2020年5月20日水曜日

今日の新聞を読んで(358):新型コロナウィルスに直面し、さらけ出した安倍総理の「力不足」


平時は思うままに権力を振るってきた安倍総理、3.11東北地方太平洋沖地震、津波で右往左往する民主党・菅政権を「あの悪夢のような民主党政権・・・」と批判していたが、自分が新型コロナウィルスの感染拡大に直面すると、「危機管理能力の力不足」を露呈し、安倍総理・安倍政権の本質をさらけ出している。

国民救済の二転三転する政策、民意の猛反発を買い国会成立を見送ることになった検察庁法改正案、こんな政権を生み出したのも我々国民の責任であるが、リーダーを変えようとしても後釜が見当たらないほどの政界の貧困さもさらけ出した。

今回の新型コロナウィルス感染拡大の局面で、一強独裁政権と見られてきたが「危機管理での力の無さ」(朝日新聞2020.5.20「多事泰論」)、「国民と同じ地平に立たない」(同上 コロナ禍)と安倍総理の欠陥を指摘する記事が目に付いた。

緊急事態宣言での数回の記者会見は、顔を左右に動かしながら会見場を見渡しながら国民に訴えているように見えたが、実際にはプロンプターに映し出される官僚作成の声明文を棒読みしていたのだ。

東工大の中島教授は「国民と同じ地平に立っていない」という。多くの国民は生活不安、苦しみに直面しているのだから安倍総理も国民の不安、苦しみに立ち「弱さ」を出すべきではなかったか。ドイツのメルケル首相が評価されたのもメルケル首相自身も「心配、不安」をさらけ出し「弱さ」を共有したためだという。

それとは反対に安倍総理は夕方6時から約20分間国民に訴え、数人の記者の質問を受け、更なる質問を振り切って会見場を後にし帰宅したのだ。メデイアから批判が出てくると会見後、海外の要人と電話会談して帰宅した(首相動静より)。姑息な手を使ったものだ。

本質的に自民党政権ってどんな政権なのか。昔は重量級のリーダーが多く出た。主流派対反主流はで政策論争も激しかった。やりすぎたと思うと反対のリーダーが出てくる。三木さんのように小派閥から総裁が出てくることもあった。

最近はどうか。小泉さんのようにメデイアをうまく使い人気を得た総理もいたが、背後では年金問題など国民の生活に影響を及ぼす問題は表面化をさけ改革も先送りされていたのだ。

その後は軽量級の総理が続く。

本質的に自民党政権はアメリカ大統領とどういう関係を築くかによる。総理に就任するとすぐアメリカ大統領詣でを繰り返す。麻生さんにいたっては大統領の都合がつかないにもかかわらず訪米し、一時顔を合わせたという日帰り詣でをした。

安倍さんにいたっては、伊勢湾サミットではオバマ大統領に付きっ切りで、広島訪問にも他のサミット出席者を無視して急遽同行し花輪をささげた。

トランプさんが大統領になるというと、就任前にお土産を持ってトランプ詣で、現役でもあるオバマ政権からクレームがつくほどだ。トランプ大統領との友好関係は他の先進国のリーダーがうらやむのかと思ったがそうでもなさそうだ。国際政治の場で安倍総理の存在は注目されたのもトランプ大統領との関係であって本人の実力ではない。

そのトランプ大統領も「保護主義」「アメリカ第一」で国際舞台の場で孤立感を深めている。トランプ大統領追随は他国からスカンされる事態になっている。アメリカとの距離を置くべきだ。

その安倍総理も新型コロナウィルスの感染拡大という危機に直面し「一強政権」と見られていたが、機能不全で危機に弱かったという(原編集委員)。

PCR検査のあり方、医療現場に行き届かない防護具、手続きの遅い休業補償給付、迷走する布マスクばかりではない。閣僚答弁のお粗末さに比べ引き立つ野党議員の質問の内容が引き立つとも言う。

「一強」政権の力の衰えかと思ったが、そうではなく「もともと強力な政権ではなかったのだ」と言い、危機の役立たぬ政権の製造責任はメデイア、国民自身にあると指摘する。まったく同感だ。

何故、私たちは安倍政権を支持したのか。

まず、不甲斐ない民主党政権があった。小沢さんとの党内権力闘争に明け暮れ、大風呂敷といわれた公約は反故になり、更に3.11東北地方太平洋沖地震、津波被害は福島第一原発の事故につながりその対応に四苦八苦した経緯もある。当時の菅総理もリーダーとしての質を問われたが、安倍総理よりもマシだったと思うが。

そして、市場のタイミング、運もよかったと思う。長く続く円高、株安も安倍政権での異次元の金融緩和で市場も動き円安、株高に。日本経済の復活にリフレ派経済学が貢献したように見えた。此れが安部総理を不動の地位へ導いたかに思えたが間違いだった。

この7年間、国民の身体、生命にかかわる事案が発生していなかったことも運がよかった。だから国民からの激しい批判を浴びることになったのは、今回の新型コロナウィルスが初めてだ。

今までは、不祥事隠しをしても「他の内閣に比べマシ」と見られていた。ここに安倍総理の甘えがあった。これからはツイッターという「新しい政治の場」で安倍総理批判が高まるだろう。

来年の任期一杯、総理の座にいられるかどうか。今までも辞任する機会は多かったと思うが、「責任を取ったところでどうなるわけでもない」と思っているのか。


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