ぶ親子、乗換駅では出勤者で込み合うコンコース、ホテル、旅館での久しぶりの予約者、一方で店は開いたがお客がくるか不安そうな経営者、何かしら「元の生活を取り戻した」風景だ。

いまだ解除されない都道府県の人間が見ると「解除された」と錯覚を起こしそうだ。

此れではすぐに「感染者数の増加」に転じ再び緊急事態宣言になる。その基準がはっきりしないが間違いなさそうだ。第2波、第3波が来るのだから間違いないか。

安倍総理は「往来の自粛」「新しい生活」を要請していたが、国民は「元の生活に戻れる」と考えているのではないか。

でも「新しい生活」も垣間見ることができる。すべてが人との接触を制限することなのだ。

ドライブスルー、食材のネット販売、オンライン技術の応用、買物などでのソーシャルデイスタンスの確保、マスクの着用、それから忘れてはいけないのがテレビでのコメンテーターの中継、検察庁法改正に見るSNSでの政治参加などこれからどんなことが起きるのか注目だ。

社会全体においてコミュニケーションのとり方がどう変わってくるか。情報格差が政治経済で公平、平等を損なわす結果にならないか。

私たちは、接触8割削減の「特定警戒区分」、「新しい生活」を徹底すべき「感染拡大注意区分」、「新しい生活」を継続する「感染観察区分」のどこに属しているのか。

解除条件も国の緊急事態宣言解除の目安、東京都、大阪府、北海道などの外出自粛要請、休業要請解除の指標と基準を公表している。新規感染者数、感染経路不明者数、陽性率などの指標で各自治体が基準値(目安)を示しているが内容は似た数値、東京都は他に指標を上げているが目安の数値は示されていない。

特徴は、誤解を生みやすい出口戦略という言葉は使わず「東京ロードマップ」で休業要請に段階的に対応するのか。また、再び感染者が増加する事態にも対応するために緩和指標のうち一つでも目安を超えたら「東京アラート」を発出し第2波へ備えるのだ。

国内でも一番感染者が多い東京だ。気の緩みによりもとの状態に戻ることを警戒するのも当然だ。

いかに特定警戒都道府県外で休業自粛要請、外出自粛要請を段階的に解除し、経済再開に向けての対応を急いでも東京を含む首都圏の経済再開ができなければ停滞している経済を立て直すことは不可能だろう。

東京都はロードマップで休業要請の緩和措置を公表している。博物館、美術館、図書館など文化的、健康的な生活を維持するために必要な施設から劇場、飲食店、そして入場制限を前提にしたすべての施設の再開だ。

でも小池知事は5月末までは現在の自粛を要請するという。

一方、安倍総理は何を急ぐのか、21日にも8都道府県の解除の有無を検証するという。安倍総理は東京を解除して一気に経済再開へ向けたいのだろうが、それは国が発した緊急事態宣言の解除であって外出自粛、休業要請は各自治体の首長の責任だ。

都民、府民、県民の生命、財産の安全維持に重要な権限を持っている。

吉村大阪府知事も他県に先駆け、「大阪モデル」を公表した。「社会経済を動かさなければ倒産、失業、自殺で失われる命が必ず出る」ことを考慮し基準がクリアーできれば16日から緩和に入るという。

緊急事態宣言の解除は吉村知事の一言に尽きる。でも第2波の襲来には警戒が必要だ。

テレビや新聞のニュースをしっかり読み込まなければニュースで伝わる光景は
「元の生活に戻る」誤解を生む。今、自分が置かれている立場はどうで、何をしなければならないのか、常に言い聞かせながらの「新しい生活」へ挑戦しなければならないのだろう。

事業者は安全対策をするのは当然だが、そこに行くかどうかを判断するのは私たち一人ひとりなのだ。「今何をなすべきか」、一人ひとりは最善の行動を決めることが大事であることを伝教大師・最澄は「一隅を照らす」で教えている。

コミュニケーションをどうとっていくか、「新しい生活」のキーポイントだ。

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