2020年5月29日金曜日

米中攻争の新段階(2):民主政治、自由主義国の旗手としてトランプに期待できるか


今までの米国と中国の攻争は、トランプ大統領が「アメリカ第一」「保護主義」を掲げて外交を進めるので先進国間での溝ができ、その間隙を縫って中国が覇権拡大を狙う構図であったが、新型コロナウィルスでトランプ大統領、習主席ともに弱みがあり、その責任を擦り合っている。

米中攻争は一段と激しさを増しているのだ。

トランプ大統領は次期G7議長国、この時期にアメリカで来月末に開催したいらしい。G7グループのイタリアが中国頼みの姿勢になってきた。メンバーが集まって今の世界情勢を議論しアメリカの方針に了解を取りたいのだろうが、ドイツ、フランスがどう考えるか。

ウィグル、チベットそして行方不明者の人権問題、南沙諸島の軍拡化、台湾問題、新興国の経済支援である一帯一路構想は「債務のわな」が表面化、日本に対しては尖閣諸島領海侵犯、日本周辺海域での地下資源開発、日本海周辺の公海での軍船舶の航行などやりたい放題だ。

安倍総理は何度も日中首脳会談で打開しようとしているが成果が出ない。だから4月の習主席訪日に期待したが、新型コロナウィルスで中止になった。しかし、この時期に及んでも中国公船による領海侵犯は続く。こんな状況が続く限り習主席の訪日は無理で強行するなら世界の笑いものになる。

人権問題、領土問題には異常な執念を燃やす習主席だ。

中国の主権が侵されると見ると中国は無理筋なことをやってしまう。香港の独立を主張する若者たちの大規模デモに端を発した香港の「一国二制度」をなし崩しにする「国家安全法制」を全人代で導入することを決定した。

背景にあるのは米国でも「香港人権・民主〇法」が成立し香港を監視する姿勢を見せたことだ。「優遇措置を続けるかどうか」が米国の課題だ。

アメリカは「陸海空でアメリカの優位を侵されている」とポンぺオ国務長官は警告する。

新型コロナウィルス以前は、世界第2位のGDPにのし上がった中国に期待と警戒を織り交ぜた見方が多かった。「中国は世界を制するか」、「中国の時代が来るか」を問う専門家の意見もあったが、大方の見方は「現在の政治体制では無理だろう」だった。

中国、ロシアの共産主義の拡大路線に先進国は団結してかからなければならない。トランプ大統領は、そこのところをしっかり考えなければならない。自分の選挙対策ではなく、アメリカの世界に対するスタンスの問題だ。



0 件のコメント: