安倍総理の「無謀さ」は目に余るものがあったが、今回の黒川問題、検察庁法改正案でそれを曝け出す結果になった。
森友、加計疑惑に始まり国会答弁のお粗末さ、憲法改正に見る国会軽視、国会開会中にもかかわらず隙間を見ての外遊、そして「桜を見る会」前夜の「夕食会」と後援会の公職選挙法、政治資金規正法違反容疑、内閣人事制度を悪用した官僚の掌握、国有地格安払い下げは財務省における公文書偽造、隠ぺいという民主政治の根幹を揺るがす事態になった。
恣意的法解釈、政権運営、責任は官僚に押し付け自分は責任を取らない、その「無謀さ」のピークが今回の黒川問題、検察庁法改正に見ることが出来る。
検察官に定年制は適用しないという過去の政府答弁があったにもかかわらず、安倍総理は「適用可能と解釈することにした」という。そして黒川氏の定年延長で「黒川検事総長」の含みのある検察庁法改正案を提案した。
政権運営でも問題がある。国家公務員定年延長と抱き合わせの改正案で野党の反対を回避しようとした。野党が分離、特別規定の削除を要求しても頑固受け付けなかった。
そして失敗となるとすべての責任を官僚に負わす。人事は法務省が官邸にもってきて内閣はそれを承認したという。しかし実際には黒川定年延長は官邸側の企てだったようだ。安倍政権の押し付けだから法務省内での検討プロセスも無いらしいが、「法務省で検討された」と責任回避する。いつものように「任命責任は私にある」と言うが、責任を取ったことはない。
国民は皆、安倍総理の魂胆を見抜いている。安倍総理自身に降りかかる違法事案、600人にも上る学識者、弁護士が「夕食会」を公職選挙法、政治資金規正法違反容疑で東京地検に告発、河井元法務大臣と妻の選挙違反に関しても自民党本部から1.5億円の選挙資金が流れているが、それには安倍総理の意向があり立件、有罪となれば安倍政権には痛手だ。これらの事案を黒川検事総長で握りつぶすつもりだったのだ。
安倍総理の「無謀さ」を潰そうとしたのはツイッターと言う「新しい政治への参加の場」であり、今回の新型コロナウィルスの感染拡大防止のたまものだ。
[後記]
読売新聞(2020.5.23)によると、黒川さんを推薦したのは菅官房長官と官邸閣僚だったというし、定年延長については安倍総理は「そんなことが出来るのか」と半信半疑だったが、法務省が「出来る」と答えたらしい。
本当のことはわからないが、安倍さんは一連の行為に乗り気ではなかったのか。それでも最終的にGOサインを出したのだから「安倍総理に責任がある」と言うことか。
これでは、安倍総理と菅官房長官の間に溝が深まっているという観測はウソではなさそう。
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