世界の2大国、米国vs中国、米国は中国が「陸海空あらゆる面で米国の優位を脅かしている」と人権、経済両面で中国の覇権主義に警戒を強める。一方、中国はGDP世界第2位、そのうちに米国を抜いて第1位も可能、世界唯一の共産主義政権として新興国などに経済支援することにより勢力拡大を目指し、米国の対中けん制を警戒する。
トランプ政権では中国からの輸入過多で米国の産業衰退、雇用に大きな影響をしているとして中国に対して高関税をかける政策に出たが、中国も米国に対して高関税で対抗する。
バイデン大統領になり、しばらく様子見だったがトランプ氏とは違い人権、香港、台湾の民主化擁護、南シナ海、東シナ海の自由航行を維持するために同盟国の結集を強化した。
米中対立が今後どうなるか。G7を控えバイデン大統領の対中政策がどう展開するか注目だ。
そんな時、読売新聞(2021.6.6)「地球を読む 米中と「力の均衡」お互いの優劣を見誤るリスク」と言うタイトルでジョセフ・ナイ氏の記事が目に入った。
米中の関係が悪化する中で「過ぎた恐怖心が危機を招く」と警告する。米中双方が計算違いに注意しなければならない。米中が直面する最大にリスクは米中自身の失敗の可能性なのだとも言う。
ナイ氏は過去の戦争を例に出し2つの要因があるという。「新興勢力の台頭」と「既成大国にもたらされる恐怖心」という。すぐ中国と米国が考えられる。
この時、お互いが過大評価、過小評価する。指導者がお互いをどう評価するか。見誤るリスクが出てくる。ただ、わかっているが自らの政策を推進するために煽る手もあるのだ。
ナイ氏の指摘に私の考えを加え力のバランスを考えてみた
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米国 |
中国 |
軍事力 |
中国の4倍 NATO 自由主義国のリーダー インド太平洋地域で同盟強化 |
西太平洋から米国を排除することはできない 最近は空母建造など軍備増強 南、東シナ海で制海権維持 |
地理、経済圏 |
四方を友好国で囲まれる 開かれたインド太平洋構想 |
14か国と国庫湯を接し領土問題頻発 一帯一路構想、新興国などでインフラ支援、港湾施設が軍港化 |
エネルギー |
シェールオイルで輸入国から輸出国へ |
中東からの輸入 海路の確保 パイプライン構想も |
人口 |
人口ランキング3位 人口減少の傾向はなし |
人口世界一から脱落 少子高齢化 市場の縮小、労働人口の減少 3人まで認めるか |
経済成長 |
バイオ、ナノ、情報などで優位 |
研究開発に集中投資、得意分野で競争力あり サイバー攻撃で先端技術盗む |
中国の力が増し、米国が没落していると訴える人はあらゆる種類の力を比較してみるという視点に欠ける。米国が傲慢になってしまう危険は常にあるが、行き過ぎた恐怖心が過剰な行動を生むと指摘、同時に危険なのが中国の民族主義の台頭と言う。米国が衰退していると確信するとリスクの高い行動に出ることも考えられるとナイ氏は指摘する。
トランプ大統領の時は、多国間でなく二国間交渉を重視、同盟国から不満だ出ていたが、バイデン大統領になって多国間交渉が重視され、日、米、独、英、仏、豪などによる対中けん制体制が出来上がっている。一方共産主義国としてはロシアは経済で後退、中国が一人覇権主義で世界を振り回している。
ここで米中が計算違いに注意しなければならないとナイ氏は言う。相手をあまりに評価しすぎたり、過小評価したりしての外交リスクが高まる事態を引き起こすことは、しばしば米中自身の失敗の可能性によるのだ。
しかし、今の状況は中国・習主席の国内権力の把握、そのためにアジア、アフリカの新興国に向けた経済支援にかこつけた覇権主義の拡大で世界に恐怖心を呼び起こしているのではないか。
21世紀中ごろまでに中国は世界のリーダーになる可能性を聞かれたら、今の政治形態では無理と言わざるを得ないのだ。
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