2020年5月2日土曜日

緊急事態宣言延長の是非(4):新型コロナウィルスで潰された経済をどう再開するか


新型コロナウィルスが潰した経済をどう再開するか。5月1日の専門家会議は提言の一つに「新感染者数が限定的になった地域」に、3つの「蜜」回避、手洗い、テレワーク、時差出勤など「新しい生活様式」の対応が必要という。

一方、吉村大阪府知事は「段階的解除を始める」と自粛要請の「出口戦略」について考えを示し国の方針に異論を呈した。

現状は「感染状況の著しい地域」と「限定的な地域」と二分されており、長引く要請でも一律に自粛要請、休業要請することが難しくなっている。

このまま一律に続けると経済再開へ支障をきたすことは分かる。サービス業を中心に自粛、補償も限界があり首切り、人員整理から倒産、廃業が増えている。

大阪府知事もカラオケ、スポーツクラブ、ナイトクラブなど、どの業種から始めるか検討するという。

でもこのような業種は3つの「蜜」に該当しクラスターの原因にもなっている。問題になっているパチンコ店などは、休業すれば経営上問題が出るらしい。人件費、家賃など運営費がつきに1000~2000万円かかるらしい。補償など微々たるもので自粛の要請を受け廃業に踏み切った事業者も出ている。

自粛に対する補償も自治体によっては財政上の問題も出てくる。解除して負担を少なくしたいのだろう。

万一、収束し解除しても人や物の動きがすぐに戻るか。その時、店はなくなっているだろうし、中小企業や優れた技術を持っていた家内工業などの事業者が再開するか。高齢者で跡取りがいないということになれば、事業を閉める良いチャンスと見ていないか。

一方で、チャンスもある。中国頼りの部品のサプライチェーン破綻で国内の工場が生産に支障をきたしているし、工事業者も部品が入らないので工事が停滞している事態が発生している。そういう部品供給事業の国内回帰も始まっているらしい。政府もそれに予算をつけている。

アメリカも大統領選を控え、人と物の動きを制限し、社会的隔離の一部を解除し落ち込んでいる個人消費、設備投資、輸出の回復を狙っている。トランプ大統領と州知事が主導権争いをしているところもある。トランプ大統領は大統領選を控え早く経済を再生起動に載せ実績を作りたいのだろうが、州知事はまだ新型コロナウィルスの感染拡大と戦っている。経済再開の時期ではまだないというのだろう。

何かと中央銀行の独自性を主張しトランプ大統領と対立するFRBもゼロ金利政策で物価安定、250兆円にもなる大量の資金を供給、企業の支援している。無制限の量的緩和を言い出した。

パウエル議長も経済が危機的前のレベルに迅速に戻る可能性は低いという。

ECBは政策金利の引き下げはしなかったが、各国が国債を発行し金利が上昇することに対して量的緩和拡大、マイナス1%で民間銀行に資金を供給するという。

安倍政権もコロナ対策で117兆円の補正予算に続いて2次補正、追加経済対策が要求されている。何かと後手後手の安倍政権に国民の不満が高じている。危機管理に長けた安倍政権と見られていたが、国民の生命、身体に関わる始めての災難に直面し右往左往している感がする。

政策を打ち出しても記者会見は逃げの姿勢では国民も信用しない。自分の言葉で国民に訴えるべきだ。

関連記事
2020.5.2掲載
緊急事態宣言延長の是非(3):専門家会議報告、やっぱり付きまとう本当の感染者数?

2020.5.1掲載
緊急事態宣言延長の是非(2):疫学的検証の数値データの公開とそれに基づく政治判断の根拠

2020.4.30掲載
緊急事態宣言延長の是非(1):無理な外出自粛要請は解除したときの反動が大きくならないか



0 件のコメント: