21世紀は9世紀の自然災害多発の時代と酷似しているという。阪神淡路大震災では都市災害の恐ろしさを知り、3.11東北地方太平洋沖地震は1000年前の貞観地震の再来は政府が予測を出していたにもかかわらず信用せず、無視したために原発と言う巨大技術を打ちのめし、甚大な被害を及ぼし今も対策に苦労している。
100年前のスペイン風邪、10年前のSARSに続き、今回は日本をはじめ、世界中が新型コロナウィルスの猛威に晒され、各国が対応に追われている。ワクチン開発が国力の差を見せつけ、日本は後発国入りだ。
そして今後は、さらに大きな災害が予想されている。首都直下地震、広域に影響が出る南海トラフ巨大地震は4~6の震源域が連動する可能性もあるし、300年間隔の過ぎた富士山噴火も南海トラフ巨大地震と同時期発生の可能性もある。万一、富士山噴火の場合は数時間後に粉じんは首都東京を襲い、政治経済で世界中が混乱することが危惧されている。
そんな時に、読売新聞(2021.6.8)「災害から学ぶ」で地質学者の鎌田先生、歴史学者の奈良岡先生のオンライン対談が目に止まった。
「災害は短期間だが恵みは長期間だ」という。災害は発生すると甚大が被害が及び被災者は逃げまどう状況になるが、長い目で見れば決して悪いことではないのだ。平坦で肥えた大地をつくり、恵みを提供する。これが自然の摂理と鎌田先生は言う。
幕末期の南海地震、安政江戸地震、終戦前後の東南海地震、昭和南海地震など「大地が変動に合わせて社会もリセットされた(鎌田)。
明治の近代化は巨大な災害に見舞われなかったから実現できた事実、逆に関東大震災では深く傷つき大陸進出に駆り立てるきっかけになった(奈良岡)。関東大震災がなかったら一直線には戦争につき進まなかっただろう(鎌田)。
戦後の高度成長期も地震の静穏期とピッタリと重なり合うという(鎌田)。巨大地震、災害が起きなければ近代化、高度成長政策に投資できるのだ。
だから日本の成長も勤勉さ、企業努力が要因に挙げられるが、自然的条件、地理的条件を見直すべきだと指摘する(奈良岡)。
鎌田先生は、南海トラフ巨大地震は2030年代中頃と見ている(確か、巨大地震前後の高知の漁港の海面の上下動の長期の記録から)、一方過去の南海トラフ巨大地震の発生メカニズムの研究から200年後と言う解析結果も出ている。
災害に対しては地質学者は地質や古文書から過去の災害事例を探し出す。歴史学者も危機に対処した記録を残し公開、検証することが大事だが、に品はそれができていないから、政策の継承が乏しく、人々の記憶から消えるのだ。今の新型コロナ禍で公文書の保管や記録ができているのかと警告する。
富士山など火山の噴火は地球温暖化にも影響している。20世紀の後半以降、噴火が非常に少なかったことが火山灰による太陽光の遮りが少なかったため温暖化が進んでいるが、18~19世紀のように噴火が頻発すれば寒冷化の可能性があるのだ。そんな発想の転換も必お湯と言う(鎌田)
「たかが災害、されど災害」だ。災害は恵みをもたらし、社会を変えていく役目があるのだ。ポストコロナの社会、生活様式はどう変わっていくか。我々年配者のみならず若者がどう行動を変え、社会をどうリセットするかだ。
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