2020年5月19日火曜日

検察庁法改正案見送り局面での安倍総理の発言を新聞記事から拾ってみた


迷走する安倍政権、リーダー不在の官邸が顕在化する中で2つの政策が求心力の低下につながる事態になった。一つは新型コロナウィルスで困窮する世帯を救済する一世帯当たり30万円の給付が国会提案の直前に一人当たり10万円の支給に変わったこと、そして2つ目が今回の検察庁改正法案の成立見送りだ。

この事案は先に閣議決定した黒川・東京高検検事長の定年延長が宙に浮く結果になった。

国民の多くがツイッターというツールで「政治に対する参加の場」を得て反対運動が盛り上がり、さすがの安倍総理も無視できない事態に追い込まれたのだ。

窮地にかかった安倍総理がどう発言を繰り返したのか、新聞の記事の中で拾ってみた。

最後の段階でツイートにて多くの国民が反対の投稿を繰り返した。安倍総理は「国民の理解を得て進めていくのが肝要、批判には丁寧に説明していく」と記者団にコメントした。
「理解を得るため丁寧に説明」とは窮地にかかった時の安倍総理の常套句であり森友、加計学園問題でも常に発言していたが、「丁寧」とは国民にとっては意味が違う。「自分の論理を何回でも話す」ということであり相手が理解しているかどうかは関係ない。わからないとみるとまた、新しい論法を展開するが何ら事実は出てこない。

短い国会での審議時間内に同じことを繰り返し「時間切れ」を狙う作戦だ。

「国民の理解なしには進めない」というが、安倍総理にとってはそんなことは関係ないのだ。恣意的な法解釈を勝手にやってしまう。だから国会審議で野党から担当大臣が質問を受けてもしどろもどろの答弁になり、結局は不信任案を出される。今回の黒川さんの定年延長の閣議決定、先には集団的自衛権の閣議けってだって同じ論法で、国民の理解など何でもないのだ。

「これからも責任を果たしていく」ともいう。これは見送りが決まる以前の発言だ。国民や野党の反対を軽く見ていた時のコメントだろう。

不思議なことに安倍総理の言動には強い思い入れは当初なかったようだ。ところが検察庁法改正案に力を入れるようになった。何故か。

参院選広島選挙区での河井元法相の妻が当選したが、今公職選挙法違反、政治資金規正法違反に問われ選挙を仕切った河井元法相にも検察の手が伸びてきた。おまけに自民党本部から1.5億円の選挙資金が流れており、安倍総理がかかわったのではないかとみられている。

さらには「桜を見る会」と前夜の「夕食会」が政治資金規正法違反の疑いで安倍総理と後援会のトップが東京地検に告発される動きが出てきた。

そのために今までの安倍政権での不祥事を不起訴にもっていったとみられている黒川検事長の「守護神」としての存在を重視するようになったのか。

ところが時期が時期だけに、新型コロナウィルス対応での国民の不満が検察庁法改正案反対に向かったのではないか。安倍総理の自業自得だ。

「無理する必要はない」、検察庁法改正案を強行採決すれば与野党全面対決になり第2次補正予算もずれ込むことになる。安倍総理は新型コロナウィルス対策に軸足を移したのだ。

「法案については国民から様々なご批判があった」、多くのツイッターでの反対投稿や検察OBの反対声明などは今まで批判を何とも思っていなかった安倍総理にとっては無視できない存在になった。新型コロナウィルスでの後手後手の批判もあり、弱気になったのではないか。

「政策の中身、ファクトではなく、一時的イメージが広がったが時がたてば「事実と違ったな」と理解いただける」ともいう。何やら戦時中青年将校に襲われた時「話せばわかる」といった政治家がいたが、「歴史が証明する」とでも言いたかったのか。今まで6年間の安倍政権の政策でそういう内容の政策があったか。歴史が証明するのは総理夫妻による憲政史上まれなる不祥事ではないか。総理の奥方がここまで自由奔放に活躍し総理の足を引っ張ることはなかったのではないか。

そして「内閣の恣意的な人事が行われたことはない」ともいう。法案成立に意欲を見せていた時の批判にこたえて、飛び出した発言だ。今まで内閣人事制度を悪用し官僚に忖度させ、答えた官僚は必ず栄転させてその業績に応じる。これが安倍政権の常とう手段だったのではないか。

そして関係者を利用できることは利用するが、まずくなると手の平を返す。森友事件ではあれほど教育者として褒め上げていた籠池前理事長を切って捨てたし、黒川検事長の人事も宙に浮いてきた。黒川さんに定年退職を強要し、次期国会で成立させる手でも考えているのか。

ここまで悪者扱いになった黒川さんだ。身を引いたほうが将来のためにならないか。元財務省理財局長の佐川さんを反面教師にしっかり考えるべきだ。

安倍総理の任期も先は短い。求心力も失いつつある。追随することがメリットになるか。自民党議員も官僚も考える時ではないか。

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